今日も日本の歴史編です。
第23回・問題24 我が国における第二次世界大戦終了以前の福祉制度の発達過程に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 中央社会事業協会は,明治41年に設立され,国内外の救済事業の調査,慈善団体や慈善家の連絡調整・指導奨励事業のほか,救済事業の専門誌『社会事業』を発刊した。
2 ドイツのエルバーフェルト制度などを参考に大正6年に岡山県で始まり,翌年大阪府に設置された済世顧問制度は,次第に全国に普及していった。
3 救済行政の全国統一を目指して,大正6年に厚生省に救護課が設置され,大正8年にはその名称が社会課と改称され,大正9年には社会局へと発展した。
4 昭和4年に救護法が施行され,居宅における救護のほか,養老院,孤児院等の救護施設での救護を行うとともに,市町村長を民生委員が補助する体制を整えた。
5 昭和12年に母子保護法及び軍事扶助法,昭和13年に国民健康保険法,昭和16年に医療保護法が相次いで制定され,この時期,社会事業と並んで戦時厚生事業の呼称が用いられるようになった。
歴史が苦手な人でもこのくらいは覚えておきたいものが並んでいます。
前回と重なっているのは,
内務省
居宅救護(居宅保護)
戦時厚生事業
の3つです。
重なっていないのは,
中央社会事業協会
済生顧問制度
です。
国試は,少しずつ重なっていて,少しずつ違うのが分かることでしょう。
少しずつ違うのが,3年間の過去問では対応できない理由です。
それでは解説していきましょう。
1 中央社会事業協会は,明治41年に設立され,国内外の救済事業の調査,慈善団体や慈善家の連絡調整・指導奨励事業のほか,救済事業の専門誌『社会事業』を発刊した。
中央社会事業協会は,現在の全国社会福祉協議会の源流です。
中央慈善協会 → 中央社会事業協会 → 日本社会事業協会 → 中央社会福祉協議会 → 全国社会福祉協議会(全社協)
と流れていきます。
明治41年に設立されたのは,中央慈善協会です。よって間違いです。
2 ドイツのエルバーフェルト制度などを参考に大正6年に岡山県で始まり,翌年大阪府に設置された済世顧問制度は,次第に全国に普及していった。
済生顧問制度は,大正6(1917)年に岡山県で始まりました。
その翌年,大正7(1918)年に大阪では方面委員制度が始まりました。
その後方面委員制度は,全国に広がっていきます。よって間違いです。
3 救済行政の全国統一を目指して,大正6年に厚生省に救護課が設置され,大正8年にはその名称が社会課と改称され,大正9年には社会局へと発展した。
大正6(1917)年に,軍事救護法の事務を行うために,内務省救護課ができました。よって間違いです。
その翌年に米騒動が起きて,内務省救護課が社会課になり,その後局に格上げされていきます。そして昭和13(1938)年に内務省から独立して厚生省となります。
4 昭和4年に救護法が施行され,居宅における救護のほか,養老院,孤児院等の救護施設での救護を行うとともに,市町村長を民生委員が補助する体制を整えた。
明治初期にできた恤救規則は,救護法ができるまで存続します。
同法によって,養老院(現・児童養護施設),孤児院(現・養護老人ホーム)などができます。ここまでは正解です。
市町村長が救護の実施機関で,その事務を補助したのは,方面委員です。ここが間違いです。
方面委員は,戦後に民生委員に改称されて,旧・生活保護法でも,市町村長の補助機関となります。
現・生活保護法は保護の実施期間は,福祉事務所となりました。補助機関は社会福祉主事となり,民生委員は協力機関となりました。
5 昭和12年に母子保護法及び軍事扶助法,昭和13年に国民健康保険法,昭和16年に医療保護法が相次いで制定され,この時期,社会事業と並んで戦時厚生事業の呼称が用いられるようになった。
これが正解です。
軍事扶助法は,大正6(1917)年の軍事救護法を改正して成立したものです。
母子保護法,軍事扶助法,医療保護法,ここには出題されていませんが,戦時災害保護法は,救護法を補足するために成立していきます。
さまざまに分かれていたものを戦後になって,まとめて成立したのが戦後の旧・生活保護法です。
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