2018年1月8日月曜日

国試に合格する覚え方のコツ~ソーシャルワークの理論家たち

社会理論や心理学理論でも人名が出てきますが,人名が分からなくて答えられないという問題は皆無に近いです。

それに対して,相談援助系2科目は,人名そのものが問われることもあります。

しかし出題されるのはほんの数名です。これだけは何とか覚えておきたいです。

今日は前説なしに問題にいきます。


28回・問題93

ソーシャルワークの発展に寄与した代表的な研究者とその理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 リッチモンド(RichmondM.)は,ケースワークの過程と対象として,個人に直接働きかける直接的活動と社会環境を通じて働きかける間接的活動を挙げた。

2 パールマン(PerlmanH.)は,診断主義と機能主義双方の理論を折衷的に取り入れ,課題中心アプローチを体系化した。

3 ハミルトン(HamiltonG.)は,人とその人を取り巻く状況とその両者の相互作用の視点から「状況の中の人」という概念を提唱した。

4 リード(ReidW.)は,ソーシャルワークの共通基盤として,実践に必須の要素に,「価値の体系」を挙げた。

5 ジャーメイン(GermainC.)とギッターマン(GittermanA.)は,役割理論を基盤とし,人と環境との交互作用に焦点を当て両者の調和を目指す理論を説いた。


勉強が進んでいない人は,この手の問題はおそらく手に負えないと思います。

こういうところで少しずつ差がついていきます。

本来はこのような問題は「相談援助の理論と方法」で出題されることが多いものです。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 リッチモンド(RichmondM.)は,ケースワークの過程と対象として,個人に直接働きかける直接的活動と社会環境を通じて働きかける間接的活動を挙げた。


リッチモンドは,ソーシャル・ケース・ワークを「人と環境の間を,個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる諸過程である」としています。

よって正解です。

リッチモンドは医学モデルである診断主義に大きな影響を与えていますが,「人と環境の間を調整する」と述べているところが特筆ものだと思います。

ソーシャルワークが社会問題に対応できなくなっていった時,マイルズが「リッチモンドに帰れ」と述べたのが何となくわかるような気がします。


2 パールマン(PerlmanH.)は,診断主義と機能主義双方の理論を折衷的に取り入れ,課題中心アプローチを体系化した。

パールマンは問題解決アプローチを提唱した人です。

よって間違いです。

3 ハミルトン(HamiltonG.)は,人とその人を取り巻く状況とその両者の相互作用の視点から「状況の中の人」という概念を提唱した。


「状況の中の人」は,心理社会的アプローチのホリスです。

ハミルトンは診断主義の人です。


4 リード(ReidW.)は,ソーシャルワークの共通基盤として,実践に必須の要素に,「価値の体系」を挙げた。


ソーシャルワークの共通基盤と言えば,バートレットです。

よって間違いです。

共通基盤には「価値」「知識」「介入」があります。

資格を取得して社会福祉士会に入会すると,研修では,このあたりをしっかり学んでいくことになります。


5 ジャーメイン(GermainC.)とギッターマン(GittermanA.)は,役割理論を基盤とし,人と環境との交互作用に焦点を当て両者の調和を目指す理論を説いた。



役割理論を基盤にしていると言えば,問題解決アプローチなどです。

ジャーメインとギッターマンと言えば,エコロジカルアプローチなので,生態学的視点を基盤としています。

よって間違いです。

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