2023年1月22日日曜日

機関・施設に配置される専門職~その3

今回も,機関に配置される専門職を取り上げたいと思います。

 

今日も,前説なしに問題です。

 

34回・問題46 福祉行政における専門職等の法令上の位置づけに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県の福祉事務所に配置される社会福祉主事は,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。

2 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)は,社会福祉主事でなければならない。

3 身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司は,身体障害者の更生援護等の事業に5年以上従事した経験を有しなければならない。

4 地域包括支援センターには,原則として社会福祉主事その他これに準ずる者を配置しなければならない。

5 児童相談所においては,保育士資格を取得した時点でその者を児童福祉司として任用することができる。

 

この問題の難易度は決して高くないと思いますが,知識があいまいだと正解するのは,簡単ではありません。

 

正解できそうで,実際にはできないというのが,問題づくりでは最高です。へんてこな問題を出題して,勉強した人も正解できないというのは資格試験では不適切です。

 

理想的な資格試験は,勉強した人は正解できて,勉強不足の人は正解できない問題が出題されることです。

 

今後はこういった問題がおそらく多く出題されることでしょう。

 

それでは,解説です。

 

1 都道府県の福祉事務所に配置される社会福祉主事は,老人福祉法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法に関する事務を行う。

 

都道府県は,以前は福祉六法を取り扱っていましたが,老人福祉法,知的障害者福祉法,身体障害者福祉法は市町村に権限移譲されたために,現在は,生活保護法,児童福祉法,母子及び父子並びに寡婦福祉法の3法を扱います。

この3法については,イメージができますか?

●生活保護法は,福祉事務所を設置しない町村があるので,その代わりに都道府県が保護を行います。


●児童福祉法は,入所措置などを行います。

 

●母子及び父子並びに寡婦福祉法は,母子福祉資金,父子福祉資金,寡婦福祉資金の貸し付けを行います。

 

もちろんこれだけではありませんが,こういったことを考えると国試当日には混乱せずに済むことでしょう。これが確実に覚えるコツです。

 

2 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)は,社会福祉主事でなければならない。

 

これが正解です。

 

福祉事務所の現業員と査察指導員は社会福祉主事でなければなりません。

 

これまでの国試で何度も何度も出題されてきたものです。

 

国家試験では,社会福祉主事ではなく,社会福祉士でなければならない,と出題されることが多くあるので,注意が必要です。

 

社会福祉士の配置義務があるのは,地域包括支援センターのみです。

 

3 身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司は,身体障害者の更生援護等の事業に5年以上従事した経験を有しなければならない。

 

社会福祉主事が身体障害者更生相談所の身体障害者福祉司に任用されるには,2年以上の実務経験が必要です。

 

社会福祉士の場合は,実務経験がなくても任用されます。

 

4 地域包括支援センターには,原則として社会福祉主事その他これに準ずる者を配置しなければならない。

 

地域包括支援センターには,社会福祉士,保健師,主任介護支援専門員が配置されます。

 

5 児童相談所においては,保育士資格を取得した時点でその者を児童福祉司として任用することができる。

 

児童福祉司として任用される際に実務経験を必要としないのは,社会福祉士です。

 

保育士は,2年間の実務経験がある者が講習会を受けることで任用資格を得ることができます。

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