第37回国家試験では,問題の重複がありました。
そこが勉強法のヒントとなります。
精神保健福祉法の入院形態に関する問題について,あるサイトの正答率は,以下のようになっています。
問題6 90%
問題54 73%
それぞれの問題を見てみます。
問題6 事例を読んで,Aさんに最も適切な入院形態を1つ選びなさい。
〔事 例〕
B市に住むAさん(21歳)は,大学4年生で就職活動中であったが,なかなかうまくいかず,次第に抑うつ気分,意欲の低下,思考制止,不安,不眠を呈するようになった。同居する両親(両親ともに50歳代で共働き)とともに,精神科のクリニックを受診し,うつ病の診断となり治療開始となった。しかし,自宅では生活が乱れ,家に閉じこもりがちになり,定期的な受診や薬物治療が困難な状況となった。自傷行為や家族に対する他害行為はみられないが,なかなか抑うつ症状は改善を認めなかったため,主治医が入院加療の必要性があると判断した。主治医が本人及び面親に入院加療の必要性を説明したところ,本人は入院加療を希望した。その後,紹介状を持参のうえで,入院病床を有する精神科病院に受診した。
1 医療保護入院
2 措置入院
3 緊急措置入院
4 任意入院
5 応急入院
正解は,選択肢4の任意入院です。
問題54 事例を読んで,Aさんの状況にあてはまる,「精神保健福祉法」に基づく入院形態として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
統合失調症のAさん(40歳)は,この1週間で絶え間ない幻聴と,常に誰かに監視されているという妄想がひどくなってきた。さらに盗聴器を探して家具を壊すなどの行為が始まったため,同居する母親に付き添われ,かかりつけのB精神科病院を受診した。精神保健指定医であるC医師は診察の結果,入院治療を要すると判断し,Aさんにその旨を説明したが,Aさんはおびえた様子で意味不明な独語を繰り返すのみで,応答は得られなかった。C医師はAさんが入院治療の必要性について納得できるよう丁寧に説明を重ねたが,やはり入院についての同意を得ることはできず,また,症状の緩和も見られなかったため,やむを得ず母親の同意によって即日入院してもらうことになった。
1 措置入院
2 緊急措置入院
3 医療保護入院
4 任意入院
5 応急入院
(注) 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
正解は,選択肢3の医療保護入院です。
同じ人が解いた問題なのに,正答率が異なるのはなぜだと思いますか?
問題54は,「盗聴器を探して家具を壊すなどの行為が始まった」という情報から,措置入院だと認識したからだと考えられます。
しかし,措置入院にならない理由は,そのあとに「母親の同意によって即日入院してもらうことになった」という情報があるからです。
措置入院であれば,母親の同意は必要ありません。
タクソノミーⅡ型,タクソノミーⅢ型は,情報を解釈して答えを出します。
その前提にあるのは,確実な知識です。
知識がなければ,正解することは不可能です。
まぐれ当たりで合格できるほど簡単な試験ではありません。
第37回の問題を見て,どんな勉強をすると良いのか,不安になる人もいると思います。
しかし,確実な知識を持ち,問題を解く訓練をすると,必ず合格できます。そのように問題は作られています。