法定後見制度の類型には,後見,保佐,補助の3つがあります。
成年被後見人 |
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者 |
被保佐人 |
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者 |
被補助人 |
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者 |
最も重いのは,成年被後見人
最も軽いのは,被補助人です。
補助開始の審判をする際,本人以外の者の請求がする時は,本人の同意が必要です。
後見開始等の審判を行う際,本人の同意を必要とするのは,補助しかありません。
その理由は,本人には判断力があるからです。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題80
成年後見制度の補助に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 補助は,保佐よりも判断能力の不十分さが著しい者を対象としている。
2 補助開始の審判をするには,本人の申立て又は本人の同意がなければならない。
3 補助人の事務を監督する補助監督人という制度は設けられていない。
4 補助開始の審判は,市町村長が申し立てることはできない。
5 補助人に対し,被補助人の財産に関する不特定の法律行為についての代理権を付与することができる。
前説に書いたので,答えはすぐわかると思いますが,簡単に解説します。
1 補助は,保佐よりも判断能力の不十分さが著しい者を対象としている。
〈重い順〉
後見 > 保佐 > 補助
2 補助開始の審判をするには,本人の申立て又は本人の同意がなければならない。
これが正解です。
後見開始等の審判を行う際,本人の同意が必要なのは,補助のみです。
3 補助人の事務を監督する補助監督人という制度は設けられていない。
補助監督人という言葉を聞いたことがないという人もいるかもしれません。
任意後見制度と同様に法定後見制度にも,成年後見監督人,保佐監督人,補助監督人の制度があります。
職務は,それぞれ成年後見人,保佐人,補助人の事務の監督,成年被後見人等と成年後見人等の利益相反する場合は,成年後見人を代表します。
成年後見監督人が選任されていない場合に利益相反することがあったら,成年後見人等は,特別代理人等の選任の請求を行います。
4 補助開始の審判は,市町村長が申し立てることはできない。
請求権者がいない場合,請求権者がいても後見開始等の請求できないなどの場合,市町村長が請求できます。それを市町村長申立てといいます。
どの類型であっても市町村長申立てはできます。
5 補助人に対し,被補助人の財産に関する不特定の法律行為についての代理権を付与することができる。
被補助人の判断能力は,通常の人に比べると低いかもしれませんが,判断することはできます。
どんな法律行為の際に代理権を付与するかは,補助開始の審判の際に決定されます。