今回は,機関・施設に配置される専門職を取り上げたいと思います。
今日は,前説なしに問題です。
第29回・問題45 社会福祉における専門職に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 知的障害者福祉司は,都道府県の設置する知的障害者更生相談所に配置されなければならない。
2 児童福祉司は,社会福祉士として2年以上児童福祉事業に従事した者のうちから任用しなければならない。
3 身体障害者福祉司は,市及び福祉事務所を設置する町村では,その設置する福祉事務所に配置されなければならない。
4 主任介護支援専門員は,保健師,社会福祉士と共に福祉事務所に配置されなければならない。
5 都道府県の社会福祉主事は,都道府県に設置する福祉事務所において,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。
この問題の中で,特に注意したいのは,選択肢2です。
2 児童福祉司は,社会福祉士として2年以上児童福祉事業に従事した者のうちから任用しなければならない。
児童福祉司に任用されるにあたって2年間の実務経験が必要なのは,社会福祉主事です。
社会福祉士の場合は,実務経験がなくても,社会福祉士の資格があれば,児童福祉司に任用されます。
今,この学習部屋に訪れている方のほとんどは社会福祉士の資格取得を目指している方だと思いますが,こういった規定から,社会福祉士は特別な存在であることがわかるでしょう。
皆さんが資格取得を目指している社会福祉士は,それだけ期待されているものであることを覚えておきたいです。
最初は,2年以上児童福祉事業に従事した社会福祉主事の方が,経験のない社会福祉士よりも仕事ができるでしょう。
社会福祉士は新卒では仕事ができなくても,「知識」「価値」「介入技術」をしっかり身につけて現場に入ります。特定の分野の実務に必要な知識は働いてからでも身につけられます。
それでは,選択肢2以外の解説です。
1 知的障害者福祉司は,都道府県の設置する知的障害者更生相談所に配置されなければならない。
これが正解です。知的障害者福祉司は,知的障害者更生相談所に配置義務があります。
市町村が設置する福祉事務所には任意で配置することができます。
この仕組みは,身体障害者福祉法が規定する身体障害者更生相談所と身体障害者福祉司も同じです。
社会福祉士が知的障害者福祉司及び身体障害者福祉司に任用されるためには,児童福祉司と同様に,実務経験は必要としません。
3 身体障害者福祉司は,市及び福祉事務所を設置する町村では,その設置する福祉事務所に配置されなければならない。
選択肢2で述べたように,身体障害者福祉司は,都道府県が設置する身体障害者更生相談所に配置義務があり,市町村が設置する福祉事務所には任意で配置することができます。
4 主任介護支援専門員は,保健師,社会福祉士と共に福祉事務所に配置されなければならない。
主任介護支援専門員,保健師,社会福祉士の3職種の配置義務があるのは,地域包括支援センターです。
社会福祉士の配置義務があるのは,地域包括支援センターのみです。
なお,主任介護支援専門員は,現在は,居宅介護支援事業所の管理者の要件にもなっています。
5 都道府県の社会福祉主事は,都道府県に設置する福祉事務所において,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。
都道府県は,以前は福祉六法を取り扱っていましたが,老人福祉法,知的障害者福祉法,身体障害者福祉法は市町村に権限移譲されたために,現在は,生活保護法,児童福祉法,母子及び父子並びに寡婦福祉法の3法を扱います。
この3法で都道府県が行う事務を想起できますか?
代表的なものとしては,以下のような事務があります。
生活保護法は,福祉事務所を設置しない町村があるので,その代わりに都道府県が保護を行います。
児童福祉法では,都道府県が入所措置などを行います。
母子及び父子並びに寡婦福祉法では,都道府県が母子福祉資金,父子福祉資金,寡婦福祉資金の貸し付けを行います。
こういったものを押さえておけば,都道府県の福祉事務所が行う事務としても知識を応用できそうです。そうすれば,国試当日には度忘れせず,混乱せずに済むことでしょう。
こういった理解が得点力を上げます。