今日は,実際の問題を紹介します。
一問一答形式も悪くはないのですが,得点力をアップさせるためには,やっぱり五者択一(あるいは択二)のスタイルで問題に向き合うことが大切です。
国試の特徴は,
少しずつ重なっていて,少しずつ違う
少しずつ違うに対応することが国試対策の最終目標です。
それでは,確認していきましょう。
第14回・問題52
役割概念に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 人間の「役割形成」は幼少期になされることが多いので,他者からの役割期待とはあまり関係がない。
2 人間は,他者の期待の重みに耐えかねて他者の期待とは異なる「嘘の自分」を演技することが多いが,これを「役割モデル」という。
3 人間は幼少期に,他者からの役割期待にこたえようとして無理な努力を行うことがあるが,それを「役割猶予」という。
4 人間は,一定の場面にふさわしく見える自分を演技によって操作する場合があるが,これを「役割距離」という。
5 人間の自我は,他者からの期待を認識して自らのうちに取り入れる「役割取得」を通じて形成され,発展していく。
昨日まで覚えてきたのは,役割期待,役割距離,役割取得,役割葛藤,の4つです。
それ以外のものは,役割形成,役割モデル,役割猶予の3つです。4つしか勉強していなかった場合は,この3つが分からないと焦ることでしょう。
しかし勉強していなくても何とかなるのもこの試験の特徴の一つです。
それでは,詳しく解説していきましょう。
1 人間の「役割形成」は幼少期になされることが多いので,他者からの役割期待とはあまり関係がない。
役割形成は,役割期待を察知して,新たな役割を獲得していく過程を言います。
他者からの役割期待が必要です。よって間違いです。
2 人間は,他者の期待の重みに耐えかねて他者の期待とは異なる「嘘の自分」を演技することが多いが,これを「役割モデル」という。
嘘の自分を演技することに対する用語があるのかは分かりません。役割を演技することなら,役割演技,役割から少しずらして演技することなら,役割距離です。役割モデルは文字通り,役割のモデルとなるものです。よって間違いです。
3 人間は幼少期に,他者からの役割期待にこたえようとして無理な努力を行うことがあるが,それを「役割猶予」という。
役割猶予は,青年期に他者の役割期待から離れていろいろチャレンジしてみる期間を言います。よって間違いです。
人生に無駄な努力はありません。
4 人間は,一定の場面にふさわしく見える自分を演技によって操作する場合があるが,これを「役割距離」という。
役割距離は,一定の場面にふさわしく見える自分から距離を取って演じることです。よって間違いです。
5 人間の自我は,他者からの期待を認識して自らのうちに取り入れる「役割取得」を通じて形成され,発展していく。
これは先日紹介したものですね。これが正解です。
第30回・問題19 子どもが,ままごとのような「ごっこ」遊びで親の役割などをまねることを通して自己を形成し,社会の一員となっていく過程を示す概念として,正しいものを1つ選びなさい。
1 役割期待
2 役割葛藤
3 役割演技
4 役割分化
5 役割取得
正解は5の役割取得です。
役割分化は,役割が増えることです。
〈今日の一言〉
役割○○
役割○○
と続くので,勉強はいやになりがちです。
しかし,日本語です。
役割距離のように理解しにくいものを理解しておけば,それ以外の多くのものは,言葉からイメージできます。
人間は幼少期に,他者からの役割期待にこたえようとして無理な努力を行うことがあるが,それを「役割猶予」という。
冷静に読めば,役割猶予ではないと思えそうです。
この感性を高めていくことを意識した勉強は大切です。