その前に,「地位」を簡単に解説します。
地位
社会における立場
地位と聞くと,社会的階級をイメージするかもしれません。社会学における地位は,もっと広い概念で,社会における立場を指します。
一人の人であっても,いくつもの地位を所有し,家では,夫,父親,会社に行く途中では,通勤客,会社では,会社員,役職など,地域では,ボランティアリーダー,宴会では,監事などその時々によって,地位は変わります。
さて,役割期待です。
役割期待とは,地位に関連する期待される行動のことです。
そのため,役割期待は,社会規範(ルール)となります。
役割期待は,同じ社会規範を共有しているから察知することができます。
というのは,周りの人は「あなたは○○だから,▲▲という行動をとることが期待されています」とは教えてくれないからです。
社会規範を学ぶことを「社会化」と呼びます。
つまり,社会化がうまくされていないと,役割期待を察知することができないことになります。
社会的におかしな行動をする人は,社会化がきちんとされていないと言えるでしょう。
役割理論に関するものはたくさんありますが,一度しっかり覚えるとそんなに難しいものではありません。
しかし,中途半端に覚えていると意外に難しいです。
さて,役割期待に関する出題の例です。
■同じ社会の中で,人々が他者の役割期待を察知できるのは,共通の社会観範を内面化しているためである。
これは正解です。内面化とは,自分の中に取り入れることを言います。
■個人が,将来このような役割を遂行できるようになりたいと望むことを,「役割期待」という。
これは間違いです。役割期待は,周囲の期待であり,本人のものではありません。
どちらもしっかり覚えていないと答えられないものだと思います。
〈今日の一言〉
社会的役割は,「役割○○」「役割○○」・・・が連続していくので,覚えるのはいやだなというイメージがあるかもしれません。
いやに思わないコツは,自分に置き換えて考えてみることです。
ひと手間かけた勉強が学習効果を高めます。