2018年4月27日金曜日

国家試験に合格する勉強法~ニーズのとらえ方のポイント

今ある制度を知ることはソーシャルワーカーには必要です。

それらは,各領域の科目で深めていきます。

それに対して,「現代社会と福祉」の中心テーマは,福祉政策です。

福祉政策は,福祉ニーズをどのように充足するかを考えていくものです。

福祉ニーズは,固定されているものではなく,時代によって変化していきます。

また,顕在的なものもありますし,潜在的なものもあります。

何を福祉ニーズとするか,そしてどのように充足するかは簡単なものではありません。

そのために,「現代社会と福祉」の出題範囲は広くなるのです。


さて,それでは今日の問題です。

第27回・問題26 福祉サービスのニーズを充足するための資源に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 福祉サービスのニーズを充足するもののうち,資源と言えるのは,その価値が金銭に換算される場合である。

2 福祉サービスは,それにアクセスできなければ,ニーズを充足しない。

3 インフォーマルな活動であっても,福祉サービスのニーズを充足するものは資源である。

4 普遍主義的な資源の配分においては,資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。

5 福祉サービスのニーズを判定するには,専門職の裁量を排除しなければならない。


順番で言えば,現代にはどのような福祉ニーズがあるのかを考えるのが先かもしれません。


この問題自体はそんなに難しいものではないかもしれませんね。

それでは解説です。

1 福祉サービスのニーズを充足するもののうち,資源と言えるのは,その価値が金銭に換算される場合である。

福祉ニーズにはさまざまなものがあります。

伝統的な福祉ニーズは,「貧困」です。

貧困には,金銭により福祉ニーズは充足することでしょう。

しかし,先日のべヴァリッジ報告の問題にあったように,子育て,介護に対する福祉ニーズは金銭が給付されても,福祉サービスがないと福祉ニーズは充足することができません。よって間違いです。

ニーズには,金銭で充足できるものと金銭では充足できないものがあるということが分かります。

日本社会事業大学の学長を務められた故・三浦文夫先生は,これらを「貨幣的ニード」「非貨幣的ニード」と呼びました。


2 福祉サービスは,それにアクセスできなければ,ニーズを充足しない。

アクセスという言葉が理解を難しくしていますが,アクセスは,福祉サービスがあることを知って,それを実際に利用できることを指しています。

それが分かれば,アクセスできて初めてニーズを充足することができることが分かるでしょう。

正解です。


3 インフォーマルな活動であっても,福祉サービスのニーズを充足するものは資源である。

社会資源は,法制度に基づくフォーマルと法制度に基づかないインフォーマルのものがあります。

よって正解です。


4 普遍主義的な資源の配分においては,資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。

福祉サービスをどのように配分するかは,とても大きな問題です。

普遍主義は,ニーズがある場合,所得を調査しないで,資源を配分します。

選別主義は,ニーズがある場合,所得を調査して,条件にあった場合,資源を配分します。

このように書くと普遍主義の方が優れているように思うかもしれません。

先日,紹介したべヴァリッジ報告のべヴァリッジもそのように考えました。

普遍主義では,ニーズが生じたら給付するので,多くの財源を必要としますし,ニーズの強さは反映されないといったデメリットがあります。

選別主義では,スティグマを生じさせることもありますが,ニーズがある人に手厚く配分することができます。

このように,どちらもメリット,デメリットがあります。

話を戻しますが,この選択肢は,普遍主義では資力調査を行わないので間違いです。


5 福祉サービスのニーズを判定するには,専門職の裁量を排除しなければならない。

ニーズ判定は極めて専門性の高いものです。よって間違いです。

ブラッドショーという人は,ニードには,

獲得されたニード
表出されたニード
比較ニード
規範的ニード

に分類しています。

分類
英語表記
内容
視点
感得されたニード
フェルト・ニード
本人がニーズがあることに気がついているニーズ
本人
表出されたニード
エクスプレスト・ニード
本人がニーズ充足のために実際に行動を起こしたニーズ
規範的ニード
ノーマティブ・ニード
行政や専門職が望ましくない状態だと判断するニーズ
他者
比較ニード
コンパラティブ・ニード
同じような状況に置かれながらも,サービス利用している人とサービス利用していない人がいる場合,サービス利用していない場合のニーズ

このうち,感得されたニードと表出されたニードは,ニードがあることを本人が自覚しているものであるのに対して,比較ニード,規範的ニードは,他からみて,ニードがあるかどうかのニードです。

専門職の裁量はニーズ判定に必要です。

そのためにスクリーニングが行われます。

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