民生委員協議会は,都道府県知事が市町村長の意見を聴いて定める区域ごとに組織しなければなりません。
それでは,民生委員協議会を組織するのは誰でしょうか。
都道府県知事?
市町村長?
いずれも違います。
民生委員協議会を組織するのは,民生委員です。
民生委員協議会の職務
第二十四条 民生委員協議会の任務は、次のとおりとする。 一 民生委員が担当する区域又は事項を定めること。 二 民生委員の職務に関する連絡及び調整をすること。 三 民生委員の職務に関して福祉事務所その他の関係行政機関との連絡に当たること。 四 必要な資料及び情報を集めること。 五 民生委員をして、その職務に関して必要な知識及び技術の修得をさせること。 六 その他民生委員が職務を遂行するに必要な事項を処理すること。 2 民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各庁に具申することができる。 |
この中で,特に重要なのは「2 民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各庁に具申することができる」です。確実に覚えておきたいです。
それでは,今日の問題です。今回も1問あります。
第34回・問題36 民生委員に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 給与は支給しないものとされ,任期は定められていない。
2 定数は厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の条例で定められる。
3 市町村長は,民生委員協議会を組織しなければならない。
4 児童委員を兼務するが,本人から辞退の申出があれば,その兼務を解かなければならない。
5 非常勤特別職の地方公務員とみなされ,守秘義務が課せられる。
見たことがあるような内容のものが並んでいますが,少しずつ異なります。
これが国家試験の怖いところです。
それでは,解説です。
1 給与は支給しないものとされ,任期は定められていない。
給与は支給されないのは正しいです。
しかし任期はあります。3年です。補欠で民生委員になった場合は,前任者の任期を引き継ぎます。
2 定数は厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の条例で定められる。
定数を定めるにあたって,厚生労働大臣の定める基準を参酌するのは正しいです。
しかし,条例を定めるのは,市町村ではなく,都道府県です。
市町村は,都道府県が条例で定数を定める場合,意見を聴かれることにとどまります。
こういったところが,民生委員はもともと都道府県独自の取り組みとして始まった済世顧問制度や方面委員制度を源流としている制度らしいと思います。
3 市町村長は,民生委員協議会を組織しなければならない。
民生委員協議会を組織するのは,民生委員です。
4 児童委員を兼務するが,本人から辞退の申出があれば,その兼務を解かなければならない。
民生委員と児童委員はセットです。
どちらかを辞めることはできません。
5 非常勤特別職の地方公務員とみなされ,守秘義務が課せられる。
これが正解です。
それではもう1問です。
第32回・問題38 民生委員・児童委員についての法律上の規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 民生委員は,市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
2 主任児童委員は,児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
3 民生委員協議会は,民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
4 民生委員は,職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
5 民生委員は,その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。
正解は,今日のテーマが出題された選択肢3です。
3 民生委員協議会は,民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
次に民生委員協議会が出題される場合は,おそらく正解にはしないと思います。引っ掛けられないように注意が必要です。
それでは,正解以外を解説します。
1 民生委員は,市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
このような規定はありません。
2 主任児童委員は,児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
主任児童委員は,児童委員から指名されます。指名するのは,厚生労働大臣です。
指名されたらどこから配属されるということはありません。
4 民生委員は,職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
民生委員には,守秘義務があります。
5 民生委員は,その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。
民生委員が指揮監督を受けるのは,都道府県知事です。
民生委員制度の源流である済世顧問制度・方面委員制度は,都道府県レベルで創設されたものであることを感じると思いませんか。
市町村長は,民生委員に対して,援助を必要とする者に関する必要な資料の作成の依頼,その他民生委員の職務に関して必要な指導をすることができる,という位置づけです。