2019年4月3日水曜日

カタカナ用語を覚えるコツを教えます

社会福祉士を目指す方の中には,介護支援専門員もいるでしょう。

ケアマネジャーということばでわかるように,これらも外国生まれです。

一部の用語は,日本語に置き換えられているので外国生まれだとイメージを持つ人はそれほどいないかもしれません。

それほど介護保険は,日本になじんだと言えるでしょう。

ケアマネジメントはソーシャルワークの一手法を取り出したものです。

ケアマネジメントは,また別な機会に紹介したいと思います。

さて,今日のテーマは「ソーシャルワークは外国生まれ」です。

当然,外国の言葉の専門用語はたくさん登場します。

「カタカナが嫌だ」と思う人も多いことでしょう。

しかしそう思っても始まりません。


<カタカナ用語を覚えるコツ>

ソーシャルワークは,イギリスで生まれて,アメリカで発展したものです。
外国生まれだとしても,英語圏です。

英語ではない用語が出てくるのは,ゲマインシャフト(本質意志)とゲゼルシャフト(選択意志)くらいでしょう。それ以外は,ほとんどが英語です。

そのものの意味は知らなくても,勉強する時に,もともとの用語と結び付けて覚えることができます。

例えば,コンサルテーションであれば,コンサルタント業があるところから,現場の人ではないという連想をしながら覚えます。

アウトリーチは,腕を外に向かって伸ばすのをイメージ化すれば,相談機関で来所を待っているのではなく,外に出かけてつかまえるというイメージができることでしょう。

エンパワメントは,パワーの派生語であることが「パワーづける」と覚えられます。

しかし,アドボカシーは,そうはいきません。

勉強不足の人が意味を推理することができません。

つまり,勉強しない人は解けないものとなります。

社会福祉士の国試は,マーク式です。

正式に覚えなくても,おおよそがわかっていれば,問題文に正しいものがあります。

カタカナ語は覚えにくいですが,いわゆる「語呂合わせ」のようなもので覚えるのは,カタカナの方が向いています。

以下,そのコツです。

アドボカシーの例です。

まず「アドボカシー」という言葉のどこが強く印象をもつことができるかを考えます。

どこを取り出しても良いですが,ボカシーという部分に印象を強く持ったとします。

ボカシーは,ぼかすという日本語に似ています。そこから


ぼかさないで代弁する


という言葉が生まれます。

これでアドボカシーは,代弁機能であるということが覚えられるでしょう。

少なくとも,代弁機能は,メディエーターでも,エデュケーターでも,ブローカーでも,ネゴシエーターでもないことがわかります。


この覚え方は,日本語よりもカタカナ用語の方が向いています。

覚えにくいと思ったものは,ひと手間かけることで,グーンと覚えやすくなります。

なお,年号を語呂合わせで覚えるのは,社会福祉士の国試ではほとんど得点につながらないので注意です。

なぜなら,年号を覚えて解ける問題はほとんどないからです。
社会福祉士の国試は,歴史の試験ではありません。

正しい努力は,合格に結びつきます。
しかし間違った勉強法では,努力が得点に結びつきません。


それでは,今日の問題です。


第25回・問題91 Jさん(50歳,女性)は,夫と義父の3人暮らしで,1年前から寝たきりになった義父の介護を1人で行っていた。義父は要介護認定を受けており,何度か介護保険サービスの利用を勧められていたが,夫は,介護は嫁の役割だからと断り,Jさんに任せていた。Jさん自身もそう思い,孤独でつらい生活を過ごしていた。民生委員のKさんは,そんなJさんを心配して,社会福祉協議会のL社会福祉士を紹介した。L社会福祉士は,事務所に訪れたJさんの話に耳を傾け,Jさんの忍耐強さや様々な工夫を認めて評価した。Jさんは,その後もL社会福祉士と話すうちに,自分が介護だけでなく,他のこともできるのではないかと思えるようになった。また,夫へのL社会福祉士の働きかけもあって,Jさんは夫とも介護について何度も話し合い,介護サービスを利用することになった。他の介護者とも交流するようになり,これからは自分と同じような思いをしている人達の支えになろうと考えている。

次のうち,L社会福祉士が行った支援機能に当たるものとして,適切なものを2つ選びなさい。

1 コンサルテーション

2 アウトリーチ

3 エンパワメント

4 ソーシャル・アクション

5 アドボカシー


事例問題は,実はみんなが思うほど簡単ではありません。

答えがわかりにくいものもあるからです。

しかも適切なものを2つ選ぶ問題は,適切なものを選ぶというよりも,不適切なものを消去するといった方法でしか答えを見つけられない問題もあります。

それでは解説です。


1 コンサルテーション

これは間違いです。

コンサルテーションは,専門家から助言を受けることをいいます。

コンサルテーションする人はコンサルタント,コンサルテーションを受ける人はコンサルティです。

コンサルテーションは,スーパービジョンとセットにして覚えることが多いと思います。

スーパービジョンと似ていますが,違う点は,スーパービジョンには管理的機能がありますが,コンサルテーションには管理機能がありません。


2 アウトリーチ


これも間違いです。アウトリーチは地域に出かけていって,ニーズをキャッチすることをいいます。

アウトリーチのもともとの意味は,腕を外に伸ばすことです。


3 エンパワメント


これは適切だと言えます。

エンパワメントは,「パワー(力)」の派生語で,クライエントに対する力づけをいいます。

この事例では,Jさんの忍耐強さや様々な工夫を認めて評価した結果,Jさんが自分の可能性を見出したことがエンパワメントと言えます。


4 ソーシャル・アクション


これは間違いです。ソーシャル・アクションは,社会活動法と訳され,制度創設などを求めて活動することをいいます。


5 アドボカシー


これが正解です。アドボカシーは,「権利擁護,代弁」と訳されます。

この事例では,Jさんの夫に働きかけたことで,義父がサービス利用できるようになったところがアドボカシーだと言えます。


<今日の一言>

実は,今日の問題の解説は,後付けの解説です。

先に述べたように,適切なものを選んだものではなく,適切ではないものを消去して残った2つから,その根拠となる部分をこじつけたものです。

事例問題は,時々こういったものもあります。

いくつかの視点で問題を読んでみることも時には必要かもしれません。

今日の問題は,合格基準点が72点という過去最低となった「魔の第25回」のものです。

用語で最初のふるいにかけたうえで,事例でもわかりにくいという2つの段階があります。

こんな問題が連発したことで,合格基準点が大幅に下がったのです。勉強した人も解けないという最悪の試験です。

勉強した人は解けて,勉強不足の人は解けない試験が理想です。

勉強不足の人が解ける問題であっても,勉強した人が解けない問題であってもだめなのです。

受験者全体の30%が90点以上の点数が取れる国試を目指していることが,わかってきています。

合格できる30%に入るためには,正しい努力が必要です。

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