今回は,前回に引き続き,国際生活機能分類(ICF)のタクソノミーⅢ型の問題を取り上げます。
第28回・問題-57
事例を読んで,国際生活機能分類(ICF)の「参加制約」に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Eさん(49歳,男性)は,脳性麻痺で足が不自由なため,車いすを利用している。25年暮らした障害者支援施設を退所し1年がたつ。本日,どうしても必要な買物があるが,支援の調整が間に合わない。その場での支援が得られることを期待して,一人で出掛けた。店まで来たが,階段の前で動けずにいる。
1 脳性麻痺で足が不自由なこと
2 階段があること
3 支援なしで外出できること
4 店で買物ができないこと
5 障害者支援施設を退所したこと
この問題は,参加制約とは何かを知っていることが前提の問題です。
ただの事例問題ではなく,タクソノミーⅢ型です。
参加制約とは,「個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさ」です。
それでは解説です。
1 脳性麻痺で足が不自由なこと
脳性麻痺は「健康状態」,脳性麻痺で足が不自由なことは,「心身機能・身体構造」です。
2 階段があること
階段があることは,環境因子です。
環境因子には,促進因子と阻害因子があります。
階段があることは,阻害因子に属します。
3 支援なしで外出できること
外出することは,活動です。
支援は,環境因子です。
4 店で買物ができないこと
これが正解です。
歩くことは活動,買物は参加,買物ができないことは,参加制約です。
5 障害者支援施設を退所したこと
障害者支援施設を退所したことは,個人因子です。
環境因子と個人因子は,生活機能の背景因子です。