市町村は,直接的な住民サービスに関する事務を行います。
都道府県は,事業所指定や認可・認定などの基盤整備,専門職の確保や研修,専門性の高い事務など,規模や性質において,市町村が行うには向かない事務を行います。
これらは,設置する機関や施設にも同じことが言えます。
都道府県が設置しなければならない機関・施設(主なもの)
・身体障害者更生相談所 ・知的障害者更生相談所 ・精神保健福祉センター ・介護保険審査会 ・福祉事務所 ・児童相談所 ・婦人相談所 ・保健所 etc・・・ |
都道府県が設置する機関や施設は,専門性の高い判断が求められる事務を行うのが特徴です。
国試当日にど忘れした時に,こういったことを手がかりにすると良いです。
それでは今日の問題です。
第30回・問題45 社会福祉等に係る法定の機関に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県は,発達障害者支援センターを設置しなければならない。
2 都道府県は,身体障害者更生相談所を設置しなければならない。
3 市町村は,児童相談所を設置しなければならない。
4 市町村は,婦人相談所を設置しなければならない。
5 市町村は,保健所を設置しなければならない。
この問題は,少し意地悪な問題です。
3 市町村は,児童相談所を設置しなければならない。
4 市町村は,婦人相談所を設置しなければならない。
5 市町村は,保健所を設置しなければならない。
これからはすべて都道府県に設置義務があるものです。
児童相談所は,指定都市にも設置義務があり,特別区と中核市は任意で設置します。
婦人相談所は,前回紹介したように,今後は「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく「女性相談支援センター」になります。設置するのは,売春防止法の時代と同様に,都道府県に設置義務があり,指定都市は任意で設置します。
保健所は,都道府県のほかに,指定都市,特別区にも設置義務があります。
意地悪ポイントは,発達障害者支援センターです。
発達障害者支援センターは,発達障害者支援法に規定され,都道府県が任意で設置するものです。
都道府県が設置しなければならないのは,選択肢2の「身体障害者更生相談所」です。
〈身体障害者更生相談所の業務〉
1 市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行う。 2 身体障害者に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行う。 3 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行う。 4 必要に応じ、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための補装具の処方及び適合判定を行う。 |
1はともかく,2~4は,規模が小さい市町村,特に村で実施するのは極めて困難です。
こういった市町村が行うことが難しいものをバックアップするのが都道府県の役割です。