今回は,第37回国家試験に出題されたサッチャー首相に関する類似問題を見ていきたいと思います。
第37回・問題19
次の人物のうち,英国において「福祉国家」から「小さな政府」への転換を図った首相として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ウィンストン・チャーチル(Churchill,W.)
2 クレメント・アトリー(Attlee,C.)
3 マーガレット・サッチャー(Thatcher,M.)
4 トニー・ブレア(Blair,T.)
5 ゴードン・ブラウン(Brown,G.)
知識があれば,何の思考も必要としない「タクソノミーⅠ型」の典型的な問題です。
正解は,今日のテーマのサッチャー元首相です。
サッチャーの施策は,大きな政府から小さな政府への転換を図るものでした。
これは,新自由主義と呼ばれます。
経済学者のフリードマンやハイエクらに影響を受けたもので,このような政治哲学は新自由主義と呼ばれます。
類似問題を見ます。
第35回・問題24
福祉政策に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アダム・スミス(Smith,A.)は,充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。
2 マルサス(Malthus,T.)は,欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために,包括的な社会保障制度の整備を主張した。
3 ケインズ(Keynes,J.)は,不況により失業が増加した場合に,公共事業により雇用を創出することを主張した。
4 フリードマン(Friedman,M.)は,福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。
5 ロールズ(Rawls,J.)は,国家の役割を外交や国防等に限定し,困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。
この問題の正解は,選択肢3です。
3 ケインズ(Keynes,J.)は,不況により失業が増加した場合に,公共事業により雇用を創出することを主張した。
ケインズの福祉政策を批判するものとして,新自由主義が出張されます。
フリードマンは,福祉国家による市場への介入を小さくしていくことを主張しました。
これを実現していったのが,サッチャーです。徹底した福祉切り捨てを行い,その辣腕ぶりを「鉄の女」と呼ばれました。
イギリスの複製政策は,サッチャーとブレアの対比で覚えることが必要です。
第二次世界大戦後,「ゆりかごから墓場まで」で知られるベヴァリッジ報告を実現していたのが,大きな政府(社会民主的国家)です。
サッチャーは,小さな政府を目指す新自由主義を実践しました。
ブレアは,サッチャー以前の大きな政府でもなく,サッチャーの新自由主義でもなく,「第三の道」を目指しました。
ブレアに影響を与えたのは,ギデンズです。
首相名 |
影響を受けた学者 |
サッチャー |
フリードマン,ハイエク |
ブレア |
ギデンズ |