福祉計画はたくさんあって覚えるのは難しいですが,少ないものを覚えるのが確実で効率的です。
一体のものとして策定することが法で規定されているのは,「老人福祉計画と介護保険事業計画」,「障害福祉計画と障害児福祉計画」の2つしかありません。
そのほかは,「調和が保たれたものでなければならない」という「調和」の関係がほとんどです。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題48 各種福祉計画策定に際して,相互の連携に関する各福祉法の規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村地域福祉計画は,地方自治法の定める基本構想に即して策定されなければならない。
2 市町村地域福祉計画は,市町村老人福祉計画と一体のものとして策定されなければならない。
3 市町村老人福祉計画は,市町村介護保険事業計画と一体のものとして策定されなければならない。
4 母子家庭及び寡婦自立促進計画は,次世代育成支援対策推進法に定める市町村行動計画と一体のものとして策定されなければならない。
5 都道府県介護保険事業支援計画は,医療法に規定される医療計画と一体のものとして策定されなければならない。
正解は,選択肢3です。
3 市町村老人福祉計画は,市町村介護保険事業計画と一体のものとして策定されなければならない。
秒殺でしょう。
ついでにもう一問です。
第29回・問題47 福祉計画等の策定に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市町村障害者計画と市町村障害福祉計画は,一体のものとして策定されなければならない。
2 市町村は,市町村障害福祉計画を定めたときは,厚生労働大臣に提出しなければならない。
3 市町村は,市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画のうち,いずれか一つを策定すればよい。
4 市町村子ども・子育て支援事業計画は,都道府県知事の定める基本指針に即して策定される。
5 都道府県介護保険事業支援計画は,医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
なかなかの難問です。
正解は,選択肢5です。
5 都道府県介護保険事業支援計画は,医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。
福祉計画の関連については,「一体のもの」「調和」が良く知られますが,実は「整合性」の関係があります。
整合性の関係でつながっているのは,介護保険法の「都道府県介護保険事業支援計画」,医療介護総合確保推進法の「都道府県計画」,医療法の「医療計画」しかありません。
これらは,医療法と医療費適正化計画が「5年を一期」から「6年を一期」に変更した理由と同様に,地域包括ケアシステムの構築のためです。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 市町村障害者計画と市町村障害福祉計画は,一体のものとして策定されなければならない。
障害福祉計画は,障害児福祉計画と一体のものとして策定することができます。
2 市町村は,市町村障害福祉計画を定めたときは,厚生労働大臣に提出しなければならない。
市町村障害福祉計画の歳出先は,都道府県知事です。
3 市町村は,市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画のうち,いずれか一つを策定すればよい。
老人福祉計画と介護保険事業計画は,一体のものとして策定さなければなりません。
この2つの計画が一体のものとして策定されなければならない理由は,それぞれの計画の内容に関係しています。
どちらも供給するサービス量を定めます。高齢者ケアには,社会保険制度があるため,ほかの領域とは異なる特徴があります。
障害分野には社会保険制度はありませんが,障害福祉計画と障害児福祉計画はいずれも提供するサービス量を定めます。
障害者計画と障害福祉計画は,策定する目的が異なるために,あえて一体のものとして策定する意味がありません。
注意が必要なのは,市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画です。
市町村地域福祉計画と一体に策定している市町村も存在していることから,引っ掛けで出題されます。
気を付けたいです。
4 市町村子ども・子育て支援事業計画は,都道府県知事の定める基本指針に即して策定される。
子ども・子育て支援法に基づく基本指針を定めるのは,内閣総理大臣です。
基本指針など「基本〇〇」がつくものは,基本的に中央官庁の役割です。
そのうち,子ども・子育て支援法と障害者基本法は内閣府が担当している法制度です。
そのため,これらの基本指針,基本計画を定めるのは厚生労働大臣ではないことに注意が必要です。