2023年1月14日土曜日

生活保護と介護保険の関係

介護保険の被保険者は,第1号被保険者と第2号被保険者に分けられます。


生活保護を受けていると,基本的には第2号被保険者にはなりません。


医療保険の被保険者である必要があるからです。生活保護受給者が医療を受ける場合は,医療扶助が給付されるので,医療保険は必要としないという理由もあります。


それでは,介護保険の場合は,どのようになるでしょうか。


40~64歳の生活保護受給者が介護保険サービスを利用する場合は,介護保険の被保険者ではないので,保険給付はありません。

自己負担はなく,10割分の介護扶助が給付されます,


65歳以上では,生活保護受給者も介護保険の第2号被保険者となるので,保険料を納付することが必要です。

介護保険の保険料は,生活扶助の介護保険料加算が給付されます。

介護保険サービスを利用する場合は,自己負担の1割分が介護扶助され,9割分は保険給付されます。


それでは,今日の問題です。


第27回・問題43 保険料及び利用料に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護老人福祉施設のサービスのうち,食費,居住費その他日常生活に要する費用については,利用者の自己負担となっている。

2 介護保険の第2号被保険者の保険料は,年金保険者を通じて徴収されることになっている。

3 生活保護受給者のうち,65歳以上の者が介護保険の給付を受けたときの1割自己負担分は,生活扶助として支給される。

4 「障害者総合支援法」では,利用料の1割を利用者が負担する応益負担を原則としている。

5 保育料は,保護者の前年度の所得税額によって決定され,児童の年齢によって差が出ることはない。


現時点(2023年1月)では制度が変わってしまっているものがあります。


正解は,選択肢1です。


1 介護老人福祉施設のサービスのうち,食費,居住費その他日常生活に要する費用については,利用者の自己負担となっている。


介護保険が始まった当初は,いわゆるホテルコストも保険給付されていましたが,現在は全額自己負担となっています。


2 介護保険の第2号被保険者の保険料は,年金保険者を通じて徴収されることになっている。


第2号被保険者の保険料は,医療保険者が徴収しています。


3 生活保護受給者のうち,65歳以上の者が介護保険の給付を受けたときの1割自己負担分は,生活扶助として支給される。


前説のように,第1号被保険者の場合,自己負担の1割分が介護扶助として給付されます。


4 「障害者総合支援法」では,利用料の1割を利用者が負担する応益負担を原則としている。


障害福祉サービスの利用料は,応能負担を原則としています。


5 保育料は,保護者の前年度の所得税額によって決定され,児童の年齢によって差が出ることはない。


これが制度変更になっているものです。


令和元年10月から3歳以上の保育料は無料化となっています。


3歳未満の場合,応能負担となります。その場合,保護者の前年度の所得税額と児童の年齢によって変わります。


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