質的調査のデータは,観察法,インタビュー(面接),記録類(ドキュメント)などがあります。
前回は観察法を解説しました。
今回はインタビュー(面接)です。
<覚えるべきアイテム>
自由面接法(非構造化面接)
質問の内容を決めないで進める。
半構造化面接法
2・3の質問をした後,その内容を語ってもらう。
構造化面接法
質問項目(インタビューガイド)に従って進める。
面接内容の自由度
非構造化面接>半構造化面接>構造化面接
さて,それでは今日の問題です。
第22回・問題82
調査手法としての面接法に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 構造化面接では,面接の進行は,調査対象者に任せるのが望ましい。
2 非構造化面接では,通常,詳細な質問項目や質問紙をあらかじめ用意しない。
3 社会調査で行われる面接は,収集するデータの信頼性からも,1対1で行われるのが望ましい。
4 半構造化面接では,通常,回答の選択肢を印刷した回答票を,回答者に提示して調査を進める。
5 面接法を用いる際には,調査者と調査対象者との間にラポールが形成されるのは,データの客観性を確保する上から望ましくない。
今見るとそんなに難しくはない問題かもしれません。
しかし,この問題は現行カリキュラムの第1回です。
この回は,「これからの試験は,こんな感じで出題します」といった例を示しています。
そのため今見てみるととても重要な問題が並んでいます。
ただし,この科目は試験委員が張り切りすぎたと見えて,測定の分析の部分がとても難しくなってしまっています。
そのために,この科目がとても難しく感じてしまい,いわゆる「食わず嫌い」になってしまった受験生が多いように思います。
しかし,その部分さえ無視してしまえば実はそんなには難しくはないはずです。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 構造化面接では,面接の進行は,調査対象者に任せるのが望ましい。
構造化面接は,最もきちっと質問項目を定めた面接法です。
面接の進行は,調査者が行います。よって間違いです。
2 非構造化面接では,通常,詳細な質問項目や質問紙をあらかじめ用意しない。
非構造化面接は自由面接です。簡単なインタビューガイドは作りますが,詳細なものは作りません。
よって正解です。
3 社会調査で行われる面接は,収集するデータの信頼性からも,1対1で行われるのが望ましい。
面接は1対1で行うものもありますが,1対複数(グループインタビュー)で行うものもあります。
グループインタビューにはグループインタビューを行う意味はあります。
よって間違いです。
「望ましい」というのは,要注意です。
4 半構造化面接では,通常,回答の選択肢を印刷した回答票を,回答者に提示して調査を進める。
半構造化面接は,最初に2・3の質問をして,それを深める形で面接を進めていきます。
よって間違いです。
5 面接法を用いる際には,調査者と調査対象者との間にラポールが形成されるのは,データの客観性を確保する上から望ましくない。
ラポールは信頼関係です。
過度なラポールは不適切ですが,適度なラポール形成は適切です。
ラポール形成されていることで,普通では得ることができない情報も得られることがあるからです。
よって間違いです。
「望ましくない」というのは,要注意です。