2023年1月23日月曜日

民生費について

民生費とは,地方公共団体の歳出のうち,福祉にかかる費用のことをいいます。

 

民生費の出題は毎年のようにありますが,覚えるのが面倒なこともあり,苦手な人も多いようです。

 

地方公共団体の歳出の割合は,市町村と都道府県では順位が異なるのが面倒なものです。


〈地方公共団体の歳出〉

 市町村で最も多いのは「民生費」です。

都道府県で最も多いのは「教育費」です。

市町村と都道府県を合わせると最も多いのは「民生費」です。

 

民生費の内訳も面倒です。


〈民生費の内訳〉 

市町村で最も多いのは「児童福祉費」です。

都道府県で最も多いのは「老人福祉費」です。

市町村と都道府県を合わせると最も多いのは「児童福祉費」です。

 

老人福祉費が最も多いように思う人は多いと思いますが,民生費は福祉にかかる費用を計上するものなので,社会保険制度である介護保険にかかる費用は民生費ではなく,介護保険特別会計という項目に計上されます。

 

今日の高齢者施策の中心は介護保険なので,老人福祉にかかる費用はそれほど多くはないのです。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題45 「平成27年版地方財政白書」(総務省)に基づく2013年度(平成25年度)の市町村の民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。

3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。

4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。

5 民生費の目的別扶助費の状況をみると,補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。

 

古い統計ですが,今も傾向は一切変わっていません。社会福祉士の国家試験で取り扱うものは,年度によって変化があるものを避けて出題しています。

 

「順位が変わったところが出題される」という人がいますが,それは今の国家試験を知らない人の話です。

 

それでは解説です。

 

1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。

 

市町村で最も多いのは,民生費です。

 

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。

 

これが正解です。

市町村で最も多いのは,児童福祉費です。

 

そのために,老人福祉費は児童福祉費よりも少なくなるのは当然です。

 

都道府県では,老人福祉費が最も多いので注意が必要です。

 

3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。

 

市町村と都道府県を比較すると,市町村のほうが多くなっています。

 

直接的な住民サービスを行うのは市町村だからです。

 

4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。

 

民生費の性質別内訳も市町村と都道府県では異なるものです。

 

市町村が最も多いのは,扶助費です。

 

都道府県が最も多いのは,補助費です。

 

扶助費とは,実際に住民に給付するものです。直接的な住民サービスを行うのは市町村なので,扶助費が一番多くなるのは当然です。

 

補助費は,団体や施設などに補助するものです。都道府県が住民に給付するものはほとんどないので,扶助費よりも補助費のほうが多くなります。

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