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歴史系は,覚えるのが苦手だと感じる人も多いと思います。
しかし,登場してくるのはたったの3人だけです。
①バンク-ミケルセン
②ニイリェ
③ヴォルフェンスベルカー
しかも覚えるべきポイントは,とても明確です。
①バンク-ミケルセン
ノーマライゼーションは,知的障害者の親の会とともに処遇改善運動を行ったときの理念。それがデンマークの1959年法として世界で初めて明文化された。
②ニイリェ
ノーマライゼーションの8つの原理を提唱した。
③ヴォルフェンスベルカー
文化的・社会的役割としてのノーマライゼーションである「ソーシャル・ロール・バロリゼーション」を提唱した。
たったこれだけです。
ニイリェが提唱したノーマライゼーションの8つの原理
①ノーマルな1日のリズム
②ノーマルな一週間のリズム
③ノーマルな1年間のリズム
④ライフサイクルにおけるノーマルな発達体験
⑤ノーマルな尊厳
⑥ノーマルな異性との生活
⑦ノーマルな経済水準
⑧ノーマルな環境水準
これで分かるのは,ニイリェが提唱したノーマライゼーションとは,ノーマルな生活とはどのようなものであるかを明らかにしたものだということです。
福祉政策,地域福祉,施設ケアなど,様々な場面で活用できるものだと言えるでしょう。
テーマである「ノーマライゼーションって何だろう? と考えた人は誰?」の答えは,ニィリエということになります。
それでは今日の問題です。
第30回・問題95 次のうち,ノーマライゼーションの原理を八つに分けて整理した人物として,適切なものを1つ選びなさい。
1 ソロモン(Solomon,B)
2 バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N)
3 ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger,W.)
4 サリービー(Saleebey,D)
5 ニィリエ(Nirje,B)
シンプルですが,この問題が優れていると思うのは,でたらめな文章は使われていないことです。
すべてがこのような問題であればそれはそれで問題がありますが,たまに挿入されるなら極めて適切な問題だと思います。
でたらめな文章で煙に巻くような問題にしなくても,
分かる人は,すぐに答えられる。
分からない人は,どれだけ考えても答えられない。
となるからです。
それでは解説です。
1 ソロモン(Solomon,B)
ソロモンは,著書「黒人のエンパワメント」でソーシャルワークにエンパワメントという概念を導入した人として知られます。
ソロモンは,「相談援助の理論と方法」で学ぶ人物ですが,ソロモンと言えばエンパワメントアプローチ,エンパワメントアプローチと言えばソロモン,というくらいにしっかり覚えておきたいです。
2 バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N)
勉強不足の人のために用意された選択肢です。
単純に「バンク-ミケルセンと言えばノーマライゼーション」だと思うからです。
しかし,ノーマライゼーションと言えばバンク-ミケルセンではありません。
どのような活動を行ったのかという知識が必要です。
3 ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger,W.)
ヴォルフェンスベルカーは,文化的・社会的役割としてのノーマライゼーションを提唱した人です。
国家試験では,この出題を含めて3回しか出題されたことはないですが,極めて重要です。
第12回
ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger,W.)は,文化的なノーマライゼーションや社会的役割の面でのノーマライゼーションを強調した。
これは正解です。
第24回
バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)はノーマライゼーションの原理を世界に広めるためには,各国の文化の違いを考慮して,「可能なかぎり文化的に通常となっている手段を利用すること」という要素をこの原理の定義に含める必要があると主張した。
これは,バンク-ミケルセンではなく,ヴォルフェンスベルガーです。
とても難しい内容が問われていますが,バンク-ミケルセンは,ノーマライゼーションを最初に提唱した人であり,その活動で精いっぱいだったはずです。世界に広げるという視点をもつ時代ではなかったと思えると正解にはならないと思えるので,主張した内容を知らなくても消去できます。
4 サリービー(Saleebey,D)
サリービーは,ストレングスアプローチの提唱者です。
サリービーも「相談援助の理論と方法」で学ぶ人です。
5 ニィリエ(Nirje,B)
これが正解です。
<今日の一言>
第24回にヴォルフェンスベルガーが出題されたときの正解選択肢は以下です。
障害者の自立生活運動は,カリフォルニア大学バークレー校に在学する重度障害をもつ学生によるキャンパス内での運動として始まり,やがて地域での自立生活センターの活動に発展し,保護から自立支援と福祉理念の変化を促した。
いわゆる「自立生活運動=IL運動」の始まりについて述べられたものです。
これも極めて重要です。
IL運動も合わせて覚えておきたいです。