契約不適合責任とは,それまで瑕疵担保責任と呼ばれていたものが,2020年の民法が改正されて変わったものです。
簡単に言えば,購入した時に気づかなかった欠陥が購入後に見つかった場合,損害賠償等ができるものです。
〈契約不適合責任によって請求できる内容〉
・損害賠償請求
・契約解除
・補修代金請求
・代金減額請求
このうちの代金減額請求は,2020年改正の時に新しく加わったものです。
それまでは,「代金をまけてくれ」という請求は認められなかったのです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題71 瑕疵担保責任に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 買主は,購入した物を第三者に譲渡した後でも,売主に瑕疵担保責任を追及することができる。
2 瑕疵担保責任の効果として,代金減額請求が認められている。
3 契約当時,客観的に明らかな瑕疵があったという場合でも,瑕疵担保責任が認められる。
4 強制競売で買ってきた物についても,瑕疵担保責任が認められる。
5 瑕疵担保責任の追及は,瑕疵を知ってから3年以内にしなくてはならない。
古い問題なので,瑕疵担保責任と出題されています。
これから出題するときは,契約不適合責任となります。
また,制度改正に伴い,契約不適合責任に修正すると,正解が2つになります。
それでは,解説です。
1 買主は,購入した物を第三者に譲渡した後でも,売主に瑕疵担保責任を追及することができる。
もともとの正解は,この選択肢です。
第三者に譲渡した後でも,自分が購入したものを売った人に対して,契約不適合責任を追及することができます。
これは,極めて重要なことです。
現在,ネットでよく見られる転売ヤー(商品を購入して転売する)が,もし元の売主に対して契約不適合責任を追及できないと,自分が売った買主に契約不適合責任を追及されると,転売ヤーがその責任を負うことになってしまいます。
2 瑕疵担保責任の効果として,代金減額請求が認められている。
制度改正によって,現在は,代金減額請求も認められるようになりました。この問題が出題された時は認められていませんでした。
代金減額請求とは,たとえば,100万円で購入したものを50万円にしてくれと請求するものです。
3 契約当時,客観的に明らかな瑕疵があったという場合でも,瑕疵担保責任が認められる。
瑕疵とは,欠陥のことです。
誰が見ても欠陥があることがわかるものには,契約不適合責任を追及することはできません。
欠陥があることを知って購入したとみなされるからです。
メルカリなどで,傷がある部分を写真で紹介し,そのことを明記しているのは,瑕疵担保責任を追及されないためにも必要なことなのかもしれません。
4 強制競売で買ってきた物についても,瑕疵担保責任が認められる。
差押えによって強制競売にかけられることがあります。
強制競売で購入したものには,契約不適合責任は認められていません。
お上が行うことに文句は言わせない,という意味なのかもしれません。
5 瑕疵担保責任の追及は,瑕疵を知ってから3年以内にしなくてはならない。
瑕疵担保責任の追及の時効は,1年(新築住宅は10年)です。