人と環境を一体のものとしてとらえるのが「システム理論」です。
人は環境に影響を受けて,人は環境に影響を与えます。
人⇔環境
この双方向性を「交互作用」と言います。
多くのソーシャルワークの理論家が「人と環境」の関係について述べています。
それぞれ特徴があります。
リッチモンド
ソーシャル・ケース・ワークは,「人と社会環境との間を個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる過程」
ソロモン
人は抑圧された環境に置かれると,無力(パワーレス)の状態に陥ることが多い。
パールマン
クライエントは,役割ネットワークのなかで役割を生成している存在。
バートレット
人々が試みる対処と環境からの要求との間で保たれる均衡関係。
ホリス
人と環境及び両者の相互作用の連関性としてとらえる。
ピンカスとミナハン
人々と資源システムとの連結や相互作用に着目。
ジャーメインとギッターマン
生態学の視点を用いて,個人と環境との接点に介入する。
ラップとゴスチャ
人にも環境にもストレングスを見出すことができる。
今までの国試ではこれらのことが問われていますが,最後は第27回です。
第28~31回は,「人と環境」についての人名を問う問題は出題されていません。
しばらく出題されていないのがとても不気味です。
このまま,このスタイルの出題がなくなってしまうのか?
それとも
そのうち,また出題されるのか?
今はまだ時間があります。
しばらく出題されていないということは,3年間の過去問で勉強している人は,問題は目にする機会がないということです。
ほかの受験生と差がつく部分であると言えます。
多くの受験生は「システム」と聞くと苦手な感じがするはずです。
なおのこと,差がつきやすいと言えます。
システム理論は,人と環境を一体のものととらえて,その交互作用に着目するものです。
(2022/06/05追記) システム理論に関する人名問題は第33回に久しぶりに出題されています。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題98 ベルタランフィ(Bertlanffy,L.)の「一般システム理論」を構成する概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 システムを,有機体としてではなく,機械論的な立場からとらえる。
2 システムを,外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。
3 システムの変容結果は,初期条件によって決定づけられるものと考える。
4 システムを要素還元主義の立場から,全体は部分の総和であると考える。
5 個々のシステムを独立したものととらえ,システム間の非階層性を強調する。
「魔の第25回国試」の問題です。
二度と出題されないかもしれませんが,ダメ押しです。
言葉自体が難しすぎますね。
答えは,選択肢2
2 システムを,外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。
システムには,
外部環境に対して開かれている「解放システム」
外部環境に対して閉じられている「閉鎖システム」
があります。
一般システム理論が対象とするのは,「開放システム」です。
解放されているから,有機的に変化していくことができます。
それでは,ほかの選択肢の解説です。
1 システムを,有機体としてではなく,機械論的な立場からとらえる。
システムは絶えず変化しているものです。
システムと聞くと「機械的」と感じる人が多いところから出題されたものです。
これが正解なら
システムを,機械論的な立場からとらえる。
でよいはずです。
有機体としてではなく,とわざわざ排除しているところがとても怪しいと言えます。
3 システムの変容結果は,初期条件によって決定づけられるものと考える。
システムは絶えず変化しているものです
介入によって,どんどん変化していきます。
4 システムを要素還元主義の立場から,全体は部分の総和であると考える。
組織の構成要素は,それぞれ関連しながら発展するものがシステムです。
一人ひとりが力のないチームでも,みんなの力が発揮できれば,個々の力以上の力を発揮することができます。
全体は部分の総和(足し算)ではありません。
5 個々のシステムを独立したものととらえ,システム間の非階層性を強調する。
システムは関連し合っています。
日本というシステム
都道府県というシステム
市町村というシステム
地域というシステム
家族というシステム
上位のシステムの下に下位システムがあります。
システムには階層性があり,すべて関連し合っています。
<今日の一言>
システム理論は今回で終わりです。
「人と環境」について,理解が深まりましたか?
多くの理論家が「人と環境」について述べていますが,それぞれ特徴があります。
丸暗記することなく,特徴を理解しながら覚えていくことが大切です。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題98 ベルタランフィ(Bertlanffy,L.)の「一般システム理論」を構成する概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 システムを,有機体としてではなく,機械論的な立場からとらえる。
2 システムを,外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。
3 システムの変容結果は,初期条件によって決定づけられるものと考える。
4 システムを要素還元主義の立場から,全体は部分の総和であると考える。
5 個々のシステムを独立したものととらえ,システム間の非階層性を強調する。
「魔の第25回国試」の問題です。
二度と出題されないかもしれませんが,ダメ押しです。
言葉自体が難しすぎますね。
答えは,選択肢2
2 システムを,外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。
システムには,
外部環境に対して開かれている「解放システム」
外部環境に対して閉じられている「閉鎖システム」
があります。
一般システム理論が対象とするのは,「開放システム」です。
解放されているから,有機的に変化していくことができます。
それでは,ほかの選択肢の解説です。
1 システムを,有機体としてではなく,機械論的な立場からとらえる。
システムは絶えず変化しているものです。
システムと聞くと「機械的」と感じる人が多いところから出題されたものです。
これが正解なら
システムを,機械論的な立場からとらえる。
でよいはずです。
有機体としてではなく,とわざわざ排除しているところがとても怪しいと言えます。
3 システムの変容結果は,初期条件によって決定づけられるものと考える。
システムは絶えず変化しているものです
介入によって,どんどん変化していきます。
4 システムを要素還元主義の立場から,全体は部分の総和であると考える。
組織の構成要素は,それぞれ関連しながら発展するものがシステムです。
一人ひとりが力のないチームでも,みんなの力が発揮できれば,個々の力以上の力を発揮することができます。
全体は部分の総和(足し算)ではありません。
5 個々のシステムを独立したものととらえ,システム間の非階層性を強調する。
システムは関連し合っています。
日本というシステム
都道府県というシステム
市町村というシステム
地域というシステム
家族というシステム
上位のシステムの下に下位システムがあります。
システムには階層性があり,すべて関連し合っています。
<今日の一言>
システム理論は今回で終わりです。
「人と環境」について,理解が深まりましたか?
多くの理論家が「人と環境」について述べていますが,それぞれ特徴があります。
丸暗記することなく,特徴を理解しながら覚えていくことが大切です。