2021年11月3日水曜日

障害者総合支援法における自立支援給付

障害者総合支援法が規定するサービス体系は,大きく分けると自立支援給付と地域生活支援事業があります。


障害者総合支援法の実施主体は,市町村ですが,中には都道府県が担っているものもあります。


なじみのない人にとっては,複雑に思うかもしれませんが,障害者自立支援法ができる前の障害別に分かれていた時を考えるとシンプルになったと言えます。


さて,今日の問題は古い出題なので,現在とは若干変わっているところがあります。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題130 障害者自立支援法における自立支援給付に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 行動援護は,身体障害により行動上著しい困難を有する障害者で常時介護を要する者に対して,行動する際に生じる危険を回避するために必要な援護,外出時における移動中の介護などを支援する。

2 共同生活介護は,常時介護を要する障害者として厚生労働省令に定める者に対して,主として夜間において,入浴,排泄又は食事の介護などを提供する。

3 就労移行支援は,就労を希望する障害者に対して,利用期限を定めずに,生産活動等の機会を提供することによって,就労に必要な知識や能力の向上を図る訓練等を行う。

4 施設入所支援を利用する障害者が,指定相談支援事業者からサービス利用計画作成の支援を受けたときは,サービス利用計画作成費が支給される。

5 補装具費は,障害者又はその配偶者,障害児又はその保護者が一定の所得以上の場合には支給されない。


現在とは内容が異なりますが,改変せずあえてそのまま出題しました。


さて,この中で,現在と異なるのは,選択肢4です。


4 施設入所支援を利用する障害者が,指定相談支援事業者からサービス利用計画作成の支援を受けたときは,サービス利用計画作成費が支給される。


この時は,まだ相談支援事業が今のように「一般」と「特定」に分かれていなかったようです。


いつ,そうなったのかはよく知りませんが,おそらく2010(平成22)年の改正の時ではないかと思います。


また現在は,「サービス等利用計画」ですが,「サービス利用計画」となっています。


さらに,現在は「計画相談支援給付費」ですが,「サービス利用計画作成費」となっています。


さて,このように障害者の相談支援は変わっていますが,この問題が出題されたときは,この選択肢は誤りでした。


というのは,この当時は,施設入所支援を利用する場合は,サービス利用計画は作成していなかったからです。


現在は,居宅系や通所系,そして入所系サービス(施設入所支援)を利用する場合にサービス等利用計画を作成します。


それでは,ほかの選択肢も確認します。


1 行動援護は,身体障害により行動上著しい困難を有する障害者で常時介護を要する者に対して,行動する際に生じる危険を回避するために必要な援護,外出時における移動中の介護などを支援する。


行動援護の対象は,知的障害者と精神障害者です。


2 共同生活介護は,常時介護を要する障害者として厚生労働省令に定める者に対して,主として夜間において,入浴,排泄又は食事の介護などを提供する。


よく見ると,この介護給付の「共同生活介護」(ケアホーム)は,現在は,訓練等給付の「共同生活援助」(グループホーム)に統合されています


現在の共同生活援助は,主として夜間において,共同生活を営むべき住居において相談,入浴,排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行います。


3 就労移行支援は,就労を希望する障害者に対して,利用期限を定めずに,生産活動等の機会を提供することによって,就労に必要な知識や能力の向上を図る訓練等を行う。


就労移行支援は,利用期間を定めて利用します。


利用期間を定めないのは,就労継続支援です。


5 補装具費は,障害者又はその配偶者,障害児又はその保護者が一定の所得以上の場合には支給されない。


これが正解です。

補装具費の支給には,所得制限があります。


この当時は,補装具の購入に対して支給されましたが,現在は貸与の場合も給付されます。

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