2018年5月7日月曜日

第31回国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その2

前回から歴史問題に取り組んでいます。

しばらく続けていきたいと思います。

それでは,今日の問題です。

第28回・問題24 イギリスにおける貧困対策の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 新救貧法(1834年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。
2 慈善組織協会(COS,1869年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。
3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。
4 老齢年金法(1908年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。
5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,「社会保障計画」を提唱した。

福祉の歴史の中心は,イギリスです。

イギリスは,世界で初めて産業革命を経験し,さまざまな資本主義の弊害を潜り抜けてきました。

その歴史は,貧困との闘いだと言えるでしょう。

それでは,詳しく見ていきましょう。


1 新救貧法(1834年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。

前回も紹介しましたが,救貧法は,エリザベス救貧法と改正救貧法の違いを押さえる必要があります。

改正救貧法は,中央政府による中央集権化,自活する貧民よりも低いレベルで救済する「劣等処遇の原則」がポイントです。

よって間違いです。

2 慈善組織協会(COS,1869年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。

慈善組織協会(COS)は,救済の価値のある貧民と救済の価値のない貧民に分けて,救済の価値のある貧民だけを救済しました。

立法による救済は主張していません。よって間違いです。


3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。

これが正解です。ブースは貧困線を設けて,実に3割が貧困に陥っていること,貧困の原因は,最も多かったものは雇用の問題,そして2番目は環境の問題であることが明らかとなりました。

ブースの貧困調査を一歩進めたものが,ラウントリーによる調査です。

ラウントリーは,最低生活費から貧困線を設けるマーケットバスケット方式という科学的な方法を用いました。


4 老齢年金法(1908年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。

イギリスの老齢年金法は,全額公費負担方式でした。

社会保険方式ではないので,資力調査を実施して年金が支給されています。よって間違いです。


5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,「社会保障計画」を提唱した。

ウェッブ夫妻が提唱したのは,ナショナルミニマム(国家による最低生活保障)です。よって間違いです。

ウェッブ夫妻が提唱したナショナルミニマムを取り入れた社会保障計画を提唱したのは,べヴァリッジです。



〈今日の一言〉

歴史は,勘では解けないので,勉強不足の人は太刀打ちでないものとなります。

しかし,決して深い知識は問われず,しかも出題されるのはいつも同じです。

つまり勉強すれば点数が取れるものになります。

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