前回は,質問紙の作り方を学びました。
今回はそれを調査対象者にどのように配布し記入するかするかについてです。
第25回に初めて出題され,それ以降は第27回を除き毎年出題されています。
それではポイントを押さえましょう。
まずは,調査票への記入法の自計式と他計式です。
「自」は調査対象者,「他」は調査者です。何回も出題されていますので,混同しないようにしっかり押さえましょう。
配布の仕方には,郵送と留置(とめおき)があります。郵送は簡単ですが,回収率は低くなる傾向があります。
留置調査は,調査員が訪問して調査票を置いてくる方法です。郵送よりも回収率は高くなりますが,経費が多くかかります。
調査員が訪問して個別に聞き取りを行う個別訪問調査という方法もあります。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題84
調査方法と調査票への記入の仕方に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 郵送調査,留置調査,個別面接調査,電話調査の中で,実対象数を同じとすれば,調査の実施に当たっての経費と労力が最もかかるのは,郵送調査である。
2 電話調査は,調査員が質問をしながら調査票に聴き取る自計式調査である。
3 「全国世論調査の現況(平成26年版)」(内閣府)によると,公的機関,大学,メディア,企業が実施した調査の中で最も多かったのは,留置法である。
4 訪問面接調査法では,記入要領を理解した調査員が,調査対象者との面接で聞き取った内容を調査票に記入する。
5 調査票への記入の仕方として自計式は,他計式と比べて,質問の意味を正しく理解し回答を正しく記入しやすい。
この問題には,試験委員によるトラップが仕掛けられています。というのは,「全国世論調査の現況」というものがあるからです。
「こんなの知らない,分からない」と思ってしまっては,トラップにはまります。
要注意です。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 郵送調査,留置調査,個別面接調査,電話調査の中で,実対象数を同じとすれば,調査の実施に当たっての経費と労力が最もかかるのは,郵送調査である。
経費と労力が最もかかるのは,個別面接調査ですね。
よって間違いです。
最もかからないのは,郵送調査です。
2 電話調査は,調査員が質問をしながら調査票に聴き取る自計式調査である。
自計式,他計式を理解しておかないと分からなくなります。
「自」は調査対象者です。よって間違いです。
3 「全国世論調査の現況(平成26年版)」(内閣府)によると,公的機関,大学,メディア,企業が実施した調査の中で最も多かったのは,留置法である。
これがトラップです。「こんなの知らない,分からない」と思うとだめです。
留置調査は国勢調査が代表ですが,めったに使える方法ではないことは想像しなければなりません。
何が最も多いかは分からなくても留置調査が最も使われる方法ではないことは分かるでしょう。よって間違いです。
最も多いのは手軽な郵送調査です。
4 訪問面接調査法では,記入要領を理解した調査員が,調査対象者との面接で聞き取った内容を調査票に記入する。
これが正解です。
5 調査票への記入の仕方として自計式は,他計式と比べて,質問の意味を正しく理解し回答を正しく記入しやすい。
これも自計式,他計式が正確に理解していないと間違えそうな問題です。
自計式は,調査対象者が記入するもので,正しく回答するのは簡単ではありません。よって間違いです。