社会福祉士の国家試験には,カタカナ語が多く出題されます。
苦手などと言ってはいられません。
苦手な人が多いからこそ,頑張って覚えなければなりません。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題88 アドボカシーに関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
1 利用者が自分の要求を表明できない場合に,援助者がそれを代弁する機能のことである。
2 援助者のロイヤリティが所属機関にあることから,その第一の目的は,所属機関を擁護することである。
3 援助者個人の関心に基づき,特定の人たちの権利を維持・向上するために,政策や法律の変革を求める働きかけのことである。
4 利用者と利害関係のある相手の主張に対し,援助者は利用者が妥協できるように交渉することである。
5 援助者の治療的アプローチによって,利用者が無気力であった自己を積極的な自己へと変容させる援助者の活動のことである。
アドボカシーについての出題なので,アドボカシーがわかっていないと正解できません。
それでは,解説です。
1 利用者が自分の要求を表明できない場合に,援助者がそれを代弁する機能のことである。
これが正解です。
アドボカシーは,代弁や権利擁護などの意味です。
事例で展開されても答えられるようにしておきたいです。
2 援助者のロイヤリティが所属機関にあることから,その第一の目的は,所属機関を擁護することである。
ロイヤリティというわけのわからないもので受験生を混乱させるための出題です。
しかし,それがわからなくても消去することはできそうです。
気をつけたいのは,わけのわからないもので混乱しないようにすることです。
この問題は決して難易度が高いものではありませんが,確実に正解するのはそれほど簡単ではありません。
そこが国試の怖いところです。
3 援助者個人の関心に基づき,特定の人たちの権利を維持・向上するために,政策や法律の変革を求める働きかけのことである。
特定の人たちの権利を維持・向上するために,政策や法律の変革を求める働きかけのことは,クラスアドボカシーを意味していると思います。
また,もう一つの誤りポイントは,「援助者個人の関心に基づき」です。
援助者が中心にあるような出題はすべて誤りです。
中心にあるのは,どの場面でもクライエントです。
4 利用者と利害関係のある相手の主張に対し,援助者は利用者が妥協できるように交渉することである。
交渉することは,ネゴシエーションですが,内容がでたらめです。
中心にあるは,クライエントです。交渉は,クライエントの権利擁護のために行うものです。
クライエントに妥協させることを目的に交渉するなら,担当を外したほうがよいです。
5 援助者の治療的アプローチによって,利用者が無気力であった自己を積極的な自己へと変容させる援助者の活動のことである。
治療的アプローチは,医学モデルに基づくようなものを意味しているのでしょう。
心理社会的アプローチのようなものかもしれません。
具体的に何を指すのかはわからなくても,アドボカシーではないことは明らかです。