2021年11月15日月曜日

不適切問題が出題されるとどうなるか

国家試験問題は,よく吟味して出題していると思いますが,それでも問題が不適切なものが出題されることがあります。


社会福祉士の国家試験では,そういった問題の場合は,全員に点数が与えられます。


その科目が0点だった人には,ラッキーですが,そうでない人にとって,よくないことです。


なぜなら,その分,実質的にボーダーラインが上がるからです。


ギリギリの人は,泣き笑いが生じます。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題70 日本国憲法が保障する基本的人権と権利に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 憲法の基本的人権の保障は,特別の定めがある場合を除き,外国人には及ばない。

2 憲法の基本的人権規定は,国又は地方公共団体と個人との関係を規律するものであり,私人間にその効力が及ぶことはない。

3 拘留又は拘禁された後,無罪の裁判を受けた者が,国に対してその補償を求めるのは,憲法が認める権利である。

4 基本的人権は,侵すことのできない永久の権利であり,憲法条文に制限の可能性が示されている場合に限り,制約を受ける。

5 最高裁判所の判例によれば,憲法第25条の内容については立法府の広い裁量に委ねられており,著しい濫用や逸脱があっても司法審査の対象とはならない。


この問題が不適切問題となったのは,選択肢3のためです。


本来は,これを正解にしたかったのだと思います。


どこが不適切だったかと言えば,「拘留」は正しくは「抑留」だったからです。


それでは,解説です。


1 憲法の基本的人権の保障は,特別の定めがある場合を除き,外国人には及ばない。


現在の日本では,基本的人権の保障は,特別な定めがある場合以外,外国人に及びます。


特別な定めとは,例えば選挙権なとです。


2 憲法の基本的人権規定は,国又は地方公共団体と個人との関係を規律するものであり,私人間にその効力が及ぶことはない。


私人間(しじんかん)にも及びます。


3 拘留又は拘禁された後,無罪の裁判を受けた者が,国に対してその補償を求めるのは,憲法が認める権利である。


この選択肢は,抑留であれば,正解でした。


4 基本的人権は,侵すことのできない永久の権利であり,憲法条文に制限の可能性が示されている場合に限り,制約を受ける。


基本的人権は,制約を受けることがありますが,それらは憲法に明記されていません。


5 最高裁判所の判例によれば,憲法第25条の内容については立法府の広い裁量に委ねられており,著しい濫用や逸脱があっても司法審査の対象とはならない。


この選択肢は難しいですが,何度も同じようなものが出題されているので覚えておきたいです。


最高裁判所の判例によれば,憲法第25条の内容については立法府の広い裁量に委ねられていますが,著しい濫用や逸脱があった場合は,司法審査の対象となります。


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