2023年1月31日火曜日

国家試験合格に必要なこと~かなり重要です

社会福祉士の国家試験に合格するために必要なのは,もちろん基礎知識です。

 

しかし,それだけで合格するのは難しいと思います。

 

知識以上に必要なのは,どんな問題にでも立ち向かうことができる強い心ではないかと思っています。

 

強い心があれば突破できる問題であっても,気持ちが弱くなると突破できなくなるようです。

 

何度も受験しても合格できない人がいるのは,知識不足ではなく,自分に自信がなくなるからではないかと思います。

 

今日の問題のタイプは,強い心が必要な問題の典型例です。

 

33回・問題22 社会福祉法で規定された福祉サービスの基本的理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 個人の尊厳の保持を旨とし,その内容は,福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され,又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして,良質かつ適切なものでなければならない。

2 全ての国民が,障害の有無にかかわらず,等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される。

3 国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長する。

4 地域の実情に応じて,高齢者が,可能な限り,住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される。

5 老齢,障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し,もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与する。

 

「法の基本的理念も覚えなさい」と学校の先生に言われていたのに,覚えていなかった,どうしよう,と思うと泥沼にはまります。

 

下手すると底なし沼に入り込んで,二度と戻ってくることができなくなってしまうかもしれません。

しかし,この問題は知識がなくても正解できます。

 

正解は,選択肢1ですが,これ以外の選択肢をよくよく読むと

 

選択肢2 → 障害

選択肢3 → 困窮

選択肢4 → 高齢者

選択肢5 → 老齢,障害又は死亡

 

といったフレーズが登場しています。

 

社会福祉法は,社会福祉の中心をなす法律であることを考えるとこういったフレーズは社会福祉法の基本的理念ではないだろうと推測することが可能です。

 

こういった問題で正解を積み重ねることが,国家試験に合格するために大切です。

 

勉強したものでないもの,覚えていなかったもの,などが出題されると無力感にさいなまれますが,それを克服できたら合格をつかめるだろうと思います。


今日の一言


国家試験直前に重要なことは,自分の努力を信じることができる自己肯定感を高めていくことです。

2023年1月30日月曜日

一体のものとして策定する福祉計画

福祉計画はたくさんあって覚えるのは難しいですが,少ないものを覚えるのが確実で効率的です。


一体のものとして策定することが法で規定されているのは,「老人福祉計画と介護保険事業計画」,「障害福祉計画と障害児福祉計画」の2つしかありません。


そのほかは,「調和が保たれたものでなければならない」という「調和」の関係がほとんどです。


それでは,今日の問題です。


第25回・問題48 各種福祉計画策定に際して,相互の連携に関する各福祉法の規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村地域福祉計画は,地方自治法の定める基本構想に即して策定されなければならない。

2 市町村地域福祉計画は,市町村老人福祉計画と一体のものとして策定されなければならない。

3 市町村老人福祉計画は,市町村介護保険事業計画と一体のものとして策定されなければならない。

4 母子家庭及び寡婦自立促進計画は,次世代育成支援対策推進法に定める市町村行動計画と一体のものとして策定されなければならない。

5 都道府県介護保険事業支援計画は,医療法に規定される医療計画と一体のものとして策定されなければならない。


正解は,選択肢3です。

3 市町村老人福祉計画は,市町村介護保険事業計画と一体のものとして策定されなければならない。


秒殺でしょう。


ついでにもう一問です。


第29回・問題47 福祉計画等の策定に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 市町村障害者計画と市町村障害福祉計画は,一体のものとして策定されなければならない。

2 市町村は,市町村障害福祉計画を定めたときは,厚生労働大臣に提出しなければならない。

3 市町村は,市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画のうち,いずれか一つを策定すればよい。

4 市町村子ども・子育て支援事業計画は,都道府県知事の定める基本指針に即して策定される。

5 都道府県介護保険事業支援計画は,医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。


なかなかの難問です。


正解は,選択肢5です。


5 都道府県介護保険事業支援計画は,医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。


福祉計画の関連については,「一体のもの」「調和」が良く知られますが,実は「整合性」の関係があります。


整合性の関係でつながっているのは,介護保険法の「都道府県介護保険事業支援計画」,医療介護総合確保推進法の「都道府県計画」,医療法の「医療計画」しかありません。


これらは,医療法と医療費適正化計画が「5年を一期」から「6年を一期」に変更した理由と同様に,地域包括ケアシステムの構築のためです。


それでは,ほかの選択肢も確認します。


1 市町村障害者計画と市町村障害福祉計画は,一体のものとして策定されなければならない。


障害福祉計画は,障害児福祉計画と一体のものとして策定することができます。



2 市町村は,市町村障害福祉計画を定めたときは,厚生労働大臣に提出しなければならない。


市町村障害福祉計画の歳出先は,都道府県知事です。


3 市町村は,市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画のうち,いずれか一つを策定すればよい。


老人福祉計画と介護保険事業計画は,一体のものとして策定さなければなりません。


この2つの計画が一体のものとして策定されなければならない理由は,それぞれの計画の内容に関係しています。


どちらも供給するサービス量を定めます。高齢者ケアには,社会保険制度があるため,ほかの領域とは異なる特徴があります。


障害分野には社会保険制度はありませんが,障害福祉計画と障害児福祉計画はいずれも提供するサービス量を定めます。


障害者計画と障害福祉計画は,策定する目的が異なるために,あえて一体のものとして策定する意味がありません。


注意が必要なのは,市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画です。


市町村地域福祉計画と一体に策定している市町村も存在していることから,引っ掛けで出題されます。


気を付けたいです。


4 市町村子ども・子育て支援事業計画は,都道府県知事の定める基本指針に即して策定される。


子ども・子育て支援法に基づく基本指針を定めるのは,内閣総理大臣です。


基本指針など「基本〇〇」がつくものは,基本的に中央官庁の役割です。


そのうち,子ども・子育て支援法と障害者基本法は内閣府が担当している法制度です。


そのため,これらの基本指針,基本計画を定めるのは厚生労働大臣ではないことに注意が必要です。

2023年1月29日日曜日

福祉計画の策定期間~5年を一期として定める計画

5年を一期とする福祉計画のうち,国家試験でこれまで出題されたものには,以下のようなものがあります。

 

・行動計画

・子ども・子育て支援事業計画

 

行動計画は,現在,都道府県,市町村ともに策定義務がなくなっているので,それほど国試でも重要ではないように思います。

 

それでは,今日の問題です。

 

30回・問題47 次の福祉計画のうち,現行法上の計画期間が5年を一期とするものを1つ選びなさい。

1 市町村介護保険事業計画

2 市町村老人福祉計画

3 市町村障害福祉計画

4 市町村子ども・子育て支援事業計画

5 市町村地域福祉計画

 

正解は「4 市町村子ども・子育て支援事業計画」です。

 

そのほかは,

 

3年を一期として策定するもの

1 市町村介護保険事業計画

3 市町村障害福祉計画

 

策定期間のないもの

2 市町村老人福祉計画

5 市町村地域福祉計画

 

ここには,出題されていませんが,このほかに6年を一期とするものもあります。

・医療計画

・医療費適正化計画

 

この2つは,もともと5年を一期としていましたが,法改正によって,現在は6年を一期となっています。

 


2023年1月28日土曜日

福祉計画の策定期間~3年を一期として定める計画

福祉計画の策定期間は,今まで一杯出題されてきたので,もう出題されないようにも思いますが,一応取り上げます。


前々回の内容です。

 

3年を一期として定めるのは,介護保険事業計画と障害福祉計画(及び障害児福祉計画)の2つ(あるいは3つ)しかありません。

 


それでは,今日の問題です


第26回・問題48 都道府県が策定する福祉計画等の計画期間に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 次世代育成支援に関する都道府県行動計画は,3年を一期として定めるものとされている。

2 都道府県介護保険事業支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。

3 都道府県健康増進計画は,3年を一期として定めるものとされている。

4 都道府県高齢者居住安定確保計画は,3年を一期として定めるものとされている。

5 都道府県地域福祉支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。


答えはすぐわかりますね。3年を1期として定めるのは,介護保険事業計画と障害福祉計画(及び障害児福祉計画)しかありません。


ということで,正解は,選択肢2です。

2 都道府県介護保険事業支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。


策定期間がないもの

3 都道府県健康増進計画は,3年を一期として定めるものとされている。

4 都道府県高齢者居住安定確保計画は,3年を一期として定めるものとされている。

5 都道府県地域福祉支援計画は,3年を一期として定めるものとされている。


5年を一期

1 次世代育成支援に関する都道府県行動計画は,3年を一期として定めるものとされている。


3年を一期として定めるのは,介護保険事業計画,障害福祉計画&障害児福祉計画しかないわけですから,3年を一期とするものを問われた場合は,とても簡単です。

2023年1月27日金曜日

福祉計画と事業の財源

介護保険法に規定される介護保険事業計画は,3年を1期として定めます。


3年を1期として定めるのは,介護保険事業計画と障害福祉計画(及び障害児福祉計画)の2つ(あるいは3つ)しかありません。


介護保険事業計画は,第1期と第2期は,5年を1期として3年ごとに定める,という今考えるとおかしな計画でした。


このようにおかしなことになったのは,介護保険法が始まった2000年当時は,5年を1期とするか,策定期間がないものが一般的だったからでしょう。


このおかしなものにとうとう気がついたのか,第3期から現在と同じ3年を1期になりました。


さて,なぜ介護保険事業計画は,ほかのものとは異なって3年を1期として策定する必要があるのだと思いますか?


それが今日のテーマです。


市町村介護保険事業計画で定めた介護保険サービスの見込み量に基づいて第1号被保険者の介護保険料を決定します。


そのために,5年を1期では長すぎるのです。


介護保険事業計画以外に,計画の内容によって利用者の利用額が決まる制度はありません。


それでは,なぜ障害福祉計画は,3年を1期としているのでしょうか。


障害福祉計画の第1期は,介護保険事業計画が3年を1期となった時に同時スタートしたために,介護保険事業計画と足並みをそろえて3年を1期としたと考えられます。


これとは別の話ですが,近年の改正では,医療計画と医療費適正化計画が5年を1期から6年を1期に変わりました。


その理由は,介護保険事業計画が3年を1期とするためです。


5年を1期とするものと3年を1期とするものが同時スタートするのは,15年に1度しかありません。


それを6年を1期にすると6年ごとに同時スタートすることができます。さらには,医療計画は3年ごとに見直すことになっているので,密接に計画することが可能となります。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題45 福祉計画等と事業の財源との関係に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村は,市町村介護保険事業計画に規定する介護サービスの見込量に基づき,その市町村に居住する第2号被保険者の保険料額を定めなければならない。

2 国は,市町村健康増進計画に基づいて,住民の健康増進のために必要な事業を行う市町村に対し,予算の範囲内で事業費の一部を補助することができる。

3 市町村は,都道府県医療費適正化計画に規定される医療費の見通しに基づいて,国民健康保険料を定めなければならない。

4 市町村は,市町村障害福祉計画に規定する障害福祉サービスの見込量に基づき,利用者負担額を定めなければならない。

5 都道府県は,市町村老人福祉計画に規定するサービスの見込量に基づき,市町村に対し,養護老人ホームの入所に係る措置費の一部を補助することができる。


正解は,選択肢2です。

2 国は,市町村健康増進計画に基づいて,住民の健康増進のために必要な事業を行う市町村に対し,予算の範囲内で事業費の一部を補助することができる。


これが正解ですが,市町村健康増進計画の内容によって,補助金額が変わるわけではありません。


この文章は「市町村健康増進計画に基づいて」がなくても「国は,住民の健康増進のために必要な事業を行う市町村に対し,予算の範囲内で事業費の一部を補助することができる」でも良いものです。


実にうまい問題だと思います。


選択肢1はうっかりすると間違いそうです。


1 市町村は,市町村介護保険事業計画に規定する介護サービスの見込量に基づき,その市町村に居住する第2号被保険者の保険料額を定めなければならない。


市町村が定めるのは,第2号被保険者の保険料です。


3 市町村は,都道府県医療費適正化計画に規定される医療費の見通しに基づいて,国民健康保険料を定めなければならない。

4 市町村は,市町村障害福祉計画に規定する障害福祉サービスの見込量に基づき,利用者負担額を定めなければならない。


この2つはでたらめです。


5 都道府県は,市町村老人福祉計画に規定するサービスの見込量に基づき,市町村に対し,養護老人ホームの入所に係る措置費の一部を補助することができる。


養護老人ホームは,なぜかわかりませんが,老人福祉法では国の補助も都道府県の補助も規定していないのです。


補助があるのは,居宅における介護等です。

2023年1月26日木曜日

民生費の目的別歳出の割合(永久保存版)

地方財政の出題頻度は極めて高いですが,覚えるのが面倒だと感じている人は多いのではないでしょうか。

 

今日は前説なしに今日の問題です。

 

34回・問題45 「令和3年版地方財政白書」(総務省)における2019年度(令和元年度)の民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額の構成比は,高い方から,教育費,公債費,民生費の順となっている。

2 民生費の目的別歳出の割合は,市町村では児童福祉費よりも社会福祉費の方が高い。

3 民生費の目的別歳出の割合は,都道府県では生活保護費よりも老人福祉費の方が高い。

4 民生費の性質別歳出の割合は,市町村では扶助費よりも人件費の方が高い。

5 民生費の性質別歳出の割合は,都道府県では補助費等よりも扶助費の方が高い。

 

民生費の目的別歳出と性質別歳出が出題されています。

 

整理すると以下のようになります。

 

 

(地方公共団体)

目的別歳出

(民生費)

目的別歳出

(民生費)

性質別歳出

純計

民生費

児童福祉費

補助費等

都道府県

教育費

老人福祉費

補助費等

市町村

民生費

児童福祉費

扶助費

 

市町村と都道府県を合わせた純計と市町村のみと都道府県のみでは,順位が変わるのが面倒なところです。しかし,この表だけを覚えていれば,何とかなります。

 

これをもとに解説です。

 

1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額の構成比は,高い方から,教育費,公債費,民生費の順となっている。

 

地方公共団体の目的別歳出の純計で最も多いのは,民生費です。

 

2 民生費の目的別歳出の割合は,市町村では児童福祉費よりも社会福祉費の方が高い。

 

市町村の民生費(目的別歳出)の内訳で最も多いのは,児童福祉費です。

 

3 民生費の目的別歳出の割合は,都道府県では生活保護費よりも老人福祉費の方が高い。

 

これが正解です。

 

都道府県の民生費(目的別歳出)の内訳で最も多いのは,老人福祉費です。

 

4 民生費の性質別歳出の割合は,市町村では扶助費よりも人件費の方が高い。

 

市町村の民生費(歳出別歳出)の内訳で最も多いのは,児童福祉費です。

 

5 民生費の性質別歳出の割合は,都道府県では補助費等よりも扶助費の方が高い。

 

都道府県の民生費(歳出別歳出)の内訳で最も多いのは,補助費等です。

2023年1月25日水曜日

地方公共団体の歳入の状況

今回は,地方公共団体の歳入について取り組みます。


最も多いのは,地方税です。約40%が地方税で占められます。ただし,50%は越えていないところが注意ポイントです。

そのほかの財源では,地方交付税と国庫支出金がそれぞれ15%程度となっています。


大昔は,国がお金を集めて,地方交付税や国庫支出金として地方に支出してきましたが,近年は,地方分権の流れによって,財源移譲のために地方税が最も多くなっています。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題46 「令和2年版地方財政白書」(総務省)における地方財政の状況(普通会計)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県及び市町村の歳入純計決算額では,地方交付税の割合が最も大きい。

2 都道府県の目的別歳出では,土木費の割合が最も大きい。

3 市町村の目的別歳出では,民生費の割合が最も大きい。

4 都道府県の性質別歳出では,公債費の割合が最も大きい。

5 市町村の性質別歳出では,補助費等の割合が最も大きい。


この問題の設問には(普通会計)と出題されています。


その理由は,第30回国試では,民生費と特別会計を混ぜた問題を出題されて,受験生を混乱させたからです。


地方公共団体の会計には,普通会計と特別会計があります。社会福祉士の国家試験で出題されるもののうち,特別会計を組まなければならないものは,介護保険と国民健康保険の2つです。


特別会計は,それ以外の支出とは別に計上するものです。財政が明確になるからでしょう。


なお,地方公共団体の歳入の問題は,しぱらくは出題しにくいと言えます。近年の動きによって,順位が変動しているからです。


それでは解説です。


1 都道府県及び市町村の歳入純計決算額では,地方交付税の割合が最も大きい。


地方公共団体の歳入のうち,最も大きな割合を占めているのは地方税です。

ただし,令和4年度地方財政白書では,新型コロナウイルス対策のため,国庫支出金が増加し,地方税の方が大きくなりました。

このように年度によって順位に変動があるものは,出題されません。



明治以降の近代日本では,産業が十分に発達していなかったこともあり,国がお金を集めて(つまり国税),地方公共団体に支出するスタイルを取ってきました。


しかし,今は地方分権化の時代です。


2000年代初頭に行われた三位一体改革によって,財源を地方に移し,地方交付税を削減しました。


そのために地方税が最も大きくなっていると覚えると良いです。(もとに戻ればの話)


2 都道府県の目的別歳出では,土木費の割合が最も大きい。

3 市町村の目的別歳出では,民生費の割合が最も大きい。


〈目的別歳出〉

純計(市町村+都道府県) → 民生費

都道府県 → 教育費

市町村 → 民生費


つまり,正解は,選択肢3です。


4 都道府県の性質別歳出では,公債費の割合が最も大きい。

5 市町村の性質別歳出では,補助費等の割合が最も大きい。


〈民生費の性質別歳出〉

純計(市町村+都道府県) → 補助費等

都道府県 → 補助費等

市町村 → 扶助費


都道府県と市町村に分けると順位が変わるのは,それぞれの役割の違いのためです。


市町村は,直接的な住民サービスを行い,都道府県は市町村が行うのに向かない事務を行います。

2023年1月24日火曜日

民生費の内訳

 民生費とは,地方公共団体の歳出のうち,福祉にかかる費用のことをいいます。


(民生費の内訳)


市町村で最も多いのは「児童福祉費」です。

都道府県で最も多いのは「老人福祉費」です。

市町村と都道府県を合わせた純計で最も多いのは「児童福祉費」です。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。

2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。

3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。

4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。

5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。


「市町村+都道府県」(純計),「市町村」,「都道府県」の3つの項目が出題されているちょっと面倒な問題です。


しかし,正解はよく出題されるものとなっているので,しっかり勉強した人は得点できたはずです。


それでは,解説です。


1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。


これは,「市町村+都道府県」(純計)のデータです。


最も多いのは,民生費です。


市町村で最も多いのも民生費です。

都道府県で最も多いのは,教育費です。


2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。


都道府県で最も多いのは,老人福祉費です。

市町村で最も多いのは,児童福祉費です。

「市町村+都道府県」(純計)で最も多いのは,児童福祉費です。


3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。


性質説歳出では,都道府県が最も多いのは,補助費です。


4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。


これが正解です。


目的別歳出では,市町村が最も多いのは,児童福祉費です。


5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。


性質別歳出では,市町村が最も多いのは,扶助費です。


2023年1月23日月曜日

民生費について

民生費とは,地方公共団体の歳出のうち,福祉にかかる費用のことをいいます。

 

民生費の出題は毎年のようにありますが,覚えるのが面倒なこともあり,苦手な人も多いようです。

 

地方公共団体の歳出の割合は,市町村と都道府県では順位が異なるのが面倒なものです。


〈地方公共団体の歳出〉

 市町村で最も多いのは「民生費」です。

都道府県で最も多いのは「教育費」です。

市町村と都道府県を合わせると最も多いのは「民生費」です。

 

民生費の内訳も面倒です。


〈民生費の内訳〉 

市町村で最も多いのは「児童福祉費」です。

都道府県で最も多いのは「老人福祉費」です。

市町村と都道府県を合わせると最も多いのは「児童福祉費」です。

 

老人福祉費が最も多いように思う人は多いと思いますが,民生費は福祉にかかる費用を計上するものなので,社会保険制度である介護保険にかかる費用は民生費ではなく,介護保険特別会計という項目に計上されます。

 

今日の高齢者施策の中心は介護保険なので,老人福祉にかかる費用はそれほど多くはないのです。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題45 「平成27年版地方財政白書」(総務省)に基づく2013年度(平成25年度)の市町村の民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。

3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。

4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。

5 民生費の目的別扶助費の状況をみると,補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。

 

古い統計ですが,今も傾向は一切変わっていません。社会福祉士の国家試験で取り扱うものは,年度によって変化があるものを避けて出題しています。

 

「順位が変わったところが出題される」という人がいますが,それは今の国家試験を知らない人の話です。

 

それでは解説です。

 

1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。

 

市町村で最も多いのは,民生費です。

 

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。

 

これが正解です。

市町村で最も多いのは,児童福祉費です。

 

そのために,老人福祉費は児童福祉費よりも少なくなるのは当然です。

 

都道府県では,老人福祉費が最も多いので注意が必要です。

 

3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。

 

市町村と都道府県を比較すると,市町村のほうが多くなっています。

 

直接的な住民サービスを行うのは市町村だからです。

 

4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。

 

民生費の性質別内訳も市町村と都道府県では異なるものです。

 

市町村が最も多いのは,扶助費です。

 

都道府県が最も多いのは,補助費です。

 

扶助費とは,実際に住民に給付するものです。直接的な住民サービスを行うのは市町村なので,扶助費が一番多くなるのは当然です。

 

補助費は,団体や施設などに補助するものです。都道府県が住民に給付するものはほとんどないので,扶助費よりも補助費のほうが多くなります。

2023年1月22日日曜日

機関・施設に配置される専門職~その3

今回も,機関に配置される専門職を取り上げたいと思います。

 

今日も,前説なしに問題です。

 

34回・問題46 福祉行政における専門職等の法令上の位置づけに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県の福祉事務所に配置される社会福祉主事は,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。

2 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)は,社会福祉主事でなければならない。

3 身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司は,身体障害者の更生援護等の事業に5年以上従事した経験を有しなければならない。

4 地域包括支援センターには,原則として社会福祉主事その他これに準ずる者を配置しなければならない。

5 児童相談所においては,保育士資格を取得した時点でその者を児童福祉司として任用することができる。

 

この問題の難易度は決して高くないと思いますが,知識があいまいだと正解するのは,簡単ではありません。

 

正解できそうで,実際にはできないというのが,問題づくりでは最高です。へんてこな問題を出題して,勉強した人も正解できないというのは資格試験では不適切です。

 

理想的な資格試験は,勉強した人は正解できて,勉強不足の人は正解できない問題が出題されることです。

 

今後はこういった問題がおそらく多く出題されることでしょう。

 

それでは,解説です。

 

1 都道府県の福祉事務所に配置される社会福祉主事は,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。

 

都道府県は,以前は福祉六法を取り扱っていましたが,老人福祉法,知的障害者福祉法,身体障害者福祉法は市町村に権限移譲されたために,現在は,生活保護法,児童福祉法,母子及び父子並びに寡婦福祉法の3法を扱います。

この3法については,イメージができますか?

●生活保護法は,福祉事務所を設置しない町村があるので,その代わりに都道府県が保護を行います。


●児童福祉法は,入所措置などを行います。

 

●母子及び父子並びに寡婦福祉法は,母子福祉資金,父子福祉資金,寡婦福祉資金の貸し付けを行います。

 

もちろんこれだけではありませんが,こういったことを考えると国試当日には混乱せずに済むことでしょう。これが確実に覚えるコツです。

 

2 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)は,社会福祉主事でなければならない。

 

これが正解です。

 

福祉事務所の現業員と査察指導員は社会福祉主事でなければなりません。

 

これまでの国試で何度も何度も出題されてきたものです。

 

国家試験では,社会福祉主事ではなく,社会福祉士でなければならない,と出題されることが多くあるので,注意が必要です。

 

社会福祉士の配置義務があるのは,地域包括支援センターのみです。

 

3 身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司は,身体障害者の更生援護等の事業に5年以上従事した経験を有しなければならない。

 

社会福祉主事が身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司に任用されるには,2年以上の実務経験が必要です。

 

社会福祉士の場合は,実務経験がなくても任用されます。

 

4 地域包括支援センターには,原則として社会福祉主事その他これに準ずる者を配置しなければならない。

 

地域包括支援センターには,社会福祉士,保健師,主任介護支援専門員が配置されます。

 

5 児童相談所においては,保育士資格を取得した時点でその者を児童福祉司として任用することができる。

 

児童福祉司として任用される際に実務経験を必要としないのは,社会福祉士です。

 

保育士は,2年間の実務経験がある者が講習会を受けることで任用資格を得ることができます。

2023年1月21日土曜日

機関・施設に配置される専門職~その2

今回も,機関・施設に配置される専門職を取り上げたいと思います。

 

今日も,前説なしに問題です。

 

33回・問題45 次のうち,行政機関に配置が義務づけられている職種として,正しいものを1つ選びなさい。

1 身体障害者更生相談所の身体障害者相談員

2 都道府県福祉事務所の知的障害者福祉司

3 婦人相談所の母子・父子自立支援員

4 精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員

5 児童相談所の児童福祉司

 

この問題の答え自体は,決して難しくないですが,正解するのは簡単ではありません。それが国家試験の怖いところです。

 

この問題が簡単に正解できない理由は,「身体障害者相談員」「精神保健福祉相談員」という聞き慣れないものが含まれるためです。

 

これらによって受験者は混乱し,冷静に考えることができなくなるのです。本当に怖いです。

 

それでは,解説です。

 

1 身体障害者更生相談所の身体障害者相談員

 

身体障害者相談員は,市町村あるいは都道府県が任意で委託されるもので,配置の規定はありません。

 

2 都道府県福祉事務所の知的障害者福祉司

 

知的障害者福祉司の配置義務があるのは,知的障害者更生相談所です。

 

3 婦人相談所の母子・父子自立支援員

 

母子・父子自立支援員は,福祉事務所に任意で配置されます。

 

4 精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員

 

精神保健福祉相談員は,精神保健福祉センター及び保健所に任意で配置されます。

 

5 児童相談所の児童福祉司

 

これが正解です。児童福祉司は児童相談所に配置義務があります。

2023年1月20日金曜日

機関・施設に配置される専門職~児童福祉司

今回は,機関・施設に配置される専門職を取り上げたいと思います。


今日は,前説なしに問題です。


第29回・問題45 社会福祉における専門職に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 知的障害者福祉司は,都道府県の設置する知的障害者更生相談所に配置されなければならない。

2 児童福祉司は,社会福祉士として2年以上児童福祉事業に従事した者のうちから任用しなければならない。

3 身体障害者福祉司は,市及び福祉事務所を設置する町村では,その設置する福祉事務所に配置されなければならない。

4 主任介護支援専門員は,保健師,社会福祉士と共に福祉事務所に配置されなければならない。

5 都道府県の社会福祉主事は,都道府県に設置する福祉事務所において,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。


この問題の中で,特に注意したいのは,選択肢2です。


2 児童福祉司は,社会福祉士として2年以上児童福祉事業に従事した者のうちから任用しなければならない。


児童福祉司に任用されるにあたって2年間の実務経験が必要なのは,社会福祉主事です。

社会福祉士の場合は,実務経験がなくても,社会福祉士の資格があれば,児童福祉司に任用されます。

今,この学習部屋に訪れている方のほとんどは社会福祉士の資格取得を目指している方だと思いますが,こういった規定から,社会福祉士は特別な存在であることがわかるでしょう。

皆さんが資格取得を目指している社会福祉士は,それだけ期待されているものであることを覚えておきたいです。

最初は,2年以上児童福祉事業に従事した社会福祉主事の方が,経験のない社会福祉士よりも仕事ができるでしょう。

社会福祉士は新卒では仕事ができなくても,「知識」「価値」「介入技術」をしっかり身につけて現場に入ります。特定の分野の実務に必要な知識は働いてからでも身につけられます。


それでは,選択肢2以外の解説です。


1 知的障害者福祉司は,都道府県の設置する知的障害者更生相談所に配置されなければならない。


これが正解です。知的障害者福祉司は,知的障害者更生相談所に配置義務があります。


市町村が設置する福祉事務所には任意で配置することができます。


この仕組みは,身体障害者福祉法が規定する身体障害者更生相談所と身体障害者福祉司も同じです。


社会福祉士が知的障害者福祉司及び身体障害者福祉司に任用されるためには,児童福祉司と同様に,実務経験は必要としません。


3 身体障害者福祉司は,市及び福祉事務所を設置する町村では,その設置する福祉事務所に配置されなければならない。


選択肢2で述べたように,身体障害者福祉司は,都道府県が設置する身体障害者更生相談所に配置義務があり,市町村が設置する福祉事務所には任意で配置することができます。


4 主任介護支援専門員は,保健師,社会福祉士と共に福祉事務所に配置されなければならない。


主任介護支援専門員,保健師,社会福祉士の3職種の配置義務があるのは,地域包括支援センターです。

社会福祉士の配置義務があるのは,地域包括支援センターのみです。

なお,主任介護支援専門員は,現在は,居宅介護支援事業所の管理者の要件にもなっています。


5 都道府県の社会福祉主事は,都道府県に設置する福祉事務所において,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。


都道府県は,以前は福祉六法を取り扱っていましたが,老人福祉法,知的障害者福祉法,身体障害者福祉法は市町村に権限移譲されたために,現在は,生活保護法,児童福祉法,母子及び父子並びに寡婦福祉法の3法を扱います。


この3法で都道府県が行う事務を想起できますか?

代表的なものとしては,以下のような事務があります。


生活保護法は,福祉事務所を設置しない町村があるので,その代わりに都道府県が保護を行います。


児童福祉法では,都道府県が入所措置などを行います。


母子及び父子並びに寡婦福祉法では,都道府県が母子福祉資金,父子福祉資金,寡婦福祉資金の貸し付けを行います。


こういったものを押さえておけば,都道府県の福祉事務所が行う事務としても知識を応用できそうです。そうすれば,国試当日には度忘れせず,混乱せずに済むことでしょう。

こういった理解が得点力を上げます。

2023年1月19日木曜日

都道府県が設置しなければならない機関・施設~その2

市町村は,直接的な住民サービスに関する事務を行います。

 

都道府県は,事業所指定や認可・認定などの基盤整備,専門職の確保や研修,専門性の高い事務など,規模や性質において,市町村が行うには向かない事務を行います。

 

これらは,設置する機関にも同じことが言えます。

 

都道府県が設置しなければならない機関(主なもの) 

・身体障害者更生相談所

・知的障害者更生相談所

・精神保健福祉センター

・介護保険審査会

・福祉事務所

・児童相談所

・婦人相談所

・保健所   etc・・・

 

都道府県が設置する機関・施設は,専門性の高い判断が求められる事務を行っています。

もう慣れて来ましたか?

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題44 次のうち,都道府県が設置しなければならないと法律に規定されている行政機関として,正しいものを1つ選びなさい。

1 発達障害者支援センター

2 基幹相談支援センター

3 地域包括支援センター

4 精神保健福祉センター

5 母子健康包括支援センター

 

前回取り上げた問題と極めてよく似た内容です。

 

前回の問題

 https://fukufuku21.blogspot.com/2023/01/blog-post_18.html

引っ掛けポイントは,前回の問題とまったく同じである「1 発達障害者支援センター」です。

 

発達障害者支援センターは,都道府県が設置するものですが,義務ではなく,任意なのです。

 

 

〈発達障害者支援センターの業務〉

・発達障害の早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障害者及びその家族その他の関係者に対し、専門的に、その相談に応じ、又は情報の提供若しくは助言を行う。

・発達障害者に対し、専門的な発達支援及び就労の支援を行う。

・医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障害についての情報の提供及び研修を行う。

・発達障害に関して、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行う。

 

専門的」という文言が含まれているのが,いかにも都道府県が設置する施設らしいところです。市町村は,基本的な住民サービスを行い,専門的なものは都道府県が行います。

 

身体障害者更生相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センターは設置義務があるのに対し,発達障害者支援センターは任意で設置するという規定になっています。

 

この違いの理由にはいろいろあると思いますが,その1つとしては,身体障害者更生相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センターは,それぞれ障害等級を定める業務のためです。

 

発達障害者の場合はこういった業務がないので,必ずしも設置されなくても業務が滞ることはありません。あればより良いという位置づけです。

 

さて,改めての解説です。

 

1 発達障害者支援センター

 ➡ 都道府県は設置することができる(任意)。※法律上の規定は,都道府県知事は、次に掲げる業務を、社会福祉法人その他の政令で定める法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者(以下「発達障害者支援センター」という。)に行わせ、又は自ら行うことができる。

 

2 基幹相談支援センター

 ➡ 市町村は設置することができる(任意)。

 

3 地域包括支援センター

 ➡ 市町村は設置することができる(任意)。

 

4 精神保健福祉センター

 ➡ 都道府県(及び)指定都市は設置しなければならない(義務)。

 

5 母子健康包括支援センター

 ➡ 市町村は,設置するよう努めなければならない(努力義務)。

 

ということで,正解は「4 精神保健福祉センター」です。

 

市町村が設置する基幹相談支援センター,地域包括支援センター,母子健康包括支援センターは,直接的な住民サービスを行う機関・施設です。

 

こういった直接的な住民サービスの実施は,市町村の役割です。

2023年1月18日水曜日

都道府県が設置しなければならない機関・施設~その1

市町村は,直接的な住民サービスに関する事務を行います。

 

都道府県は,事業所指定や認可・認定などの基盤整備,専門職の確保や研修,専門性の高い事務など,規模や性質において,市町村が行うには向かない事務を行います。

 

これらは,設置する機関や施設にも同じことが言えます。

 

都道府県が設置しなければならない機関・施設(主なもの) 

・身体障害者更生相談所

・知的障害者更生相談所

・精神保健福祉センター

・介護保険審査会

・福祉事務所

・児童相談所

・婦人相談所

・保健所   etc・・・

 

都道府県が設置する機関や施設は,専門性の高い判断が求められる事務を行うのが特徴です。

 

国試当日にど忘れした時に,こういったことを手がかりにすると良いです。

 

それでは今日の問題です。

 

30回・問題45 社会福祉等に係る法定の機関に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県は,発達障害者支援センターを設置しなければならない。

2 都道府県は,身体障害者更生相談所を設置しなければならない。

3 市町村は,児童相談所を設置しなければならない。

4 市町村は,婦人相談所を設置しなければならない。

5 市町村は,保健所を設置しなければならない。

 

この問題は,少し意地悪な問題です。

 

3 市町村は,児童相談所を設置しなければならない。

4 市町村は,婦人相談所を設置しなければならない。

5 市町村は,保健所を設置しなければならない。

 

これからはすべて都道府県に設置義務があるものです。

 

児童相談所は,指定都市にも設置義務があり,特別区と中核市は任意で設置します。

 

婦人相談所は,前回紹介したように,今後は「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく「女性相談支援センター」になります。設置するのは,売春防止法の時代と同様に,都道府県に設置義務があり,指定都市は任意で設置します。

 

保健所は,都道府県のほかに,指定都市,特別区にも設置義務があります。

 

意地悪ポイントは,発達障害者支援センターです。

 

発達障害者支援センターは,発達障害者支援法に規定され,都道府県が任意で設置するものです。

 

都道府県が設置しなければならないのは,選択肢2の「身体障害者更生相談所」です。

 

〈身体障害者更生相談所の業務〉

1 市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行う。

2 身体障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行う

3 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行う

4 必要に応じ、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための補装具の処方及び適合判定を行う

 

1はともかく,2~4は,規模が小さい市町村,特に村で実施するのは極めて困難です。

 

こういった市町村が行うことが難しいものをバックアップするのが都道府県の役割です

2023年1月17日火曜日

売春防止法と婦人相談所

現時点(2023年1月)では,婦人相談所は売春防止法に規定されています。

 

2022年に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が成立したのをご存じでしょうか。

 

婦人保護事業は,これまで売春防止法が担っていましたが,「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の成立に伴い,婦人保護事業に関する規定はばっさりと削られ,本来の売春防止のみが残されました。

 

2024年に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行されると,婦人相談所は,この法に基づく「女性相談支援センター」に生まれ変わります。

 

しかし,これらが国家試験に出題されるのは,数年先のことでしょう。

 

それでは,今日の問題です。

 

23回・問題43 福祉行政における専門組織に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 婦人相談所は,母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき設置され,配偶者暴力相談支援センターとしての機能を兼ねることができる。

2 児童相談所は,社会福祉法に基づき設置され,児童の健康相談に応じ,又は健康診査を行い,必要に応じ,保健指導を行うことができる。

3 身体障害者更生相談所は,障害者基本法に基づき設置され,必要に応じ,巡回して業務を行うことができる。

4 地域包括支援センターは,介護保険法に基づき設置され,介護予防ケアマネジメント業務,総合相談支援業務,権利擁護業務及び包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を行うこととされている。

5 福祉事務所は,地方自治法に基づき設置され,所長は,設置する地方公共団体の長が,議会の同意を得て選任することとされている。

 

ずいぶん古い問題ですが,実に社会福祉士の国家試験らしい問題です。

 

それは,根拠法を変えて出題しているからです。

 

単純な問題ですが,正解するのはとても難しいものてせす。

 

平成19年度カリキュラム改正によって,「福祉行財政と福祉計画」が誕生し,第22回国家試験から登場しました。

 

令和元年度カリキュラムでこの科目はほかの科目に吸収されたので,国家試験にあるのは,第2236回ということになりました。

 

今日の問題は,第23回のものなので,この科目としては,2回目の登場です。この頃,ゼロ点科目が最も多く出たのが,実はこの科目です。

 

どんな問題が出題されるかがよくわからなかったために,対策が取りにくかったこともあります。

 

それから国家試験を積み重ねてきたこともあり,今はそれほど得点しにくい科目ではなくなってきています。出題される内容や出題の仕方が固定化しているからです。

 

そういった意味で,令和元年度カリキュラムでは消滅した科目ですが,科目を作った目的は果たしたと言えるのかもしれません。

 

それでは,今日の問題の解説です。

 

1 婦人相談所は,母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき設置され,配偶者暴力相談支援センターとしての機能を兼ねることができる。

 

早速,今日のテーマは「婦人相談所」です。

 

婦人相談所は,売春防止法に基づく機関です。今後は,「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく「女性相談支援センター」に移行します。

 

2 児童相談所は,社会福祉法に基づき設置され,児童の健康相談に応じ,又は健康診査を行い,必要に応じ,保健指導を行うことができる。

 

この問題は,論点が2つあるダブルバーレルとなっています。

 

現在は,こういったダブルバーレル問題は作られていません。

 

2つのポイントとは,児童相談所は児童福祉法に基づく機関であり,児童の健康相談や健康診査を行うのは保健所です。

 

3 身体障害者更生相談所は,障害者基本法に基づき設置され,必要に応じ,巡回して業務を行うことができる。

 

身体障害者更生相談所は,注意が必要なものです。

 

身体障害者福祉法に基づいて,都道府県は身体障害者更生相談所を設置しなければなりません。

 

身体障害者更生相談所は,以下の業務を行います。

1 市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行う。

2 身体障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行う。

3 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行う。

4 必要に応じ、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための補装具の処方及び適合判定を行うこと。

 

2~4の業務は,住民からすると都道府県レベルでは遠すぎます。そのために,「必要に応じ、巡回して、前項に規定する業務を行うことができる」という規定があります。

 

都道府県が設置する身体障害者更生相談所に自ら行くのは大変なので,その代わりに,更生相談所が身近なところに来て業務を行うのです。

 

住民にとっては有難い仕組みです。

 

4 地域包括支援センターは,介護保険法に基づき設置され,介護予防ケアマネジメント業務,総合相談支援業務,権利擁護業務及び包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を行うこととされている。

 

これが正解です。

 

地域支援事業の包括的支援事業のうち,この4つがいわゆる地域包括支援センター事業と呼ばれるものです。

 

5 福祉事務所は,地方自治法に基づき設置され,所長は,設置する地方公共団体の長が,議会の同意を得て選任することとされている。

 

これもダブルバーレルになっているものです。

 

福祉事務所は,社会福祉法に基づいて設置され,所の長の選任に対しては議会の同意は必要とされません。

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