しかし,国試は6割程度が取れれば十分です。
細かいものを覚えるよりも,重要なポイントを押さえたほうが,間違いなく得点力は上がります。
さて,今日は老人福祉法を押さえたいと思います。
高齢者福祉の発展過程でも,老人福祉法は取り上げました。
http://fukufuku21.blogspot.jp/2018/01/blog-post_21.html
同法は過去のものではなく,現在も脈々と流れるものです。
先日も紹介しましたが,介護保険は大多数を対象とする社会保険制度です。
老人福祉法は,特定のニーズがある人を対象とします。
社会福祉士が社会福祉の使い手だとすると,老人福祉法は極めて重要です。
それでは,今日は前説なしに問題に入ります。
第24回・問題127
老人福祉法の規定に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 有料老人ホームとは,介護等の供与をする事業を行う施設であって,老人福祉施設や認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居等の施設でないものをいう。
2 介護保険法施行により,老人福祉法における特別養護老人ホームの入所措置の条項は廃止され,契約制度に移行した。
3 市町村の老人福祉センターは,老人の福祉に関し,必要な実情把握に努めつつ,必要な情報の提供,相談,調査及び指導,並びにこれらに付随する業務を行う。
4 老人介護支援センターは,無料又は低額な料金で各種相談に応ずるとともに健康増進,教養の向上及びレクリエーションの便宜を老人に総合的に供与する施設である。
5 市町村老人福祉計画は,老人の福祉に関する事項を定める市町村介護保険事業計画及び市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならない。
老人福祉法は,社会保険である介護保険に隠れがちですが,高齢者福祉の基本法です。
しっかり押さえておきたいです。
それでは詳しくみていきましょう。
1 有料老人ホームとは,介護等の供与をする事業を行う施設であって,老人福祉施設や認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居等の施設でないものをいう。
有料老人ホームは,老人福祉法が成立した時にできたものです。
同法では有料老人ホームは,「老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう」と規定されています。
よって正解です。
2 介護保険法施行により,老人福祉法における特別養護老人ホームの入所措置の条項は廃止され,契約制度に移行した。
特別養護老人ホームは,老人福祉法ができた時,有料老人ホームなどとともにできた施設です。
これで分かるように,特別養護老人ホームの根拠法は,老人福祉法です。
老人福祉法は介護保険法の陰に隠れた存在ですが,脈々と受け継がれて,現在も残ります。
特別養護老人ホームは,介護保険上は,指定介護老人福祉施設という名称です。
特別養護老人ホーム(老人福祉法) ➡ 措置制度
指定介護老人福祉施設(介護保険法) ➡ 契約制度
となります。介護保険法ができても,老人福祉法による入所措置は残っています。
よって間違いです。
3 市町村の老人福祉センターは,老人の福祉に関し,必要な実情把握に努めつつ,必要な情報の提供,相談,調査及び指導,並びにこれらに付随する業務を行う。
老人の福祉に関し,必要な実情把握に努めつつ,必要な情報の提供,相談,調査及び指導,並びにこれらに付随する業務を行うのは,市町村です。
老人福祉センターではありません。よって間違いです。
老人福祉センターは,無料又は低額な料金で各種相談に応ずるとともに健康増進,教養の向上及びレクリエーションの便宜を老人に総合的に供与する施設です。
4 老人介護支援センターは,無料又は低額な料金で各種相談に応ずるとともに健康増進,教養の向上及びレクリエーションの便宜を老人に総合的に供与する施設である。
前述のように,無料又は低額な料金で各種相談に応ずるとともに健康増進,教養の向上及びレクリエーションの便宜を老人に総合的に供与する施設は,老人福祉センターです。
5 市町村老人福祉計画は,老人の福祉に関する事項を定める市町村介護保険事業計画及び市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならない。
一体で策定しなければならないのは,現在のところ,「介護保険事業(支援)計画」と「老人福祉計画」です。
よって間違いです。
<今日の一言>
社会福祉士にとって,老人福祉法は極めて重要です。なじみがないかもしれませんが,しっかり基礎を覚えておきたいです。
介護保険制度が高齢者介護の中心てすが,社会福祉制度による高齢者介護は中心は老人福祉法です。
介護保険の訪問介護系のサービスは,老人福祉法上の名称は「老人居宅介護等事業」です。
「居宅介護」と聞いてピンと来た人もいるのではないでしょうか。
介護保険の訪問介護は,障害者総合支援法による障害福祉サービスでは「居宅介護」です。
なぜ同じサービスなのに,サービスの名称が違う理由は,おそらく老人福祉法の「老人居宅介護等事業」にならって,障害者福祉でもその名称をそのまま使用したのではないでしょうか。