2019年5月18日土曜日

機能的アプローチとは?


国試での出題実績のあるアプローチは以下の12種類です。

出題基準に示されているもの
・心理社会的アプローチ
・機能的アプローチ
・問題解決アプローチ
・課題中心アプローチ
・危機介入アプローチ
・行動変容アプローチ
・エンパワメントアプローチ
出題基準に示されていないものの出題実績があるもの
・ナラティブアプローチ
・解決志向アプローチ
・フェミニストアプローチ
・実存主義アプローチ
・エンパワメントアプローチ


今回取り上げる機能的アプローチは,出題基準で示されていますが,一問丸ごと出題された実績はありません。

機能的アプローチの源流は,診断主義派ケースワークに対抗して誕生した機能主義派ケースワークです。


機能的アプローチの「機能的」とは,ワーカーが所属する機関の機能を意味しています。

その機能を個別化して提供するのが機能的アプローチです。


今回からは,様々なアプローチが混ざり合った問題を取り上げていきます。

それでは,今日の問題です。


第22回・問題92 ソーシャルワークのアプローチと焦点を当てるべき事象の組み合わせに関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 心理社会的アプローチにおいては,急性の感情的な混乱状態にある利用者の対処能力の強化,社会的機能の回復に焦点を当てる。

2 問題解決アプローチにおいては,利用者自らがもっている具体的な解決イメージを重視し,問題が解決した状態を短期間で実現することに焦点を当てる。

3 課題中心アプローチにおいては,利用者のニーズを機関の機能との関係で明確化し,その機能を個別化して提供することに焦点を当てる。

4 機能的アプローチにおいては,利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

5 エンパワメントアプローチにおいては,利用者が自らの置かれている否定的な抑圧状況を認識し,自らの能力に気付き,その能力を高め,問題に対処することに焦点を当てる。


今まで取り組んできたものを落ち着いて思い出してみましょう。

さて,正解は,選択肢5です。

5 エンパワメントアプローチにおいては,利用者が自らの置かれている否定的な抑圧状況を認識し,自らの能力に気付き,その能力を高め,問題に対処することに焦点を当てる。


エンパワメントアプローチは,様々なアプローチの中で出題頻度が高いものです。
しっかり押さえましょう。



そのほかの選択肢も見てみましょう。


1 心理社会的アプローチにおいては,急性の感情的な混乱状態にある利用者の対処能力の強化,社会的機能の回復に焦点を当てる。

これは危機介入アプローチのことを述べているものです。


2 問題解決アプローチにおいては,利用者自らがもっている具体的な解決イメージを重視し,問題が解決した状態を短期間で実現することに焦点を当てる。

これは解決志向アプローチのことを述べたものです。


3 課題中心アプローチにおいては,利用者のニーズを機関の機能との関係で明確化し,その機能を個別化して提供することに焦点を当てる。

これは機能的アプローチのことを述べたものです。


4 機能的アプローチにおいては,利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

これは実存主義アプローチのことを述べたものです。


<今日の一言>

次回の予告をしますが,今日の問題を下書きにして,次回に紹介する第25回の問題が作られています。

過去問を解く時は,答えられれば良いというものではありません。

問題を並べてみれば,一目瞭然ですが,間違い選択肢として出題されたものを数回先の出題の際には,正解選択肢として出題することはよくあります。

そのパターンになるのは,今日の問題では実存主義アプローチです。

しっかり覚えておきましょう。

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