国試で出題されている様々なアプローチは,11種類あります。
実際には,ユニタリーアプローチがありますが,これはカウントしていません。
覚える必要性が低いからです。
参考書に書いてあるものをすべて覚えなくても,国試では得点できます。
その理由は,次回以降にお伝えしたいと思います。
さて,今回は「エコロジカルアプローチ」を取り上げられます。
エコロジカルアプローチは,「人と環境」の交互作用に着目した援助法です。
システム理論の影響を受けていることがわかるでしょう。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題99 事例を読んで,外国籍住民を支援する団体のKソーシャルワーカー(社会福祉士)が,エコロジカルアプローチの視点から今後行う取組として,より適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
P国籍のLさん(30歳,女性)は半年前に来日した。Mさんなど一部の日本人住民に挨拶をしても無視されることが度々あり,Lさんは疎外感を覚えている。LさんはMさんなど近隣の日本人住民と交流しながら住み続けたいと考えているが,Lさん自身はMさんらに何も伝えることができない。このためLさんは,Kソーシャルワーカーに相談した。
1 Lさんの了解を得て,Lさんに対する思いについてMさんらに尋ねる。
2 この地区の民生委員に問題解決・再発防止の仕組み作りを任せる。
3 日本人住民との良好な関係作りのためにLさんができることを,一緒に考える。
4 疎外感緩和のため,在日P国人団体の集まりに参加するように助言する。
5 Lさんに,Mさんらに対する言動を思い返してもらい,もし不適切な言動をしたことがあればやめるように助言する。
この問題は「エコロジカルアプローチに基づく」ものを選ぶ問題です。
正解するためには,エコロジカルアプローチとは何かがわかっていなければなりません。
「人と環境の交互作用」という言葉がわかっていても,その内容が理解できていなければなりません。
また,対応が適切だとしても,エコロジカルアプローチに基づいたものでなければ,正解にはなり得ません。
「人と環境の交互作用」とは,人(クライエント)は,環境(周りの人)に影響を与え,環境(周りの人)は,人(クライエント)に影響を与える関係性を指しています。
さて,この問題の正解は,選択肢1と3です。
1 Lさんの了解を得て,Lさんに対する思いについてMさんらに尋ねる。
3 日本人住民との良好な関係作りのためにLさんができることを,一緒に考える。
選択肢1は,環境であるMさんらに働きかけた対応です。
選択肢3は,Lさんから環境へ働きかけた対応です。
そのほかの選択肢も見てみましょう。
2 この地区の民生委員に問題解決・再発防止の仕組み作りを任せる。
民生委員も環境です・しかしLさんが抱えている問題の解決には直接つながりません。
4 疎外感緩和のため,在日P国人団体の集まりに参加するように助言する。
在日P国人団体の集まりも環境です。しかし在日P国人団体でつながりができたとしても,Mさんらに無視される状況は変わりません。
5 Lさんに,Mさんらに対する言動を思い返してもらい,もし不適切な言動をしたことがあればやめるように助言する。
不適切な言動を修正するという対応は適切だと言えます。
しかし,この対応は,エコロジカルアプローチの「人と環境の交互作用」に焦点を当てたものとは言えません。
むしろ,問題を修正するので,問題解決アプローチ的だと言えます。Lさんにも問題は複数考えられる中,「不適切な言動」に焦点を当てているところが,「部分化」の技法だと言えるからです。
<今日の問題>
今日の問題は「エコロジカルアプローチに基づく」という条件がなければ,選択肢5も正解になり得ます。
しかし,「エコロジカルアプローチに基づく」という条件があると,正解ではなくなります。
事例問題は,こういったことがあるので,慎重に考える必要があります。
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