今回は,パーキンソン病を学びます。
パーキンソン病は,ドーパミンが減少することで発症すると言われています。
主症状は4つです。
パーキンソン病の4つの主症状
振戦 |
静止時に手足が震える。 |
無動 |
体の動きが緩慢になる。 |
筋固縮 |
筋肉が固くなる。 |
姿勢反射障害 |
体のバランスを保てなくなる。 |
これらの症状によって,よく知られる「突進現象」「小刻み歩行」などが現われます。
パーキンソン症状の重症度は,ホーエン・ヤール重症度分類がよく使われています。
ホーエン・ヤール重症度分類
Ⅰ度 |
身体の片側の手足に症状が現われる。 |
Ⅱ度 |
身体の両側の手足に症状が現われる。 |
Ⅲ度 |
歩行障害が現われる。 |
Ⅳ度 |
生活の一部に介助が必要となる。 |
Ⅴ度 |
移動に車いすが必要となり,さらに悪化すると寝たきりになる。 |
それでは,今日の問題です。
第35回・問題5
パーキンソン病の原因と症状に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 小脳の異常である。
2 脳内のドーパミンが増加して発症する。
3 安静時に震えが起こる。
4 筋固縮がみられる。
5 大股で歩行する。
パーキンソン病が1問丸ごと出題されたのは,本当に久々でした。調べてみると第18回国試以来でした。
しかし,基本を押さえておけば,正解できるように問題が作られています。
それでは解説です。
1 小脳の異常である。
パーキンソン病は脳の黒質と呼ばれる部分が減少し,ドーパミンが減少することで発症します。
2 脳内のドーパミンが増加して発症する。
選択肢1に書いたように,ドーパミンが減少することによって発症します。
抗精神病薬(統合失調症の治療薬のこと)の中には,ドーパミンの働きを抑制するものがあります。
そのため,抗精神病薬の副作用として,パーキンソン症状が出現します。
パーキンソン症状と言えば,レビー小体型認知症の特徴でもあることを覚えておきたいです。
なお,レビー小体型認知症の特徴は,はっきりした幻視があること,パーキンソン症状がみられることの2つです。
また,多発性脳梗塞もパーキンソン症状の原因となります。
3 安静時に震えが起こる。
これが1つめの正解です。
振戦が起きるのは,体を動かさない時です。体を動かすと振戦は止まります。
4 筋固縮がみられる。
これが2つめの正解です。
筋固縮(筋肉が固くなる)によって,突進現象が見られます。
なかなか体を動かすことができず,すくみ足となり,動き出したと途端に突進するのが突進現象です。
5 大股で歩行する。
歩行は,すり足で,小刻みに動かすのが特徴です。
〈今日の一言〉
パーキンソン症状を含むパーキンソン病の国家試験での出題頻度は,約2回に1回です。
出題頻度が極めて高いものの1つと言えるでしょう。こういったものを確実に覚えることが国家試験攻略には欠かせません。
なお,社会福祉士の国家試験では,ホーエン・ヤール重症度分類はまだ出題されたことはありません。
しかし,掲載している教科書もあるので,念のために覚えておきたいです。
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