国家試験では,内容が重複しないように問題を構成します。
ほかの問題がヒントになってしまうためです。
これまでの社会福祉士の国家試験でもそのように出題されてきました。
ところが第37回では,同じ内容のものが複数の問題に出題されました。
試験を実施する社会福祉振興・試験センターが最終的に見落としたのか,何かが起きたことは間違いありません。
たまに重なることがありましたが,今,気がついているものだけでも3問もあります。
問題6 事例を読んで,Aさんに最も適切な入院形態を1つ選びなさい。
〔事 例〕
B市に住むAさん(21歳)は,大学4年生で就職活動中であったが,なかなかうまくいかず,次第に抑うつ気分,意欲の低下,思考制止,不安,不眠を呈するようになった。同居する両親(両親ともに50歳代で共働き)とともに,精神科のクリニックを受診し,うつ病の診断となり治療開始となった。しかし,自宅では生活が乱れ,家に閉じこもりがちになり,定期的な受診や薬物治療が困難な状況となった。自傷行為や家族に対する他害行為はみられないが,なかなか抑うつ症状は改善を認めなかったため,主治医が入院加療の必要性があると判断した。主治医が本人及び面親に入院加療の必要性を説明したところ,本人は入院加療を希望した。その後,紹介状を持参のうえで,入院病床を有する精神科病院に受診した。
1 医療保護入院
2 措置入院
3 緊急措置入院
4 任意入院
5 応急入院
問題54 事例を読んで,Aさんの状況にあてはまる,「精神保健福祉法」に基づく入院形態として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
統合失調症のAさん(40歳)は,この1週間で絶え間ない幻聴と,常に誰かに監視されているという妄想がひどくなってきた。さらに盗聴器を探して家具を壊すなどの行為が始まったため,同居する母親に付き添われ,かかりつけのB精神科病院を受診した。精神保健指定医であるC医師は診察の結果,入院治療を要すると判断し,Aさんにその旨を説明したが,Aさんはおびえた様子で意味不明な独語を繰り返すのみで,応答は得られなかった。C医師はAさんが入院治療の必要性について納得できるよう丁寧に説明を重ねたが,やはり入院についての同意を得ることはできず,また,症状の緩和も見られなかったため,やむを得ず母親の同意によって即日入院してもらうことになった。
1 措置入院
2 緊急措置入院
3 医療保護入院
4 任意入院
5 応急入院
(注) 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
問題10 レジリエンスに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ストレスをもたらす原因となる出来事のことである。
2 強いストレスや心理的傷つきを伴う経験から,個人が持つ回復していく力のことである。
3 ストレスに伴って生じた不快な情動を,意識的に低減する方略のことである。
4 心的外傷となった過去の出来事を,あたかも今生じているかのように経験することである。
5 社会的な関係の中で行われる支え合いや支援のことである。
問題18 災害時におけるレジリエンスの意味として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 災害の発生から復旧・復興に加え,次の災害に備えていくための諸活動を一つのサイクルとして捉えることである。
2 支援ニーズに対して支援者側から積極的に働きかけて情報や支援を提供することである。
3 被災者並びに被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力のことである。
4 予期しない出来事に遭遇した際に,事態が悪化しているにもかかわらず楽観的な見方を維持する態度のことである。
5 大規模災害の後に一時的な現象として発生する理想郷的コミュニティのことである。
1 基本的信頼 対 基本的不信
2 同一性 対 同一性混乱
3 勤勉性 対 劣等感
4 自発性 対 差恥心
5 ジェネラティビティ 対 停滞
問題1 思春期・青年期における心身の特徴に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 思春期には,男女ともに緩やかな身体の変化がみられる。
2 思春期における心理的特徴としては,自意識過剰がある。
3 思春期には,アイデンティティは形成されている。 → 重複している部分
4 第二次性徴に性差はみられない。
5 青年期の死亡原因としては心疾患が最も多い。