社会福祉士を目指す方の中には,介護支援専門員もいるでしょう。
ケアマネジャーということばでわかるように,これらも外国生まれです。
一部の用語は,日本語に置き換えられているので外国生まれだとイメージを持つ人はそれほどいないかもしれません。
それほど介護保険は,日本になじんだと言えるでしょう。
ケアマネジメントはソーシャルワークの一手法を取り出したものです。
ケアマネジメントは,また別な機会に紹介したいと思います。
さて,今日のテーマは「ソーシャルワークは外国生まれ」です。
当然,外国の言葉の専門用語はたくさん登場します。
「カタカナが嫌だ」と思う人も多いことでしょう。
しかしそう思っても始まりません。
<カタカナ用語を覚えるコツ>
ソーシャルワークは,イギリスで生まれて,アメリカで発展したものです。
外国生まれだとしても,英語圏です。
英語ではない用語が出てくるのは,ゲマインシャフト(本質意志)とゲゼルシャフト(選択意志)くらいでしょう。それ以外は,ほとんどが英語です。
そのものの意味は知らなくても,勉強する時に,もともとの用語と結び付けて覚えることができます。
例えば,コンサルテーションであれば,コンサルタント業があるところから,現場の人ではないという連想をしながら覚えます。
アウトリーチは,腕を外に向かって伸ばすのをイメージ化すれば,相談機関で来所を待っているのではなく,外に出かけてつかまえるというイメージができることでしょう。
エンパワメントは,パワーの派生語であることが「パワーづける」と覚えられます。
しかし,アドボカシーは,そうはいきません。
勉強不足の人が意味を推理することができません。
つまり,勉強しない人は解けないものとなります。
社会福祉士の国試は,マーク式です。
正式に覚えなくても,おおよそがわかっていれば,問題文に正しいものがあります。
カタカナ語は覚えにくいですが,いわゆる「語呂合わせ」のようなもので覚えるのは,カタカナの方が向いています。
以下,そのコツです。
アドボカシーの例です。
まず「アドボカシー」という言葉のどこが強く印象をもつことができるかを考えます。
どこを取り出しても良いですが,ボカシーという部分に印象を強く持ったとします。
ボカシーは,ぼかすという日本語に似ています。そこから
ぼかさないで代弁する
という言葉が生まれます。
これでアドボカシーは,代弁機能であるということが覚えられるでしょう。
少なくとも,代弁機能は,メディエーターでも,エデュケーターでも,ブローカーでも,ネゴシエーターでもないことがわかります。
この覚え方は,日本語よりもカタカナ用語の方が向いています。
覚えにくいと思ったものは,ひと手間かけることで,グーンと覚えやすくなります。
なお,年号を語呂合わせで覚えるのは,社会福祉士の国試ではほとんど得点につながらないので注意です。
なぜなら,年号を覚えて解ける問題はほとんどないからです。
社会福祉士の国試は,歴史の試験ではありません。
正しい努力は,合格に結びつきます。
しかし間違った勉強法では,努力が得点に結びつきません。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題91 Jさん(50歳,女性)は,夫と義父の3人暮らしで,1年前から寝たきりになった義父の介護を1人で行っていた。義父は要介護認定を受けており,何度か介護保険サービスの利用を勧められていたが,夫は,介護は嫁の役割だからと断り,Jさんに任せていた。Jさん自身もそう思い,孤独でつらい生活を過ごしていた。民生委員のKさんは,そんなJさんを心配して,社会福祉協議会のL社会福祉士を紹介した。L社会福祉士は,事務所に訪れたJさんの話に耳を傾け,Jさんの忍耐強さや様々な工夫を認めて評価した。Jさんは,その後もL社会福祉士と話すうちに,自分が介護だけでなく,他のこともできるのではないかと思えるようになった。また,夫へのL社会福祉士の働きかけもあって,Jさんは夫とも介護について何度も話し合い,介護サービスを利用することになった。他の介護者とも交流するようになり,これからは自分と同じような思いをしている人達の支えになろうと考えている。
次のうち,L社会福祉士が行った支援機能に当たるものとして,適切なものを2つ選びなさい。
1 コンサルテーション
2 アウトリーチ
3 エンパワメント
4 ソーシャル・アクション
5 アドボカシー
事例問題は,実はみんなが思うほど簡単ではありません。
答えがわかりにくいものもあるからです。
しかも適切なものを2つ選ぶ問題は,適切なものを選ぶというよりも,不適切なものを消去するといった方法でしか答えを見つけられない問題もあります。
それでは解説です。
1 コンサルテーション
これは間違いです。
コンサルテーションは,専門家から助言を受けることをいいます。
コンサルテーションする人はコンサルタント,コンサルテーションを受ける人はコンサルティです。
コンサルテーションは,スーパービジョンとセットにして覚えることが多いと思います。
スーパービジョンと似ていますが,違う点は,スーパービジョンには管理的機能がありますが,コンサルテーションには管理機能がありません。
2 アウトリーチ
これも間違いです。アウトリーチは地域に出かけていって,ニーズをキャッチすることをいいます。
アウトリーチのもともとの意味は,腕を外に伸ばすことです。
3 エンパワメント
これは適切だと言えます。
エンパワメントは,「パワー(力)」の派生語で,クライエントに対する力づけをいいます。
この事例では,Jさんの忍耐強さや様々な工夫を認めて評価した結果,Jさんが自分の可能性を見出したことがエンパワメントと言えます。
4 ソーシャル・アクション
これは間違いです。ソーシャル・アクションは,社会活動法と訳され,制度創設などを求めて活動することをいいます。
5 アドボカシー
これが正解です。アドボカシーは,「権利擁護,代弁」と訳されます。
この事例では,Jさんの夫に働きかけたことで,義父がサービス利用できるようになったところがアドボカシーだと言えます。
<今日の一言>
実は,今日の問題の解説は,後付けの解説です。
先に述べたように,適切なものを選んだものではなく,適切ではないものを消去して残った2つから,その根拠となる部分をこじつけたものです。
事例問題は,時々こういったものもあります。
いくつかの視点で問題を読んでみることも時には必要かもしれません。
今日の問題は,合格基準点が72点という過去最低となった「魔の第25回」のものです。
用語で最初のふるいにかけたうえで,事例でもわかりにくいという2つの段階があります。
こんな問題が連発したことで,合格基準点が大幅に下がったのです。勉強した人も解けないという最悪の試験です。
勉強した人は解けて,勉強不足の人は解けない試験が理想です。
勉強不足の人が解ける問題であっても,勉強した人が解けない問題であってもだめなのです。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
リッチモンドは,「人と環境」について ソーシャル・ケース・ワークは,「人と社会環境との間を個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる過程」である。 と述べています。 リッチモンドがこう述べたのは,1922年のことです。 しかしその後,「個」...
-
今回は,生活困窮者自立支援法を取り上げたいと思います。 重要な制度ですが,覚えるポイントは少ないのできっちり押さえましょう。 目的 生活困窮者の自立支援体制を構築と自立促進 実施主体 ...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
近年の国家試験では,法の目的が出題されるようになってきています。 出題されても決して難しいものではありませんが,法制度を学ぶ際,念のために確認しておくと良いかもしれません。 今回のテーマは,生活困窮者自立支援法の目的です。 (目的) ...
-
生活困窮者自立支援法では,都道府県,市及び福祉事務所を設置する町村が生活困窮者に対して実施するいくつかの事業を規定としています。 生活困窮者自立支援法が規定する事業 https://fukufuku21.blogspot.com/2023/06/blog-post_18.htm...
-
今回は,グループワーク(集団援助技術)の主な理論家を学びます。 グループワークの主な理論家 コイル セツルメントやYWCAの実践を基盤とし,グループワークの母と呼ばれた。 また,「グループワーカーの機能に関する定義」( ...
-
国試での出題実績のあるアプローチは以下の12種類です。 出題基準に示されているもの ・心理社会的アプローチ ・機能的アプローチ ・問題解決アプローチ ・課題中心アプローチ ・危...