2019年4月30日火曜日

ストレングス視点に基づいた事例問題

今回も「ストレングス」について取り組んでいきます。

早速今日の問題です。


第26回・問題98 事例を読んで,病院の医療福祉相談室に勤めるC医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のストレングス視点に基づく対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕
Dさん(30歳,男性)は,パートナーとの性交渉によって体調に異変を感じながらも悪い検査結果が出るのを恐れ,医療機関を受診していなかった。しかし気になっていたため,悩みを打ち明けた友人に強く勧められて半年を過ぎてようやく受診に至った。その結果,HIV感染症と診断され,初めて医療福祉相談室に紹介されてきた。Dさんは「この歳でアルバイトだけで一人暮らしをしている。実家の両親には話していない。自分はダメな人間だ」と自分を強く卑下する心情を吐露した。C医療ソーシャルワーカーは,その深刻な気持ちを受け止めて対応した。 

1 「この病気になったのはとても大変なことですよね」と言う。

2 「親身になって受診を勧めてくれる友人がいるではないですか」と言う。

3 「エイズ発症後の入院に備えて,両親に早く知らせた方が良いですよ」と言う。

4 「HIVに感染してもエイズを発症するとは限らないので安心してください」と言う。

5 「こうして受診にこぎ着けられたのは大きな一歩だと思いますよ」と言う。


このうち,ストレングス視点に基づいた対応なのは

2 「親身になって受診を勧めてくれる友人がいるではないですか」と言う。

5 「こうして受診にこぎ着けられたのは大きな一歩だと思いますよ」と言う。

の2つです。

選択肢2は,友人にストレングス視点を見出しています。
選択肢5は,Dさんの受診行動にストレングス視点を見出しています。


これら以外の選択肢には,ストレングス視点がありません。

1 「この病気になったのはとても大変なことですよね」と言う。

Dさんの気持ちを共感していますが,ストレングス視点はありません。


3 「エイズ発症後の入院に備えて,両親に早く知らせた方が良いですよ」と言う。

両親もストレングスになり得ます。しかし両親が支えてくれるとは限りません。


4 「HIVに感染してもエイズを発症するとは限らないので安心してください」と言う。

ワーカーもストレングスになり得ます。しかし,根拠のない安易な励ましは,ストレングスにはなりません。



<今日の一言>

人と環境について,約半月にわたって紹介してきました。

しっかり理解できましたでしょうか。

「相談援助の理論と方法」は,21問もある科目です。

最もボリュームが科目で,国試合格にはここで点数を稼ぐ必要があります。

多くの理論家の考え方も出てきて覚えるのは面倒だと思いますが,こういったところを押さえることが重要です。

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