そんな問題が続くと「勉強不足だった」と思うことでしょう。
そして,焦り,平常心を失って,ペースを乱されます。
国試はこういうものなのだ,ということを認識しておくことが必要です。
しかし,内容が分からなくても解ける可能性があるところがこの科目の面白いところです。
それでは,今日の問題です。
第27回・問題15 社会指標に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会指標のねらいは,経済的な豊かさを測定することであり,国内総生産(GDP)などがよく用いられる。
2 社会指標とは,主観的評価ではなく,客観的な要因を数量化したものである。
3 社会指標のねらいは,その社会の福祉水準を測定し,政策に活用することにある。
4 社会指標は,個別の分野の目標達成の指標ではなく,総合的な指標として用いられる。
5 社会指標の開発は,2000年代に入りOECDや国際連合などの国際機関を中心に始まった。
社会指標がまるまる一問出題されています。
社会指標とは何だと思う人も多いと思います。
ここで忘れてはならないのはこの試験は,社会福祉士の国試であることです。
関連がないように見えるものでも,福祉をとらえるために出題されている,ということを認識していることが重要です。
社会指標は何かは分からなくても,人の生活に関連するものでありそうだ,と見当をつけることが大切です。
1 社会指標のねらいは,経済的な豊かさを測定することであり,国内総生産(GDP)などがよく用いられる。
社会指標は,人の生活の質を測るものです。経済的な豊かさを測っても生活の質は分かりません。GNPは経済指標です。生活指標には,社会福祉だけではなく,教育,住宅など広くあります。
2 社会指標とは,主観的評価ではなく,客観的な要因を数量化したものである。
「暮らしやすさ」など,主観的評価もあります。
3 社会指標のねらいは,その社会の福祉水準を測定し,政策に活用することにある。
これが正解です。
4 社会指標は,個別の分野の目標達成の指標ではなく,総合的な指標として用いられる。
個別分野とともに総合的な指標としても用いられます。
5 社会指標の開発は,2000年代に入りOECDや国際連合などの国際機関を中心に始まった。
社会指標の開発は,1960年代ころから始まっています。
簡単に解説してみました。
正解は3です。
簡単にしか解説しなかったのは,個別に詳しく覚える必要がないからです。
この問題で知ってもらいたいことは,一問まるごとワンテーマで出題されたときのコツです。
内容が分からなくても,正解に結び付けることができる可能性がある,というものです。
1 社会指標のねらいは,経済的な豊かさを測定することであり,国内総生産(GDP)などがよく用いられる。
2 社会指標とは,主観的評価ではなく,客観的な要因を数量化したものである。
3 社会指標のねらいは,その社会の福祉水準を測定し,政策に活用することにある。
4 社会指標は,個別の分野の目標達成の指標ではなく,総合的な指標として用いられる。
5 社会指標の開発は,2000年代に入りOECDや国際連合などの国際機関を中心に始まった。
選択肢1と2は,どちらも客観的なものとなっています。
正解は1つなので,どちらも正解になることはありません。
2と同じ間違い選択肢をつくるときの常とう手段
「○○ではなく,○○である」
人は嘘をつくとき饒舌になる
です。
「○○ではなく」
という部分が余計な部分です。
正解であれば,「○○である」で良いことになります。
5は,数値はそこだけを変えると簡単に間違い選択肢をつくることができます。
解答テクニックを駆使すれば,選択肢3が残ります。
この問題を出題した試験委員の意図は,福祉は,定性的(暮らしやすい,などの主観的なもの)だけではなく,定量的(客観的数値)に測定することができる,ことを示すことだったと思います。
実は,今日の問題には,下敷きにしたと思われるものが存在しています。
第12回・問題57 社会指標に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
(組み合わせは省略)
A 社会指標の研究や体系化は,1960年代の後半から国連社会開発研究所,OECDなどの
国際機関を中心として推進されてきた。
B 社会指標の構築では,一般には,所得,医療,社会福祉,教育,文化,住居など,よ
り広範な社会状態を総合的に示す指標が設定されている。
C 社会指標とは,その社会に固有な性質,環境的側面を表す一連の社会統計で,主観的
な評価を除く客観的な要因を数量化したものである。
D 社会指標は,社会計画との関係でいうと,インプット指標とアウトプット指標に区分
することができる。
間違いはC。それ以外は正解です。
(2018・4・6追記)
本当は,このような後出しじゃんけんのようなことは,書きたくないのですが,過去3年間の過去問ではどうにもならないことを実感していただきたくて,第12回の問題を紹介しました。