今年受験される方はかなり外国語の専門用語になじんでいると思いますが,勉強を始めた当初はとても難しく感じたことでしょう。
外国語=難しい
と思うのはもったいないです。
明治の人は,外国語を積極的に日本語に訳していきました。
その中には,秀逸だなぁ,と感じるものも多くあります。
例えば「簿記」は,英語ではbookkeepingと言います。
原語の発音を生かして「ぼき」と訳しています。
ステキなセンスだと思いませんか?
現代はたくさんの言葉が生まれて,的確な日本語訳もありながら外国語をそのまま使う傾向があります。
そのため,頭の中では,一度日本語に変換してからその内容を考えていく作業が生まれます。
それが外国語の専門用語が難しく感じる理由だと思います。
しかし,それでも繰り返して覚えていくと,日本語に変換しなくてもそのまま理解できるようになります。
来年の試験を目指している方は,まだまだたっぷり時間があります。
繰り返し勉強することで,そのレベルまでもっていっていただきたいと思います。
チームfukufuku21のメンバーも,最初は慈善組織協会の略称COSをどのように読んだらよいのか分からず,「コス」と発音していたメンバーも多いです。
GHQによる指令書「社会救済=SCAPIN775」もスカピンと発音していた人もいます。
通信教育で学ぶ受験生はこんなところで苦労するものです。
ちなみにSCAPINは,スキャッピンと表記されることが多いですが,「スキャップイン」が正しいみたいです。
読み方が間違っていてもそれで不正解にされることはありません。
今年の国試を受験される方は,自分の覚えやすいようにアレンジするのも外国語になじみ,忘れないようにするための一つの方法かもしれません。
ソーシャルワーク理論に関する用語は,外国語をそのまま使っているものが多いのが特徴です。
しかし,数自体はそんなに多くはないです。
社会に目を向けるともっと多くの外国語用語が飛び交っています。
それが自然になじんでくるのは使う頻度が高いからでしょう。
<ソーシャルワーク用語で覚えておきたいもの>
アドボカシー
アカウンタビリティ
などです。
相談援助の基盤よりは,相談援助の理論の方だと思いますが,間違えやすいものには
ワーカビリティ
が筆頭です。
「ワーカ」という部分があるので,ワーカーに関するものだと思いがちなのが引っ掛けポイントとなります。
ワーカーではなく,クライエントが援助を自分のものにできる問題解決能力のことを言います。
こういった勉強しているときに「あれっ?」と思ったところが,引っ掛けポイントとなります。自分が試験委員になったら,そんなところを出題したいと思いませんか?
これに限らず,国試では出題する側の気持ちを考えると答えが解ける問題は多々あります。今の時期に過去問を解くのは,こういったところを感じ取る意味が最も大きいです。
逆に,そういうことを考えずに過去問を解いても,問題を読み解く力はつきにくいと言えます。
こういった勉強しているときに「あれっ?」と思ったところが,引っ掛けポイントとなります。自分が試験委員になったら,そんなところを出題したいと思いませんか?
これに限らず,国試では出題する側の気持ちを考えると答えが解ける問題は多々あります。今の時期に過去問を解くのは,こういったところを感じ取る意味が最も大きいです。
逆に,そういうことを考えずに過去問を解いても,問題を読み解く力はつきにくいと言えます。
さて,それでは今日の問題です。
第24回・問題88
社会福祉士の相談援助におけるアカウンタビリティに関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 援助における判断や介入の根拠,援助の効果やそのための費用についての情報の開示や説明を,関係者や社会に対して行うことである。
2 利用者が自分の権利や生活ニーズを表明できないときに,社会福祉士がサービス提供者や行政機関などに利用者に代わって要求することである。
3 相談援助の終結段階において,援助計画とそれに基づくサービスの提供が十分に実施されたかどうかを自己評価することである。
4 利用者が抱える問題や環境などの情報を収集し,それらをもとに問題状況における相互作用などを分析し,問題状況の全体を把握することである。
5 利用者自身で自分の問題を解決し,自らの目的を達成するための行動ができるように側面から支援することである。
専門用語は,一問まるごとその用語が出題されることが多いので,まったく分からなければお手上げになってしまうかもしれません。
しかし,ヒントは見つけられなくはないです。
先述のような「ワーカビリティ」はちょっと引っ掛けられてしまいそうですが,外国語は知っている言葉の派生語であることが多いからです。
知っている英語の知識をフル活用してヒントを見つけ出しましょう。
さて,アカウンタビリティは「説明責任」のことを言います。
それでは,詳しくみていきましょう!!
1 援助における判断や介入の根拠,援助の効果やそのための費用についての情報の開示や説明を,関係者や社会に対して行うことである。
これが正解です。
一般社会でも,企業に何かの問題が生じた時,説明責任という意味で,「アカウンタビリティを果たせ!」といった論調がなされることがあります。
2 利用者が自分の権利や生活ニーズを表明できないときに,社会福祉士がサービス提供者や行政機関などに利用者に代わって要求することである。
権利擁護はアドボカシーと言います。
よって間違いです。
アドボカシー=権利擁護
アカウンタビリティ=説明責任
間違いやすいですので,しっかり違いを押さえておきましょう。
3 相談援助の終結段階において,援助計画とそれに基づくサービスの提供が十分に実施されたかどうかを自己評価することである。
相談援助の終結は「ターミネーション」です。ターミナル=終結点の派生語です。
ターミネーションで行う自己評価を何と言うかは分かりませんが,少なくともアカウンタビリティではないことは明らかです。
よって間違いです。
4 利用者が抱える問題や環境などの情報を収集し,それらをもとに問題状況における相互作用などを分析し,問題状況の全体を把握することである。
これはアセスメントのことを述べています。
よって間違いです。
5 利用者自身で自分の問題を解決し,自らの目的を達成するための行動ができるように側面から支援することである。
クライエントを側面から支援するのは,ソーシャルワークの基本中の基本です。
専門用語で何と言うかは分かりませんが,少なくともアカウンタビリティではないことは明らかです。
よって間違いです。
国試問題では,「パターナリズム(父権主義)」に基づくワーカーが全面的に出てくるような出題が多いですが,それらはすべて間違いです。
<今日の一言>
利用者自身で自分の問題を解決し,自らの目的を達成するための行動ができるように側面から支援すること
これがソーシャルワークの基本であることを常に頭に入れておきましょう。