家庭裁判所は,戦前からあった家事審判所と少年審判所が合併して,1949年(昭和24年)にできたものです。
何を行うのかは,前身の組織を見ると何となくわかるのではないかと思います。
具体的には,家事審判,家事調停,少年審判を取り扱います。
近年では,離婚訴訟も取り扱うようになりました。
これらに必要な調査や環境調整は,家庭裁判所調査官が行います。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題82
家庭裁判所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 家庭裁判所は,近隣トラブルに関する訴訟を取り扱う。
2 家庭裁判所は,「DV防止法」に基づく保護命令事件を取り扱う。
3 家庭裁判所は,嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。
4 家庭裁判所は,労働審判を取り扱う。
5 家庭裁判所は,債務整理事件を取り扱う。
(注) 「DV防止法」とは,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。
迷うのは,選択肢2の保護命令事件ではないかと思います。
しかし,家事審判でも家事調停でも,また,少年調停でもありません。
正解は,選択肢3です。
3 家庭裁判所は,嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。
これが家事審判にかかわるものです。
これ以外は,すべて地方裁判所の役割です。
なお,家事審判と家事調停の違いは,家事審判は裁判所が判断して決定するものであるのに対し,家事調停は当事者間の合意で問題の解決を図るものです。
正解となった「認知」に関しては,当事者間で解決するのが調停,それでは解決できない場合,訴訟で解決を図ることになるので,審判ということになります。