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毎年必ず出題されているものは,ほとんどありません。
さて,そのさまざまなアプローチです。
今まで国試で出題されたことのあるアプローチは,以下の11種類です。
※( )の数字は過去29回のうちで出題された回数を示しています。
心理社会的アプローチ(10)
機能的アプローチ(5)
問題解決アプローチ(12)
課題中心アプローチ(9)
危機介入アプローチ(9)
行動変容アプローチ(8)
エンパワメントアプローチ(8)
ナラティブアプローチ(7)
解決志向アプローチ(8)
フェミニストアプローチ(2)
実存主義アプローチ(2)
出題頻度はこんな感じです。
出るか出ないか分からない社会理論の人名を覚えるよりも,さまざまなアプローチを覚えた方が効果的です。
しかも複数問出題されることもあります。
絶対に押さえておきたいです。
さて,今日の問題です。
第22回・問題92
ソーシャルワークのアプローチと焦点を当てるべき事象の組み合わせに関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 心理社会的アプローチにおいては,急性の感情的な混乱状態にある利用者の対処能力の強化,社会的機能の回復に焦点を当てる。
2 問題解決アプローチにおいては,利用者自らがもっている具体的な解決イメージを重視し,問題が解決した状態を短期間で実現することに焦点を当てる。
3 課題中心アプローチにおいては,利用者のニーズを機関の機能との関係で明確化し,その機能を個別化して提供することに焦点を当てる。
4 機能的アプローチにおいては,利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。
5 エンパワメントアプローチにおいては,利用者が自らの置かれている否定的な抑圧状況を認識し,自らの能力に気付き,その能力を高め,問題に対処することに焦点を当てる。
さすがは,現行カリキュラムの第1回の国試問題らしいと言える出題です。
今後はこれらから出題するよ,といった挨拶のような問題だと言えます。
それでは早速詳しく見て行きましょう。
1 心理社会的アプローチにおいては,急性の感情的な混乱状態にある利用者の対処能力の強化,社会的機能の回復に焦点を当てる。
心理社会的アプローチは,診断主義アプローチの流れをくみ,精神分析理論を活用してアプローチしていきます。
そのため,時間がかかります。
急性期に用いられるのは危機介入アプローチです。
よって間違いです。
2 問題解決アプローチにおいては,利用者自らがもっている具体的な解決イメージを重視し,問題が解決した状態を短期間で実現することに焦点を当てる。
短期療法(ブリーフセラピー)を活用して,解決していくのは解決志向アプローチです。
よって間違いです。解決志向アプローチは,コーピングクエスチョン,エクセプションクエスチョン,スケーリングクエスチョンなど特徴的な技法を使います。
問題を解決した明るい未来を描くことができます。
資格を取得したらぜひ学んでいただきたいアプローチの一つです。
3 課題中心アプローチにおいては,利用者のニーズを機関の機能との関係で明確化し,その機能を個別化して提供することに焦点を当てる。
機関の機能を活用して,クライエントの潜在的解決能力にアプローチしていくのは,機能的アプローチです。
よって間違いです。
機能的アプローチは,診断主義アプローチを批判して生まれた機能主義アプローチの流れをくむ歴史のあるアプローチです。
しかし現行カリキュラムになってからはほとんど出題されることがありません。
4 機能的アプローチにおいては,利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。
疎外状態からの解放に焦点を当てるのは,実存主義アプローチです。
よって間違いです。
実存主義アプローチは,人は人,あなたはあなた,その存在自体が重要なのだ,ということに気づくためのアプローチです。
5 エンパワメントアプローチにおいては,利用者が自らの置かれている否定的な抑圧状況を認識し,自らの能力に気付き,その能力を高め,問題に対処することに焦点を当てる。
エンパワメントについては,現行カリキュラムになってからは毎年のように出題されています。これが正解です。
<今日のまとめ>
今日の問題は,すべての選択肢が重要です。しっかり覚えて行きましょう。
次回もさまざまなアプローチを続けます。