精神保健福祉士国家試験の問題を見た感想と社会福祉士対策
精神保健福祉士の国家試験の専門科目は,社会福祉士の国家試験の1日前,つまり土曜日に実施されます。
精神保健福祉士も社会福祉士と同時にカリキュラムが改正され,2025年2月の国家試験から令和元年度改正の内容に変わりました。
第27回の精神保健福祉士の国家試験を見る限り,問題数が減ったことを除けば,これまでの出題スタイルと大きく変わったものはありませんでした。
精神保健福祉士の国家試験の特徴である長文の事例問題もそのまま残りました。
長文の事例問題は,タクソノミーⅢ型の問題となるので,貴重です。
社会福祉士の国家試験でも第21回までは存在した出題スタイルです。
精神保健福祉士の問題を見る限り,出題スタイルの斬新さはありません。極めて基本的な事項を丁寧に出題しています。
ただ,言えるのは,精神保健福祉士の各選択肢の文字数は短いので,言い回しで正誤を判断することはできないことです。
知識なしで解答テクニックだけで合格することは不可能です。
社会福祉士の国家試験の文字数は,近年,また減少してきています。
文字数が短くなれば,問題を読む時間の節約につながるものの,言い回しで判断することができなくなります。
精神保健福祉士の国家試験問題です。
問題45 生活保護制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 保護の基準額は,全国一律である。
2 精神障害者が申請する場合,資力調査は免除される。
3 原則として,住宅扶助は現物給付である。
4 原則として,世帯単位で保護の要否及び程度が定められる。
5 精神障害者保健福祉手帳の1級及び2級所持者には,生活扶助の障害者加算がある。
言い回しで消去できそうなのは,選択肢1と2のみで,選択肢3・4・5は消去法では絞り込めません。
正解は,
4 原則として,世帯単位で保護の要否及び程度が定められる。
5 精神障害者保健福祉手帳の1級及び2級所持者には,生活扶助の障害者加算がある。
選択肢3で出題されている原則現物給付なのは,医療扶助と介護扶助のみです。この知識がないとこの問題を確実に正解することは不可能です。
なお,選択肢1が消去できる理由は,「一律」が正解になることは少ないからです。
※今後受験される方へ
この問題のように解答テクニックだけで合格することは不可能だということは絶対に忘れないでいてください。試験委員の作問技術が向上しているためです。
直前に押さえておいてほしい問題
社会福祉士の国家試験ではまだ出題されていない問題ですが,重要なので一応押さえておきたいです。
第25回の精神保健福祉士の問題です。
第25回・問題22
次の記述のうち,社会福祉士及び介護福祉士法制定の背景として,適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉基礎構造改革の議論が行われ,個人の多様な需要に対し,地域での総合的な支援のための人材が求められた。
2 障害福祉サービスにおいて,ケアマネジメントを用いた生活支援を展開するための人材が求められた。
3 増大する介護需要に対応するために,老人,身体障害者等に関する福祉に対する相談や介護を依頼することができる専門的能力を有する人材が求められた。
4 福祉三法が整備される中,各都道府県等に社会福祉行政を担当する人材を配置することが求められた。
5 高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を営めるよう,地域包括ケアシステムの構築を推進する人材が求められた。
正解は,選択肢3です。
3 増大する介護需要に対応するために,老人,身体障害者等に関する福祉に対する相談や介護を依頼することができる専門的能力を有する人材が求められた。
これが出題されるかは,誰もわかりませんが,ぜひ押さえておいてほしいです。
国家試験が終わると,さまざまな団体から解答速報が出ますが,毎年,いわゆる「割れ問」(判断が分かれる問題のこと)があります。
精神保健福祉士の国家試験では,そのような問題はなさそうですが,解答速報で割れているからといって,不適切問題になることはほとんどありません。
解答速報は,あくまでも参考程度にとどめておくのが無難です。
最後に,この学習部屋に訪れていただいた方すべての合格をお祈りいたしております。
※今日の問題は,お休みします。