前回に引き続き,福祉サービス第三者評価事業を取り上げます。
福祉サービス第三者評価事業が始まった第18回国試以降は,以下の頻度で出題されています。
回 |
出題 |
第18回 |
〇 |
第19回 |
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第20回 |
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第21回 |
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第22回 |
〇 |
第23回 |
〇 |
第24回 |
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第25回 |
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第26回 |
〇 |
第27回 |
〇 |
第28回 |
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第29回 |
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第30回 |
〇 |
第31回 |
〇 |
第32回 |
〇 |
第33回 |
〇 |
第34回 |
〇 |
ものすごい高頻度であることがわかりますね。これを覚えないで何を覚えるのかといった感じです。
福祉サービス第三者評価事業は,社会福祉法第78条「社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない」を根拠として実施されているものです。
第三者評価事業を担う「都道府県推進組織」は,都道府県,都道府県社会福祉協議会,公益法人又は都道府県が適当と認める団体に設置されます。
多くは都道府県社会福祉協議会が都道府県推進組織に認定されていますが,都道府県社協以外も認定されます。
都道府県推進組織は,主に以下の業務を行います。
・第三者評価機関の認証
・評価調査者養成研修及び評価調査者継続研修
・第三者評価事業に関する情報公開及び普及・啓発 など
実際に第三者評価を行うのは,都道府県推進組織から認証を受けた第三者評価機関です。
第三者評価機関で評価調査を行うためには,都道府県推進組織が実施する評価調査者養成研修を修了していることが必要です。
評価結果は都道府県推進組織が公表しますが,社会的養護関係施設(児童養護施設,乳児院,児童心理治療施設,児童自立支援施設,母子生活支援施設)以外は,公表してほしくないという希望があれば,公表されません。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題41 福祉サービス第三者評価事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 評価調査者は,養成研修を受講し,修了していなければならない。
2 評価機関の認証は,全国社会福祉協議会が行っている。
3 評価結果を公表することが,社会福祉法で義務づけられている。
4 株式会社などの営利法人は,評価機関となることができない。
5 評価に当たっては,社会福祉法で利用者調査の実施が,義務づけられている。
正解は,選択肢1です。
1 評価調査者は,養成研修を受講し,修了していなければならない。
この問題が出題されたときは,これを知らなかった人も多かったのではないかと思います。
国家試験問題には,2種類があります。
①既存の知識で答えがわかるタイプ
②既存の知識を使って消去法で正解をあぶり出すタイプ
この問題は,「②既存の知識を使って消去法で正解をあぶり出すタイプ」にあたります。
このタイプは,消去できないものが一つでもあると正解できないので難易度が上がります。
それでは,正解以外の解説です。
2 評価機関の認証は,全国社会福祉協議会が行っている。
評価機関の認証は,都道府県推進組織が行います。
3 評価結果を公表することが,社会福祉法で義務づけられている。
社会福祉法には,福祉サービス第三者評価に関する規定はありません。
第79条の「社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない」の「その他の措置を講じること」を推進するためのものが福祉サービス第三者評価事業です。
ただし,現在は,社会的養護関係施設(児童養護施設,乳児院,児童心理治療施設,児童自立支援施設,母子生活支援施設)には,「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」によって,第三者評価の受審及びその結果の公表が義務づけられています。
しかし,義務づけているのは,社会福祉法ではありません。
4 株式会社などの営利法人は,評価機関となることができない。
「福祉サービス第三者評価機関認証ガイドライン」の要件を満たしていれば,営利法人でも評価機関の認証を受けることができます。
実際に,たくさんの株式会社が認証を受けて第三者評価を実施しています。
5 評価に当たっては,社会福祉法で利用者調査の実施が,義務づけられている。
社会福祉法で,質の評価に関する規定は,第79条しかありません。
第79条は確実に覚えておきたいものです。