2018年1月30日火曜日

国家試験に合格する勉強法~障害者への就労支援

「就労支援サービス」は,最後の方にあるので,勉強する時間をあまりかけない科目だと言えるでしょう。しかしそういった方でも,実は突破口は見い出すことができやすい科目なのです。

なぜなら,「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」で学んだことがここでも生きる内容があるからです。

その筆頭は,障害者総合支援法と障害者雇用促進法です。

最初は,障害者総合支援法です。

障害者総合支援法の特徴は,障害種別をなくしたこと,日中活動と生活の場に分けたこと,訓練等給付を整理したことです。

この科目で,しっかり押さえておきたいのは,訓練等給付の就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)です。

それまであった福祉工場系などは就労継続支援(A型),授産系などは就労継続支援(B型)に再編成されています。

そのため,同じ就労継続支援でありながら,A型は雇用契約を結ぶスタイル,B型は雇用契約を結ばないスタイル,と性格が異なるサービスとなっています。

就労移行支援は,一般就労に向けたアセスメントを行う事業だととらえることができます。そのため,利用期間が設けられているのが特徴です。就労継続支援は,A型・B型ともに利用期間の定めはありません。

それでは早速今日の問題です。


第22回・問題146


障害者総合支援法に基づく,就労移行支援事業及び就労継続支援事業に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 就労移行支援事業及び就労継続支援事業は,旧制度に基づき障害別に設置されていた福祉工場や授産施設などを,障害種別にかかわらず,目的別に再編成することを意図して制度化されたものである。

2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。

3 就労継続支援A型事業,B型事業とも,利用者は原則として最低賃金法など労働法の適用を受ける。

4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。

5 就労継続支援A型事業で雇用されている利用者は,職場適応援助者によるジョブコーチ支援を受けなければならない。


ごちゃごちゃしていて,理解するのが難しいそうだな,と思う人も多いと思います。

絡んだ意図を一つひとつほどいていきましょう。


1 就労移行支援事業及び就労継続支援事業は,旧制度に基づき障害別に設置されていた福祉工場や授産施設などを,障害種別にかかわらず,目的別に再編成することを意図して制度化されたものである。

これは,前説の通り正解です。障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)は,介護給付,訓練等給付ともに障害種別をなくしたことが特徴です。

福祉工場 ➡ 就労継続支援(A型)

授産施設 ➡ 就労継続支援(B型)

といったように再編成されました。

「授産」という言葉は今となっては意味が分かりにくいですが,保護施設の授産施設が生業扶助を目的とした施設である,ということからイメージできるように,手に職をつけるための施設です。


2 就労移行支援事業は,就職に向けての訓練を中心とした事業であることから,利用申込みの窓口は,公共職業安定所になっている。

就労移行支援,就労継続支援は,障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。

ここでピンときた方もいることでしょう。

市町村の役割 ➡ 高度かつ判断が求められる事務は市町村の役割ではない。

ただし,介護保険証の交付と障害福祉サービス受給者証の交付は,高度かつ専門的な判断を求められますが,例外的に市町村の役割となります。

就労移行支援の利用窓口は,市町村であり,公共職業安定所ではありません。

よって間違いです。

復習:市町村の役割

http://fukufuku21.blogspot.jp/2017/12/blog-post_11.html


3 就労継続支援A型事業,B型事業とも,利用者は原則として最低賃金法など労働法の適用を受ける。


労働法規の適用を受けるのは,雇用契約を結ぶA型です。

よって間違いです。

B型は労働法規の適用は受けません。


4 就労継続支援事業についても,利用者の一般就職が最終目標とされることから,利用期間には期限が設けられている。


就労継続支援は,一般就職は目的としていません。

就労継続支援は,就労移行支援事業を利用して一般就職に結びつかない人などが対象となるからです。

利用期間に期限が設けられているのは就労移行支援だけです。

理由は,アセスメントを行うためだからです。


5 就労継続支援A型事業で雇用されている利用者は,職場適応援助者によるジョブコーチ支援を受けなければならない。


ジョブコーチは,障害者雇用促進法に基づくものです。

地域障害者職業センターに配置される「配置型ジョブコーチ」,社会福祉法人などに配置される「第1号ジョブコーチ」,企業などに配置される「第2号ジョブコーチ」があります。

障害者が職場に適応するための支援を行っていますが,必ず支援を受けなければならない,ということはありません。

よって間違いです。


さて,次は障害者雇用促進法です。

同法は,障害者の一般就労を支援するためのものです。

障害者雇用率(法定雇用率)を定めています。



障害者総合支援法と障害者雇用促進法の整理

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型) ➡ 障害者総合支援法

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型)以外 ➡ 障害者雇用促進法

すべてを覚えるのは難しいです。整理すればたったこれだけで済みます。


2つの法制度に関する出題

 ↓    ↓

http://fukufuku21.blogspot.jp/2017/09/blog-post_24.html

それでは問題です。


第23回・問題145 

障害者就労支援制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 就労移行支援事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。 

2 障害者就業・生活支援センターは,障害者総合支援法に基づく支援サービスである。 

3 地域障害者職業センターによる職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は,発達障害者支援法に基づく支援サービスである。

4 地域障害者職業センターの職業準備訓練は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。

5 就労継続支援A型事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援サービスである。


ごちゃごちゃ書いてある問題ですが,整理すれば非常に簡単だと思います。


1 就労移行支援事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。 

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型) ➡ 障害者総合支援法

よって間違いです。

2 障害者就業 ・生活支援センターは,障害者総合支援法に基づく支援サービスである。 

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型)以外 ➡ 障害者雇用促進法

よって間違いです。

同センターに関する出題は近年続いています。

しっかり押さえておきましょう。


3 地域障害者職業センターによる職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は,発達障害者支援法に基づく支援サービスである。

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型)以外 ➡ 障害者雇用促進法

よって間違いです。


4 地域障害者職業センターの職業準備訓練は,「障害者雇用促進法」に基づく支援である。

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型)以外 ➡ 障害者雇用促進法

よって正解です。


5 就労継続支援A型事業は,「障害者雇用促進法」に基づく支援サービスである。

就労移行支援,就労継続支援(A型・B型) ➡ 障害者総合支援法

よって間違いです。

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