2018年4月10日火曜日

社会理論で絶対に覚えたい5人衆~③マートン

社会理論と社会システムでは,人名を覚えなければならないのでいやだな,と思う人が多いと思います。

そのため,私たちチームfukufuku21は,人名を深めてみた結果,現行カリキュラムで出題された29名中,2回以上出題された5名(2回以上出題されたのは7名だが,2名はほかの科目でも出題)が重点課題であることを発見しました。

人名を覚えるのが苦手でも5名なら何とかなるでしょう。

さて,社会理論で絶対に覚えたい5人衆の3人目は,マートンです。

マートンという名前が出題されたのは,2回です。

覚えるべきポイント

①逆機能(官僚制の逆機能)

②社会的逸脱(アノミー)

この2つに集約されます。マートンが提唱したもので国家試験に出題されたものは,潜在的機能(意図せざる結果),準拠集団など多岐にわたります。

しかしそこには「マートン」という名称は国家試験では使われません。

人名を覚えることではなく,その内容を覚えることが重要なのが,このことからよく分かると思います。

逆機能

システムがうまく機能しないこと。

また,ウェーバーが合理的支配をよりすすめたものとして「官僚制」を挙げていますが,マートンは,官僚制がうまく機能しないことを「官僚制の逆機能」と呼びました。

今日の日本で言えば,忖度(そんたく)や官僚による文書改ざんなどが,誰かの指示によって行われたものではなく,自発的に行われたものだとすれば,官僚制の逆機能と言えるのかもしれません。

逆機能は,多くの使われ方がされます。

たとえば,

スマホが普及する中,スマホがうまく使えこなせないことがストレスとなる。

などです。


アノミー

社会的逸脱(犯罪など)は,文化目標とその達成手段との不一致によって生じる。

デュルケムは,アノミーで自殺を論じましたが,マートンはアノミーで社会的逸脱を論じました。

文化目標とその達成手段との不一致とは

アメリカンドリームなどのように夢は大きくても,実際に自分を振り返るとアメリカンドリームを達成するための手段や機会がないことで,そこにいらだち,逸脱するというものです。

社会的逸脱に関する理論の出題の中心は,ラベリング理論(逸脱者としてレッテルを貼ることで逸脱するという理論。重要なのはレッテルを貼る側)ですが,それに絡めてアノミー論が出題されます。


それでは,マートンに関連するものをチェックしましょう。

■官僚には組織目標を効果的に実現するために,反応の信頼性と規程の遵守が求められるが,これへの過剰な同調が生じると臨機応変の処置がとれなくなる。これは,マートン(Merton,R.)が論じる官僚制の逆機能の一局面である。 (第23回・問題17・選択肢2)

■パーソンズ(Parsons,T.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ,合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。 (第25回・問題19・選択肢5)

■ラベリング理論とは,機能主義的な立場から順機能・逆機能,顕在的機能・潜在的機能といった概念を導入しつつ,逸脱や逸脱行動を説明する立場である。 (第29回・問題21・選択肢1)

1つめと2つめは,逆機能に関連するもの,3つめはアノミー論に関連するものです。

それでは,詳しく見ていきましょう。

■官僚には組織目標を効果的に実現するために,反応の信頼性と規程の遵守が求められるが,これへの過剰な同調が生じると臨機応変の処置がとれなくなる。これは,マートン(Merton,R.)が論じる官僚制の逆機能の一局面である。

これは正解です。逆機能(官僚制の逆機能)は,とても重要です。確実に理解しておいてください。

■パーソンズ(Parsons,T.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ,合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。

これは,完全にでたらめ問題です。潜在的機能や逆機能に着目したのは,マートンです。コミュニケーション行為を提唱したのは,ハーバマスです。
社会的行為と言えば,ウェーバーが有名ですが,コミュニケーション的行為はハーバマスなので注意です。

■ラベリング理論とは,機能主義的な立場から順機能・逆機能,顕在的機能・潜在的機能といった概念を導入しつつ,逸脱や逸脱行動を説明する立場である。 (第29回・問題21・選択肢1)

ラベリング理論ではなく,マートンのアノミー論です。

マートンは,このようにラベリング理論などに絡めて出題されます。

次回は,テンニースです。

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