社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会の報告書では,
試験センターにおいては、本検討会での議論や提言を踏まえ、新たな国家試験が適正かつ円滑に行われるよう必要な準備を行うとともに、試験問題の作問にかかる支援機能の強化を図ることが望ましい。 |
と提言しています。
社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書
国家試験では,この提言に従って,試験委員に対する支援が行われるものと考えられます。
受験生にとって,かなり手ごわくなりますが,支援が徹底されていないためなのか,表現に揺らぎが見られる問題があります。
以下は,その1つです。
第37回・問題16
次の記述のうち,2022(令和4)年の国民生活基礎調査の結果(「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省))についての説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1世帯当たり平均所得金額は300万円を下回っている。
2 現在の暮らしの状況が「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は,50%を超えている。
3 相対的貧困率は20%を超えた。
4 子ども(17歳以下)の相対的資困率は25%を超えた。
5 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の中で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は,90%を超えている。
この問題の文末は,現在形と過去形が混じっています。
表現をそろえると,以下のようになります。
1 1世帯当たり平均所得金額は300万円を下回っている。
2 現在の暮らしの状況が「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は,50%を超えている。
3 相対的貧困率は20%を超えている。
4 子ども(17歳以下)の相対的資困率は25%を超えている。
5 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の中で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は,90%を超えている。
しかし,そうしなかったのは,試験委員が「超えた」という表現を使って,かく乱するためです。
しかし,見る人が見れば分かります。
なお,正解は選択肢2です。「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた世帯は,51.3%でした。
表現をそろえるのは簡単ではありませんが,今後は試験委員の作問技術が上がっていくはずです。
タクソノミーⅡ型,Ⅲ型の増加に加えて,受験生を苦しめることになるでしょう。
タクソノミー分類
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今後,受験する人は,十二分に心しておくことが必要です。
しっかり勉強した人は解ける,勉強不足の人は解けない。
資格試験に理想的な問題が作り上げられつつあります。