今回は,注意欠如・多動症(ADHD)を学びます。
症状は,「不注意」,「多動性・衝動性」があります。
男女差では,多動性・衝動性は,女子よりも男子の方が多く,不注意には,男女差はみられません。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題7
注意欠如・多動症(ADHD)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 学童期の有病率はおよそ20%とされている。
2 多動性の症状は,青年期及び成人期には改善することが多い。
3 学校での症状が主であり,家庭では症状がみられないことが多い。
4 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)では,4歳以前に症状があることを診断基準としている。
5 治療としては,薬物療法が第一選択となることが多い。
難易度は,高めの問題です。
それでは,解説です。
1 学童期の有病率はおよそ20%とされている。
学童期の有病率は,5~15%程度です。
2 多動性の症状は,青年期及び成人期には改善することが多い。
これが正解です。不注意の症状は,大人になっても変わりませんが,多動性の症状は,大人になるにつれて改善する傾向があります。
3 学校での症状が主であり,家庭では症状がみられないことが多い。
ADHDの診断基準には,「少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる」があります。
4 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)では,4歳以前に症状があることを診断基準としている。
ADHDは,4歳前に発症する子もいますが,診断基準では,「12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられる」があります。
5 治療としては,薬物療法が第一選択となることが多い。
ADHDの治療には,メチルフェニデート(脳のドーパミンの増加作用のある薬剤)などの薬物療法が行われます。
しかし,治療には,薬物療法と非薬物療法を組み合わせて実施します。
非薬物療法には,SST(社会生活技能訓練),認知行動療法などがあります。
さらには,環境調整(不要な刺激を減らす)なども実施されます。