ソーシャルワークは,様々な学問に影響を受けて発展しています。
例えば,
心理社会的アプローチは,精神分析理論
行動変容アプローチは,学習理論
危機介入ブローチは,危機理論
エコロジカルアプローチは,システム理論
課題中心アプローチは,プラグマティズム(道具主義)
ナラティブアプローチは,社会構成主義
といったものです。
歴史をさかのぼると,
ソーシャルワークは,
ケースワーク
グループワーク
コミュニティワーク
に分かれて発展しましたが,その統合化に影響を与えたのがシステム理論です。
システム理論は,人と環境を一体のものとみなします。
人は,クライエント
環境は,クライエントに関係するすべてのもの
クライエントは,クライエント一人で存在するものではなく,環境に影響を受け,環境に影響を与える交互作用の中で存在するものです。
今,考えると極めて当然のことですが,ここに至るには,簡単なことではなかったことと思います。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題98 システム理論に基づくソーシャルワーク実践モデルに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークの主要三方法を統合する視座を示した。
2 システムの中心を個人とみなし,個人の変化に焦点化する方法を示した。
3 クライエントの自己への評価の低さに伴う否定的な感情に注目する視座を示した。
4 現実は社会的に構成されるという見方を示した。
5 精神の力動性に着目し,パーソナリティの変容を目指す視座を示した。
答えは,すぐ分かりますね?
1 ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークの主要三方法を統合する視座を示した。
これが正解です。
ほかのものも解説します。
2 システムの中心を個人とみなし,個人の変化に焦点化する方法を示した。
システムは,人と環境です。
システム理論で個々にアプローチするといったものはすべて間違いとなります。
3 クライエントの自己への評価の低さに伴う否定的な感情に注目する視座を示した。
システム理論の中心は,人と環境を一体のものととらえるものです。
否定的な感情に注目するのも大切かもしれませんが,それはシステム理論に基づくものではありません。
4 現実は社会的に構成されるという見方を示した。
第31回国試でも出題された「現実は社会的に構成される」ととらえる「社会構成主義」に影響を受けているのは,ナラティブアプローチです。
5 精神の力動性に着目し,パーソナリティの変容を目指す視座を示した。
パーソナリティの変容を目指すのは,フロイトの精神分析理論に影響を受けた心理社会的アプローチです。
<今日の一言>
国試は,とても難しく感じるかもしれません。
しかし今日の問題でわかるように,ポイントを押さえれば一つひとつは決して難しいものではありません。
合否をわけるのは,一つひとつをしっかり押さえているか否かです。
3か月の短期集中で合格できる人もいると思いますが,確実に合格したいなら,まだ時間のある今から勉強を始めることです。
来年の国試で再受験を目指す方は,国試のことを考えるのは嫌かもしれません。
しかし,ここで終止符を打つ覚悟をするなら,今です!!
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
今回は,ケアマネジメント(ケースマネジメント)のモデルを紹介しますが,似たような問題はもう出題されないかもしれません。 主要なテキストには,掲載されていないからです。 因みに,中央法規のテキストには,以下の4つが紹介されています。 ブローカーモ...
-
様々なアプローチは,毎年必ず出題されています。 しかも3~4問が出題されています。 ようやく出題実績のある12種類が揃いました。 ・心理社会的アプローチ 「 状況の中の人 」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わってい...
-
社会保障制度審議会は,かつて内閣総理大臣の諮問機関として,社会保障制度を審議していたもので,現在は廃止されています。 国家試験に出題されている同審議会の勧告は,1950年勧告,1962年勧告,1995年勧告の3つです。 〈1950年勧告〉 1950年勧告は,社会保障の範囲と方法を...
-
横断調査も縦断調査も意味がつかみにくいので,覚えるのが大変だと思います。 横断調査 ある時点で行う調査。 縦断調査 一定の期間を開けて,複数回行う調査。 同じ対象者(パネル)に対して複数回行うパネル調査は縦断調査の一つ。 それでは今日の問題です。 第33回・問題87 横断調...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
今回は,ロールズが提唱した「格差原理」を学びましょう。 格差原理とは,格差(社会的や経済的に不平等があること)は,最も恵まれない人に用いられる場合にのみ認められること。 格差があることを認めないのではなく,格差があっても,それがその社会の中で最も恵まれない人の利益になるような仕組...