2位のラウントリーは,この科目だけではなく,ほかの科目でも出題されるので,飛ばします。
デュルケムは,現行カリキュラム9回中2回の出題 22.2%!!
ウェーバーの66.7%から大きく下がります。
ただし,旧カリ時代も含めると,11回出題されています。
ここで分かるのは,現行カリキュラムでは,旧カリ時代に比べると人名が含まれる出題が少なくなっていることです。
さて,それでは現行カリキュラムで出題されたものを確認しましょう。
■デュルケム(Durkheim, E.)は,異質な個人の分業による有機的な連帯から,同質的な個人が並列する機械的連帯へと変化していくと考えた。 (第26回・問題16・選択肢1)
■デュルケム(Durkheim,E.)は,経済的繁栄によって人々の欲望が過度に肥大化し,どこまでいっても満足できないアノミーに陥り,それがいらだちや焦燥感をもたらすと考えた。 (第22回・問題17・選択肢5)
■ジンメル(Simmel,G.)は,社会は分業の体系であると考え,同質な個人の連帯である機械的連帯から異質な個人の分業による有機的連帯に変化していくと考えた。 (第22回・問題17・選択肢1)
前回のウェーバーの方法論的個人主義に対して,デュルケムは方法論的集団主義に分類されます。
方法論的個人主義 → 個人から社会を考える立場
方法論的集団主義 → 社会から個人を考える立場
デュルケムの出題ポイントは2つ
①社会分業論
②アノミー
社会分業論は,
社会は,機械的連帯から有機的連帯に進化する社会進化論でもあります。
機械的連帯は,例えば物を作って売るまで一貫して行い,同業者でつながって協力することをいいます。
生産力向上にはある程度の制約が伴います。
有機的連帯は,生産,販売など機能が分化してつながることをいいます(社会分業)。工業であれば,原料をつくる,製品を作る,出荷する,販売する,など機能が必要に従ってつながっていきます。
各部門は専門化するので生産力を向上させることができます。
社会進化は,機械的連帯 → 有機的連帯 となります。
アノミーは,
無秩序状態をいいます。
社会的規制がなくなると良いものになると思います。しかしデュルケムは,アノミーを生み出し,それが人の不安や焦燥感を生み出すことにつながると考えました。
デュルケムは,アノミーが自殺を生み出すアノミー的自殺を提唱しています。
アノミーは,覚えたい5人衆のマートンも提唱しています。
マートンは,アノミーが社会的逸脱(犯罪など)の発生要因となると述べています。この辺りの話は,マートンの回で少し触れておきたいと思います。
それでは,詳しく見ていきましょう。
■デュルケム(Durkheim, E.)は,異質な個人の分業による有機的な連帯から,同質的な個人が並列する機械的連帯へと変化していくと考えた。
デュルケムの社会分業論では,社会進化は,機械的連帯から有機的連帯に移り変わると考えます。よって間違いです。
■デュルケム(Durkheim,E.)は,経済的繁栄によって人々の欲望が過度に肥大化し,どこまでいっても満足できないアノミーに陥り,それがいらだちや焦燥感をもたらすと考えた。
これは正解です。デュルケムのアノミー論です。
■ジンメル(Simmel,G.)は,社会は分業の体系であると考え,同質な個人の連帯である機械的連帯から異質な個人の分業による有機的連帯に変化していくと考えた。
社会分業論は,デュルケムが提唱したものです。ジンメルは,形式社会学というものを提唱した人です。よって間違いです。出題回数は極めて多いですが,正解になったことはたった1回しかないというかわいそうな人です。
デュルケムであいまいにしてはいけないポイント
機械的連帯 → 有機的連帯
この順番です。
しっかり押さえておきましょう。
次回は,マートンです。