社会福祉士の国試は,平成元年に第1回が実施されました。
第1~21回までが旧カリキュラムでの実施です。
第22回以降が現行カリキュラムでの実施です。
多くの方は,旧カリキュラム時代の問題は見たことがないと思います。
旧カリキュラムと現行カリキュラムでは科目が変わっただけではなく,出題方法も変化しています。
旧カリキュラム時代にあったのは,
①間違っているものを選ぶ問題
②問題文がABCDの4つのみで,〇×の組み合わせで5つの選択肢がある問題。
③問題文がABCDの4つのみで,正しいものを2つ選ぶ5つの選択肢がある問題。
これらは,いずれも現行カリキュラムでは消滅しています。
実際に解いてみるとわかりますが,この出題は難易度がグーンと下がります。
それでは,①の例を見てみましょう。
第15回・問題113 社会福祉援助技術の原理等に関する次の記述のうち,適切でないものを一つ選びなさい。
1 メイヤロフ(Mayeroff,M.)は,ケアする人が,ケアする際にケアされる人を支配したり,評価したりすることで自分を高める喜びをもつことがケアの本質であると述べている。
2 バートレット(Bartlett,H.)は,実践において適切に活用することの重要性を指摘した価値,知識,技法を社会福祉援助活動の本質的要素とした。
3 ブトゥリム(Butrym,Z.)は,人間の本質に内在する普遍的価値から引き出した「人間尊重」「人間の社会性」「人間の変化の可能性」を,社会福祉援助活動の価値前提とした。
4 フリードランダー(Friedlander,W.)は,社会福祉援助技術の根本的原理を「個人の価値」「人格に固有なる尊厳」「個人の福祉に対する社会の責任」「共通善に貢献すべき個人の責任」という民主主義的な諸価値から導き出した。
5 バークレイ委員会報告では,ソーシャルワーカーにとって特に重要な価値の一つとして,「クライエントの秘密保持の権利及び法律の許す範囲での自己決定権を尊重すること」が述べられている。
現在のように正しいもの(適切なもの)を選ぶ問題なら,知識がなければ正解することができません。
ものすごく難しいです。
しかし,間違っているもの(適切ではないもの)を選ぶ問題なら,知識がなくても正解することができます。
それは国試として不適切です。
誤っているものはこれです。
1 メイヤロフ(Mayeroff,M.)は,ケアする人が,ケアする際にケアされる人を支配したり,評価したりすることで自分を高める喜びをもつことがケアの本質であると述べている。
正解できるかどうかは,落ち着いて読むことだけです。
これが正しいと思う人は,合格基準点に達していたとしても不合格にしても良いくらいの問題でしょう。
②問題文がABCDの4つのみで,〇×の組み合わせで5つの選択肢がある問題。
③問題文がABCDの4つのみで,正しいものを2つ選ぶ5つの選択肢がある問題。
は,いずれもクイズのようなものです。
1つでも2つでも正しいか,間違っているものが分かれば,正解率はかなり上がります。
ここで言いたかったのは,現行カリキュラムの問題の方が難しいということです。
合格基準点は第15回から公表されるようになりました。
第15回 91点
第16回 85点
第17回 83点
第18回 80点
第19回 81点
第20回 87点
第21回 85点
第20回の時には,第22回からカリキュラムが変わることが判明していたので,多くの人が勉強して臨んだことで,点数が上がったと考えられます。
第21回も同様です。
恐らく,旧カリ時代の受験生よりも現在の受験生の方が勉強して臨んでいると思います。
その結果が,第30回の99点であり,第31回の89点です。
<今日の一言>
旧カリキュラムと現行カリキュラムを比べると,格段に現在の問題の方が正解するのが難しいです。
3か月勉強で合格するという離れ業は実現が難しいと思います。
しっかり勉強した人だけが合格できる試験です。
大変だと思いますが,合格を目指して頑張りましょう!!
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