2018年5月16日水曜日

第31回国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その11

今回から,科目は「地域福祉の理論と方法」に移ります。

この科目も歴史が出題されます。

しかし,出題ポイントは決まっています。

しっかり押さえれば必ず得点できます。

第27回・問題33 地域福祉にかかわるイギリスの歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 チャルマーズ(Chalmers,T.)による隣友運動(1819年)では,貧困家庭への訪問活動が行われ,救貧法の改正に大きな影響を与えた。
2 ロンドンで設立された慈善組織協会(1869年)は,慈善活動を組織化するとともに友愛訪問を実施し,ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。
3 ロンドンの富裕地域に設立されたトインビーホール(1884年)は,セツルメントの拠点として,富裕層による慈善活動を喚起する役割を担った。
4 「ベヴァリッジ報告」(1942年)は,社会保障制度の基礎となるとともに,地方自治体におけるパーソナル・ソーシャルサービスを中心とした組織改革をもたらした。
5 イギリス政府の病院計画(1962年)では,10年間で知的障害者の入所施設の利用者数をほぼ半数に減らし,コミュニティケアを推進する政策を打ち出した。

この中で,見たことのないものは「イギリス政府の病院計画」でしょう。
しかし多くの場合,このような選択肢に答えはないものです。

それでは解説です。


1 チャルマーズ(Chalmers,T.)による隣友運動(1819年)では,貧困家庭への訪問活動が行われ,救貧法の改正に大きな影響を与えた。

チャルマーズの隣友運動は,相互扶助です。それが慈善組織協会の活動につながっていきます。救貧法の改正には影響は与えていません。よって間違いです。


2 ロンドンで設立された慈善組織協会(1869年)は,慈善活動を組織化するとともに友愛訪問を実施し,ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。

これが正解です。COSは不正受給を防止するために設立されたものです。

友愛訪問が専門化し,それがケースワークの源流となりました。


3 ロンドンの富裕地域に設立されたトインビーホール(1884年)は,セツルメントの拠点として,富裕層による慈善活動を喚起する役割を担った。

セツルメントは,知識階級が貧困地区に移住し,社会改良を目指したものです。よって間違いです。


4 「ベヴァリッジ報告」(1942年)は,社会保障制度の基礎となるとともに,地方自治体におけるパーソナル・ソーシャルサービスを中心とした組織改革をもたらした。

組織改革をもたらしたのは,シーボーム報告です。3部門を一元化しました。よって間違いです。


5 イギリス政府の病院計画(1962年)では,10年間で知的障害者の入所施設の利用者数をほぼ半数に減らし,コミュニティケアを推進する政策を打ち出した。

イギリス政府の病院計画は,大規模な精神病院を廃止する計画です。よって間違いです。


〈今日のまとめ〉

この問題で分かるのは,覚えておきたいのは,慈善組織協会,セツルメント,各種報告書です。

5つそろえることができなかったので,「イギリス政府の病院計画」を数合わせで出題したものと思われます。

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