コーピングは,次の2種類に分類されます。
問題焦点型コーピング |
ストレスになっていること,問題となっていることなど,その根源そのものを変えようとする。 例:模擬試験の結果が悪かった。どの科目が苦手なのか,冷静に分析してその科目を強化する。 |
情動焦点型コーピング |
ストレスを感じないようにすること。 例:模擬試験の結果が悪かった。気分が落ち込んだため,同じように結果が振るわなかった友達とカラオケに行った。 |
問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングは,どちらが優れていて,どちらが優れていないか,というものではありません。
起きているものによって,バランスよくコーピングを行うことが大切です。
上の例に書いたものでは,情動焦点型コーピングも時には大切です。
しかし,それだけではいけません。そのあとに問題焦点型コーピングが必要です。
それがないと,国家試験のあとで,もっと辛い気持ちになります。
コーピングが出題される場合は,問題焦点型コーピングであるのか,情動焦点型コーピングであるのか,を見極めることが問われます。
見極めるポイントは,ストレスを感じていること,問題になっていること自体を変えようとしているかどうかに着目します。
変えようとしていれば,問題焦点型コーピング。
そうでなければ,情動焦点型コーピング,あるいは全く違うものです。
コーピングの問題は,タクソノミーⅡ型のスタイルで出題されています。
それでは今日の問題です。
第35回・問題12
次の記述のうち,問題焦点型ストレス対処法(コーピング)の事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護ストレスを解消してもらおうと,介護者に気晴らしを勧めた。
2 困難事例に対応できなかったので,専門書を読んで解決方法を勉強した。
3 仕事がうまくはかどらなかったので,週末は映画を観てリラックスした。
4 育児に悩む母親が,友人に話を聞いてもらえて気分がすっきりしたと話した。
5 面接がうまくいかなかったので,職場の同僚に相談し,ねぎらってもらった。
問題となっているものを変えようとしていれば,問題焦点型コーピング。
そうでなければ,情動焦点型コーピング,あるいは全く違うもの。
この視点で分類すると
問題となっているものを変えようとしているもの |
2 困難事例に対応できなかったので,専門書を読んで解決方法を勉強した。 |
そうでないもの |
1 介護ストレスを解消してもらおうと,介護者に気晴らしを勧めた。 |
3 仕事がうまくはかどらなかったので,週末は映画を観てリラックスした。 |
4 育児に悩む母親が,友人に話を聞いてもらえて気分がすっきりしたと話した。 |
5 面接がうまくいかなかったので,職場の同僚に相談し,ねぎらってもらった。 |
この問題は,問題焦点型コーピングを選ぶものなので,正解は,選択肢2です。
2 困難事例に対応できなかったので,専門書を読んで解決方法を勉強した。
問題となっているものは,「困難事例に対応できなかった」です。
この問題に対して,専門書を読んで勉強して,解決しようとしています。
これに加えて,スーパービジョンを受けるとさらに良い実践力が身につきそうです。
〈今日の一言〉
今日の問題のようなタクソノミーⅡ型の問題は,知識があって,そのうえで,考えて答えを出します。
知識がなければ正解することはできませんが,その知識を使って考えなければ,正解できません。
知識があれば決して難しくないですが,知識がなければ正解することができないので,国家試験の出題方法として,とても向いています。