2023年1月2日月曜日

民生委員の任期

岡山県の済世顧問制度,大阪府の方面委員制度を源流とする民生委員は,民生委員法に規定されています。

 

民生委員は児童委員を兼務しますが,民生委員と異なり,児童委員には児童委員法という個別法は存在せず,児童福祉法で規定されていることに注意が必要です。

 

それでは,今日の問題です。2問あります。

 

まずは,第30回の問題です。

 

30回・問題34 民生委員・児童委員に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 民生委員の任期は5年である。

2 民生委員の職務に関する規定では,その職務に関して必要と認める意見を直接関係各庁に具申することができる。

3 民生委員の推薦は,各市町村に設置された民生委員推薦会が厚生労働大臣に対して行う。

4 主任児童委員は,児童委員の職務とともに,児童福祉の機関と児童委員との連絡調整を行う。

5 児童委員は,児童福祉法に基づく推薦委員会により選任され,それに基づき厚生労働大臣が委嘱する。

 

民生委員・児童委員に関する出題はかなり高頻度です。

 

こういった問題を正解できることが合格には欠かせません。別な言い方をすると,こういった問題で得点できないことは,不合格になることを意味します。

 

社会福祉士の国家試験は,すべて1問は1点です。難しい問題が正解できても易しい問題が正解できなければ合格基準点には達しません。問題が易しくなればなるほど,1点が合否を分けることを忘れてはなりません。

 

それでは,解説です。

 

1 民生委員の任期は5年である。

 

民生委員の任期は3年です。

 

2 民生委員の職務に関する規定では,その職務に関して必要と認める意見を直接関係各庁に具申することができる。

 

その職務に関して必要と認める意見を直接関係各庁に具申することができるのは,民生委員が組織する民生委員協議会です。

 

3 民生委員の推薦は,各市町村に設置された民生委員推薦会が厚生労働大臣に対して行う。

 

民生委員を推薦するのは,都道府県知事です。

 

民生委員の源流となった済世顧問制度も方面委員制度も都道府県で創設されたことをイメージして覚えると良いと思います。

 

4 主任児童委員は,児童委員の職務とともに,児童福祉の機関と児童委員との連絡調整を行う。

 

これが正解です。

 

主任児童委員は,児童委員の中から選ばれて,児童委員の職務とともに,児童福祉の機関と児童委員との連絡調整を行います。

 

5 児童委員は,児童福祉法に基づく推薦委員会により選任され,それに基づき厚生労働大臣が委嘱する。

 

児童委員は,民生委員が兼務します。そのため,児童委員の選任方法は,児童福祉法では規定されません。

 

児童福祉法では児童委員について,以下のように規定されています。

 

民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。

 

この規定によって,民生委員になることは,自動的に児童委員になります。

 

民生委員になるのは良いけれど,児童委員になるのは嫌だ,ということは認められません。

 

それではもう1問です。

 

29回・問題38 民生委員・児童委員に関する法の規定についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童福祉法に定める児童委員は,本人の申出によって,民生委員との兼務を辞退することができる。

2 民生委員は,市町村長の推薦によって,都道府県知事から委嘱される。

3 補欠で着任した民生委員・児童委員は,着任日から起算して3年を任期とすると定められている。

4 民生委員・児童委員の定数は,厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の区域ごとに都道府県の条例で定められている。

5 都道府県知事は,民生委員協議会を組織しなければならない。

 

30回の問題と似ていますが,まったく同じ内容が出題されているわけではありません。

 

これが国家試験の怖いところです。勉強したものは,確実に消去できることが大切です。

それができることが得点力を上げることになります。

 

この問題で迷うのは,選択肢4と選択肢5だと思います。

しかし,答えを2つまで絞り込めたなら,2分の1の確率で正解することができます。

 

答えがわからない問題であっても,答えを2つまで絞り込めることができれば,おそらく合格基準点に到達することができます。

 

答えがわからなくても,知っているものを確実に消去できることが合格をつかみます。

 

それを信じることができれば,国試当日には大きな力を発揮することができます。

 

それでは,解説です。

 

1 児童福祉法に定める児童委員は,本人の申出によって,民生委員との兼務を辞退することができる。

 

児童委員と民生委員はセットです。

どちらかを辞めることは認められません。

 

2 民生委員は,市町村長の推薦によって,都道府県知事から委嘱される。

 

民生委員は,都道府県知事の推薦によって,厚生労働大臣から委嘱されます。

 

3 補欠で着任した民生委員・児童委員は,着任日から起算して3年を任期とすると定められている。

 

民生委員の任期は3年です。

 

民生委員・児童委員は,3年ごとに全国一斉で改選されます。

 

どうしてこのようなことが可能になっているかと言えば,途中で民生委員になった人の任期は,前任者の残任期間だからです。

 

4 民生委員・児童委員の定数は,厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の区域ごとに都道府県の条例で定められている。

 

これが正解です。

 

参酌という言葉は日常生活であまり使われないので,意味をつかめない人もいると思います。

 

参酌とは,「参考にする」という意味です。

 

条例で定める場合,厚生労働大臣の定めたものを「基準として」「標準として」「参酌して」の3段階があります。

 

そのうち,民生委員・児童委員の定数は,「参酌して」です。

 

なお,児童福祉司の定数もかつては,「参酌して」でしたが,現在は「標準として」に格上げになっています。合わせて覚えておきたいです。

 

5 都道府県知事は,民生委員協議会を組織しなければならない。

 

民生委員協議会を組織するのは,民生委員です。

 

次回も民生委員を取り上げたいと思います。

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