何度受験しても合格できない人がいます。
同じ勉強を続けていけば,結果は同じです。どこかでそれに気がついてほしいと思います。
「覚える」が「理解する」の段階までにならないと対応するのが難しいと思います。
同じ文章で出題すると,記憶力の高い人が有利です。
ソーシャルワーカーに必要なスキルの一つには,「クライエントにわかりやすいように説明する」というものがあります。そのためには,ソーシャルワーカーが理解しなければなりません。
国家試験は,その訓練をする場であるように思うのです。タクソノミーⅡ型,タクソノミーⅢ型の問題は,その訓練に向いています。
今日のテーマは,社会生活技能訓練(SST)です。
社会生活技能訓練(SST)は,ゲーム,ロールプレイ,ディスカッションなどを通し,社会の中での対人関係スキルを身につけるものです。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題14
心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ブリーフセラピーは,クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。
2 社会生活技能訓練(SST)は,クライエントが役割を演じることを通して,対人関係で必要な技能の習得を目指していく。
3 来談者中心療法は,クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。
4 精神分析療法は,学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。
5 森田療法は,クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。
心理療法は,毎年出題されていますので,確実に正解したいです。
それでは解説です。
1 ブリーフセラピーは,クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。
ブリーフセラピー(短期療法)は,過去よりも「現在」あるいは「未来」に焦点を当てるものです。
過去に焦点を当てるのは,精神分析療法などです。
2 社会生活技能訓練(SST)は,クライエントが役割を演じることを通して,対人関係で必要な技能の習得を目指していく。
これが正解です。前説に書いたとおりに,ロールプレイなどを通して,対人関係スキルを身につけていくのがSSTの特徴です。
3 来談者中心療法は,クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。
来談者中心療法は,クライエントに肯定的関心をもって,傾聴を続けていくものです。
来談者中心療法では,クライエントに指示を与えることはしません。
4 精神分析療法は,学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。
学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていくのは,行動療法あるいは認知行動療法です。
5 森田療法は,クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。
森田療法は,不安があることを「あるがままに」受け止めていけるように,作業を行うことが特徴です。
最初は,何もしない「絶対臥褥期」という段階を踏むのも特徴です。
クライエントが抑圧している過去の変容を目指していくのは,選択肢1で書いたように,精神分析療法です。
〈今日の一言〉
「過去」に焦点を当てるのは,精神分析療法や精神分析療法に影響を受けている箱庭療法や遊戯療法などです。
「現在」や「未来」に焦点を当てるのは,ブリーフセラピーです。ソーシャルワークでは,ブリーフセラピーを基盤としている「解決志向アプローチ」です。